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魔王エルデネスの章
3.
しおりを挟むエルドロが、白い炎に包まれる。
(ほう……これは)
と、感心する間にも、魔王は行動しなければならない。軍刀を握って、ガロッドに襲い掛かる。斧を払い、鎧もろとも、腹部を突き刺した。
「が……あ!ま、魔王……ッ!!」
「てめぇ!!」
叫んだのは、リーシャ。
軍刀を引き抜く。ガロッドが崩れ落ちる。彼の血がついた軍刀で、エルデネスは、リーシャの剣を受け止めた。
「てめぇ!!よくも、よくも!!ガロッドと!!エルドロを!!」
「心を乱すな、娘。倒してきた敵の背景を、君は考えたことがあったか?」
「黙れ!」
リーシャが、魔力を込める。爆発が起きて、魔王が離れている。
「”ゼウス”」
「ッ!!」
雷、直撃。
(まずい)
カイが、補助魔法を強める。
しかし、構わずに、
「”ゼウス”」
「がっ……は……!!」
「魔王!!」
「”ゼウス”」
倒れ込む、リーシャ。
「”バッシュ”」と、カイが唱えるが、魔王の雷が上回った。
「ぐうっ!!」
”バッシュ”。どこまで跳ね返せるかは、術者の力量による。
「──さて」
と、エルデネスが、軍服をはたく。
制帽を直し、
「どうするかね。──勇者、サクヤ」
最後の一人を見た。
サクヤの出生は、不明である。
だが、皆の前に現れたときから「勇者」らしくやってきた。前向きに、皆を導き、奮い立たせてきた。
五人中、四人がやられれば、普通、絶望するであろう。
しかし彼女は「勇者」であった。
「それじゃあ」
と、サクヤが言う。
まだ、聖剣ポリュシモスもある。
「最後は私だよ、魔王!!」
聖剣が、光を帯びる。
「”レイチェル”」
エルデネスが、唱えた。
しかし、
「クハハ!!」
魔王が笑う。
サクヤは聖剣を振り、魔王の居た所へ、振り下ろしたところだった。
”レイチェル”が、通じない。
「良いではないか……聖剣!!そして勇者よ!!”シルヴィア”!!」
「はあッ!!」
サクヤが、聖剣を振るう。
振るった本人が、驚いた。
「嘘……魔王の氷を……!?これが、私の力……!!」
「やるな、勇者よ!!」
「ええい!!”セイント”!!」
サクヤが、剣を持っていない方の手で、聖魔法を放つ。
「少しお粗末だな」と、魔王が言う。
”バッシュ”。そう唱えれば、聖魔法が、勇者の元へかえった。
「まだ、まだっ!!」
サクヤが、飛び掛かる。
魔王が、軍刀で受ける。
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