宝玉チャージ!溜まるとキュイン♪〜スケベ勇者アッシュの冒険〜

葉雲屋

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冒険編

2.虹色キュイン♪女戦士アリサ登場!

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異世界ミフラ。
ここは、「魔法」「発現」等、"想い"が具現化する世界──。



数日経って、ハズレ村。
ぴょんぴょん跳ねる、ヤツがおり。

アッシュ「ね、頼むよ、お姉さんー」

アッシュ「俺と一晩、熱い夜、過ごさない~?」

「くどい!」

アッシュ「おっと!?えへへ、勇者アッシュブレイブ!前回の轍は踏まな……」

ごきぃん!!
と、アッシュ。鉄塊のような、その一撃。

アッシュ「……」

「どうも、お騒がせしましたー!あ、このバカの事はお忘れくださいー!」

と、口を押さえる"ターゲット"に構わず。
ずるずる、ずるずる。引きずられてゆく。

聞き覚えの、ありすぎる声だ。

アッシュ「……アリサ」

アリシーダ(アリサ)は「フン」と、アッシュを投げた。





アリシーダ。つまり、アリサ。
彼女はぱんぱん、手を叩き。

アリサ「アッシュ!あんたね!見ないと思ったらこんなとこで!勝手に出てっちゃって!私……」

アッシュ「心配してくれてた?」

アリサ「うるさい!」

アッシュ「……心配する奴のする事じゃねぇな」

とアッシュ、民家の壁に当たり。
逆さの景色を、見ながら言う。

アリサ「……"ハデス"を倒したと思ったら!急に村から出てっちゃうんだもん!私、探したのよ!」

アッシュ「エルじっちゃんから聞いたかい?」

アリサ「ええ!」

「なら、まあ」と、アッシュは前転し、「ふぬ!」と鼻血を、地面に放った。

アッシュ「そういう事さ。俺は、この剣の秘密を追ってる。……何だかそれが、俺の使命のような気がするんだ」

と、腕を組む幼馴染──アリサに言った。





アッシュ、どこから出したか、ティッシュを鼻に詰め。

アッシュ「アリサも知っての通り、俺の"勇者の剣"は、普通のチャージ以外にも、宝玉が溜まる時がある。俺はそれが気になって、こうして旅に出たんだよ」

アリサ「……私に一言もなく?」

アッシュ「言いづらくてさ…」

アリサ「フン」

と、ぷい、と、顔を背けるアリサ。
頭に浮かぶは、あの日のアッシュで。

──ゼフを、アリサを!許さねぇぞ!!!

