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真の勇者の章
1.
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翌朝。
エルデネスは、カグラに捕まった。
「アリス様が身ごもったみたいね」
「耳が早い」
貴様、まさか……とエルデネスが言う。
「するかッ!」
大声がとんだ。
「そんな後宮みたいな事……後宮だと思ってるの?貴方はそうでも、みんな悲しんでるわよ」
「悲しんでいるか」
「あの、リシアという子」
カグラは言って、首を振った。言えないほどだ、という事だろう。
「貴方には魔法があるらしいから、支障ないんでしょうけど。断られても魔法かければいいものね……でも、そこまでして抱く必要ある?」
「余が欲しいからだ」
エルデネスが、腰の剣をカチャ、と鳴らす。
「互いの意見は、合ったり合わなかったりだ。合わなかった場合に力を使う。折れたくない、と思えばな」
「貴方の力は、貴方が我儘を通す最適なツールね」
私にすれば良いじゃない、とカグラ。
それが言いたかったのか、とエルデネス。
「エルデネス様」
フッ、と、背後に気配。
ソガーク。
「今、よろしいですか」
「──カグラ」エルデネスが言う。「決戦の時が近そうだぞ」
「貴様が、カグラに色々教えたのか」
「何故わかりました」
勘、ではなく、
「余には分かる」
と、エルデネスは言った。
「で──勇者の件だろう、ソガーク。貴様が来るという事は、そういう事だ」
「話が早くて助かりますな。”聖剣ポリュシモス”というのをご存じですか」
「ふむ。妙な気配は感じていたが……」
そういうものがあるのか、と魔王が言う。臣下は、頷いた。
「ベルジフト辺りなら、ビビり散らかしそうな一振りです」
「妙な言葉を使うな」
「失礼。……ベルジフトをおとす事は良いのですな」
「止めはせんが、あれも余と同じ魔王だぞ」
魔界にて領地を持ち、「王」を名乗るものが、すなわち魔王である。
「それで、聖剣ポリュシモスですが、勇者に抜き取られました。場所はケルグ火山。私の権限でオーク隊とレッドヒドラを差し向けましたが、倒されてしまいました」
「何?」
エルデネスが、ピクッと反応する。「徒に兵を損ずるな、ソガーク。聖剣を守る必要がどこにあった」
「あるといえばありますが……申し訳ありません」
「余に向かってくるならば、それも結構」
迎撃するまでだ、とエルデネスが言う。
勇者が来、自分が倒す。兵など失う事もない。
「聖剣ポリュシモスと勇者が、いかほどのものか知らぬが……この魔王エルデネスが脅かされるとでも思ったか?ソガークよ」
「申し訳ありません」
エルデネスは、カグラに捕まった。
「アリス様が身ごもったみたいね」
「耳が早い」
貴様、まさか……とエルデネスが言う。
「するかッ!」
大声がとんだ。
「そんな後宮みたいな事……後宮だと思ってるの?貴方はそうでも、みんな悲しんでるわよ」
「悲しんでいるか」
「あの、リシアという子」
カグラは言って、首を振った。言えないほどだ、という事だろう。
「貴方には魔法があるらしいから、支障ないんでしょうけど。断られても魔法かければいいものね……でも、そこまでして抱く必要ある?」
「余が欲しいからだ」
エルデネスが、腰の剣をカチャ、と鳴らす。
「互いの意見は、合ったり合わなかったりだ。合わなかった場合に力を使う。折れたくない、と思えばな」
「貴方の力は、貴方が我儘を通す最適なツールね」
私にすれば良いじゃない、とカグラ。
それが言いたかったのか、とエルデネス。
「エルデネス様」
フッ、と、背後に気配。
ソガーク。
「今、よろしいですか」
「──カグラ」エルデネスが言う。「決戦の時が近そうだぞ」
「貴様が、カグラに色々教えたのか」
「何故わかりました」
勘、ではなく、
「余には分かる」
と、エルデネスは言った。
「で──勇者の件だろう、ソガーク。貴様が来るという事は、そういう事だ」
「話が早くて助かりますな。”聖剣ポリュシモス”というのをご存じですか」
「ふむ。妙な気配は感じていたが……」
そういうものがあるのか、と魔王が言う。臣下は、頷いた。
「ベルジフト辺りなら、ビビり散らかしそうな一振りです」
「妙な言葉を使うな」
「失礼。……ベルジフトをおとす事は良いのですな」
「止めはせんが、あれも余と同じ魔王だぞ」
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「それで、聖剣ポリュシモスですが、勇者に抜き取られました。場所はケルグ火山。私の権限でオーク隊とレッドヒドラを差し向けましたが、倒されてしまいました」
「何?」
エルデネスが、ピクッと反応する。「徒に兵を損ずるな、ソガーク。聖剣を守る必要がどこにあった」
「あるといえばありますが……申し訳ありません」
「余に向かってくるならば、それも結構」
迎撃するまでだ、とエルデネスが言う。
勇者が来、自分が倒す。兵など失う事もない。
「聖剣ポリュシモスと勇者が、いかほどのものか知らぬが……この魔王エルデネスが脅かされるとでも思ったか?ソガークよ」
「申し訳ありません」
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