アリサ「……あの時は、カッコよかったのに」

アッシュ「ん?」

アリサ「……ってか、あの時、役に立てなかったから、私は……」

アリサ「って!アッシュ!!!つまり何!!"他のチャージ方法"に気付きながら、相変わらず"ああいう事"してたって訳!?あんたって奴は!!!」

アッシュ「あ、て、え!?そっち行っちゃう!?」

ドーーーーン……
と、アリサの鉄拳が落ちる前に、向こうの山が、爆発した。





アリサ「……は?」

アッシュ「え?」

と、アリサとアッシュ、顔を見合わせ。
アリサの頭に、クエストが、スロットのように。
……ジャラジャラチーン。

アリサ「……レ、"レッドヒドラ"!間違いないわ!私のじゃないけど、この近辺に……」

アッシュ「討伐クエスト、か」

アッシュ、ぽんぽんと、尻を叩く。
討伐クエストは、モンスターの賞金首版だ。誰が狩ってもよく、とにかく証を持っていけば、賞金が出る。

アリサ「誰か、戦っているようね……アッシュ、剣は?」

アッシュ「白」

アリサ「ああもう!」

と、アリサ、駆け出した。
見誤ったか、先人の。悲鳴が響く、その元へ。





悲鳴と、音が、こだます場所へ。
がりがり、ごりごり、聞きたくはない。

アリサ「レッドヒドラ……ずいぶん大きいわね」

アッシュ「やれるかい?」

アリサ「当然!」

レッドヒドラは、"八つ首"を。
それぞれ動かし、待ち受ける。……口の血濡れは、そういう事だろう。負けてしまった冒険者達だ。

アリサ「……見てて、アッシュ。私の力」

アッシュ「え?」

アリサ「"発現"!」

と、アリサの身体に、光が生えて、武器と鎧が、置き換わる。
軽やかな、部分甲冑姿。

アッシュ「うおお!?」

アリサ「発現!サムライモード!」

と、アリサは飛び上がると、武器が置き換わった"太刀"を、猛スピードで浴びせた。
たちまち、レッドヒドラが、自身の血に染まる。

アリサ「まだまだ!!!」

と、捨て身のサムライ、まだ斬る、斬る、斬る……

アッシュ「す、すげぇ!」

とアッシュ、素直に感心。
昔はなかった……という視線に、アリサは、ニッと笑った。





レッドヒドラ、斬られる、斬られる、斬られる…。
こりゃたまらんと、首を振った先は、アッシュだ。

アッシュ「れ?うおっ!?」

アリサ「アッシュ!?」

と、噛みつきを、辛うじて避けたアッシュ。
が、ヒドラの首は、八つある。

アッシュ「しまっ……!」

アリサ「アッシュ!」

アリサ「"発現"!ナイトモード!」





……アッシュ、目を開けた。
ヒドラの口に、食い込む大盾。今度はアリサ、騎士姿。

アッシュ「アリサ!」

アリサ「……頼りになるでしょ?」

アリサ、フッと笑う。

アリサ(もう、あの時のようにはいかないんだから)

(私も……)の気持ちで、アリサがヒドラの頭を押し返そうとする。しかし。

アリサ「ッ!?」

レッドヒドラも、死に物狂いだ。
火を吐き、ぶつかり、噛みつきで、盾を破ろうと、襲い来る。

アリサ「くっ……」





アリサ、流石に、ぐぐぐと。
堪える足が、押され気味。

アッシュ「アリサ……」

アリサ「……」

アリサ、ぎゅっと目を瞑り。

アリサ「そんな顔、しないで!私が守るんだから!」

と、一踏ん張りの、防御力!

アリサ「もう、あの時は繰り返さない!私も、今度は、アッシュと一緒に戦うんだ!だから……!」

『キュイン!』

アリサ「……へ?」

アッシュ「あ」

アリサ「あんたその、スケベ剣」

アッシュ「何でだろうな?」

アリサ「バカ!」

言っている間も、敵の猛攻!
その中で、アッシュ!
"虹色"の剣を手に!

アッシュ「チャージ、解放!"真・勇者の鎧"!」





アッシュ、光の中へ。
今度は、虹色に光る、「真・勇者の鎧」!

アッシュ「ありがとう、アリサ!君がいてくれたから、俺は全開さ!」

アリサ「……ばか」

アッシュ「だよな、お前も?」

と、アッシュ、剣に聞くように、刀身を額に。
そして、レッドヒドラの、猛攻の中へ、飛び出した!
レッドヒドラの、火や顎や。
地獄もかくやと、思うけど。

アッシュ「効かねぇ!」

と、四肢を伸ばすと、衝撃波。
触れる全てを、弾き飛ばし。

アッシュ「全開……"ラブレード"!!」

と、一閃、レッドヒドラを、斬り捨てた!





アリサ「……ったく、出鱈目な剣ね、相変わらず」

アッシュ「アリサも強くなったなあ」

アリサ「修行したからね。……これでちょっとは、役に立てるでしょ?」

アッシュ「何言ってんだ」

と、アッシュ。

アッシュ「いつでも、必要だよ。心強い仲間さ。アリサは」

アリサ「……ッ」

アリサ、ぷいと、顔を背ける。

アリサ「……ん?じゃ待って。なら何で、置いて行ったの?」

アリサ「ねぇアッシュ……あっ!ちょっと待った!こら、待ちなさい!アッシュー!!!」





そして、今回も、よく分からない勇者の剣。

アッシュ「お前、ひょっとして、気まぐれなだけじゃあ…」

と、アッシュ、その剣背負って、駆け出す。
夕焼けに、男女の姿が、黒く、遠く……。

第二章、終わり



【tips】


勇者②

勇者の剣は、「赤」までは身体能力と魔力強化、「金」で「勇者の鎧」、「虹」で「真・勇者の鎧」を召喚可能である。



技:ラブレード

アッシュの「勇者の鎧」以上装備時の必殺技。敵に斬撃を放ち、仲間を癒す。しかし、次に書くような、アリサの「発現」で失った力等は回復しないようだ。魔法院の回答としては、この力が「回復」でなく「治癒」に該当するからだとの事。



発現

アリサの職業は「戦士」である。
修練を重ね、肉体的なだけでなく、精神的に習熟した戦士は、"発現"する事ができるようになる。

"発現"すると、自分の姿と武器が二種類の「心の姿」に置換され、発現を終えると元に戻る。

①サムライ
姿:甲冑と太刀
特化:攻撃
内から外に、攻撃を放つ。

例え命を落とそうとも敵を倒す姿。

②ナイト
姿:鎧と大盾
特化:防御
外から内に、攻撃を堪える。

自らを犠牲にしてでも仲間を守る姿。

・デメリット
長くは戦えない。一時的なバースト状態。
心の周りを生命力(体力+気力)が覆っている。
発現で消費するのはこの部分である。まず生命力が消費され、0になると、発現が中止される。
それでも無理に発現すると、消費が「心」になり、心まで0になると死んでしまう。
消費によっては、疲労感から強制的な休息状態、瀕死の事態に陥ってしまう事も。

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