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1巻 4章~聖なる山とドラゴンと春の精霊と
1巻エピローグ ① 創元師匠の秘密
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グリューンは俺の肩から楽しげにニルフに話しかける。
「ほんとに久しぶりだなニルフ! イッヒ・フロイエ・ミッヒ! オイラも古い仲間に逢えて最高だぜ! 」
小さな4枚の背中の羽根を震わせながら、ニルフも嬉しそうにグリューンに抱き着いた。
羽根から出ているキラキラとした魔力の粒子が、俺の顔の周りで舞う様に飛び交っている。なにか春の息吹を感じる様な……草木の芽吹く時に感じる土の匂いの様なそんな感覚を感じる。
グリューンとニルフがお互いに嬉しそうに話しているのを見るのはとても愛らしい。聖なる山の出来事を解決できて本当に良かったよ。
「グリューン! 君がこの場に居るっていうことは……ホムラは? ホムラにも会いたいよ! 創元様は? こちらには来ていないの? 」
そうだよな。師匠もこっちに来ればいいのにな……俺は始めニルフがグリューンに向かって呟いた言葉を聞き逃しそうになった。それくらい、さも当たり前のように呟いたんだ。
「え? 創元様? ちょっと待ってくれ! 今なんて言った? そういえば俺が見た夢の中でも師匠の名前を呟いていなかったか…」
他の3人が俺の驚愕に顔を引きゆがめる様子を不思議そうにのぞき込んでいる。
「ニルフ! それ言っていいのか……おいおいおい! どうすんだよ。今更おせぇぜ!」
サングラスを器用にずらして、慌てたように俺をチラ見するグリューン。しっかり聞いていたぞ!グリューン、今更聞いていないふりなんてできるか!
「大丈夫だよー! 言えるって事は『秘匿情報』には引っ掛かっていないんじゃない? 」
なんだその軽いノリは……世界の秘密をノリでしゃべっちゃってごめんみたいな? お前ら……いや、そんなことより師匠は! いったいどうなってんだ!
俺が目を白黒させながら、頭の整理がつかずに茫然としているのを他の3人の顔が交互に見ている。分からないよな、分からないだろうさ。俺の混乱なんて!
「おいレンジ! どういうことだ。ワシたちにも分かるように説明しろ! 」
ガルムそんな怖い顔で詰め寄らないでくれ。俺だって混乱しているんだ、信じたくないんだよ。あの強面の師匠が……昔この異世界エリュハルトに来たことがあるだなんて。
確かに聖なる山にやってきたくらいから、そんな気はしていたんだ。でも気がしているって事と、真実を突きつけられるって事は全然違うだろ。
そうなんだなって納得感より、どうなってんだよそれ! って驚きの方が圧倒的に強いんだ。
誰か……この気持ちを分かってくれよ。
「えっと、俺もいきなりで混乱してるんだ。よく聞いてくれ。事実だけを説明するから。俺に寿司を握る事を教えてくれた創元師匠……それが、どうやら『流れ人』って事なんじゃないかな……たぶん? おそらく? もうどうなってんだよ! 」
頭をぐるぐると回しながら、少しでもその考えから逃避しようとしたが全く無駄。記憶の中の師匠のニヤついた表情が、傍にいるグリューンの顔と重なってしまって、もうどうにもならない。
「なんですって!レンジさんの御師様も……流れ人だったのですか! 」
「ちょ……ちょっと待ってんか! さっきからうちの頭がついていかへんわ……情報が多過ぎるわ」
茶色の大きな瞳を真ん丸に開かせて驚きの表情を浮かべるフィオナと、頭を抱えるエレノール。そうだよな、驚くよな。特にエレノールにとっては情報量過多過ぎるだろうさ。
✛ ✛ ✛ ✛ ✛
俺はフィオナ達にこの旅の始まりから整理して話し出した。
師匠が亡くなりそうになって、この神の包丁を託された。その際の蔵の火事で一度死んでしまい、この世界に異世界転生されてきた。俺には『神の恩恵』という異能が備わっていて、それの力を使って今まで神の包丁から力を引き出していたこと。
多くはエレノールに向けての語り口ではあった。フィオナには殆ど話してあったし、ガルムも大体の事情は知っていたはずだ。
「流れ人に……神の包丁やって!? 神の恩恵とかふざけとんちゃうぞ! レンジ君、どんだけあんた神さんに愛されとるか分かっとんの!? 規格外どころの話とちゃうわ! 」
くらくらと頭を抱え込むようにしてその場にへたり込むエレノール。そうだよな。そういう感覚になるのが自然だよな……ていうか、完全に関西弁バリバリだしよ。
「へい相棒。黙っていてすまなかったな。オイラだって好きで黙っていたわけじゃないのさ! ツァイ・ミル・ライト! 許せ許せ! 」
踊る様に話すグリューン。どうしてそうやってお茶らけられるんだ……
それに続く様に、丸っこいボディを嬉しそうに弾ませながら、羽をシャンシャン! と羽ばたかせてニルフが楽しそうに笑った。
『あはは! レンジ……お前の驚いた顔は面白いね! でもこれ以上は言えないし、言わないよ。さぁ……オレっちももう行かないと! グリューン待たね! 』
そう告げると、春の精霊ニルフは背中の羽根を羽ばたかせて周囲を楽しそうにぐるぐると回りながら聖なる山の上空に舞い上がっていく。グリューンは名残惜しそうな顔は浮かべず、ニヤニヤといつもような調子で呟いた。
「ひひひ! ニルフまたな! 近いうちに逢うこともあるだろうぜ」
「ほんとに久しぶりだなニルフ! イッヒ・フロイエ・ミッヒ! オイラも古い仲間に逢えて最高だぜ! 」
小さな4枚の背中の羽根を震わせながら、ニルフも嬉しそうにグリューンに抱き着いた。
羽根から出ているキラキラとした魔力の粒子が、俺の顔の周りで舞う様に飛び交っている。なにか春の息吹を感じる様な……草木の芽吹く時に感じる土の匂いの様なそんな感覚を感じる。
グリューンとニルフがお互いに嬉しそうに話しているのを見るのはとても愛らしい。聖なる山の出来事を解決できて本当に良かったよ。
「グリューン! 君がこの場に居るっていうことは……ホムラは? ホムラにも会いたいよ! 創元様は? こちらには来ていないの? 」
そうだよな。師匠もこっちに来ればいいのにな……俺は始めニルフがグリューンに向かって呟いた言葉を聞き逃しそうになった。それくらい、さも当たり前のように呟いたんだ。
「え? 創元様? ちょっと待ってくれ! 今なんて言った? そういえば俺が見た夢の中でも師匠の名前を呟いていなかったか…」
他の3人が俺の驚愕に顔を引きゆがめる様子を不思議そうにのぞき込んでいる。
「ニルフ! それ言っていいのか……おいおいおい! どうすんだよ。今更おせぇぜ!」
サングラスを器用にずらして、慌てたように俺をチラ見するグリューン。しっかり聞いていたぞ!グリューン、今更聞いていないふりなんてできるか!
「大丈夫だよー! 言えるって事は『秘匿情報』には引っ掛かっていないんじゃない? 」
なんだその軽いノリは……世界の秘密をノリでしゃべっちゃってごめんみたいな? お前ら……いや、そんなことより師匠は! いったいどうなってんだ!
俺が目を白黒させながら、頭の整理がつかずに茫然としているのを他の3人の顔が交互に見ている。分からないよな、分からないだろうさ。俺の混乱なんて!
「おいレンジ! どういうことだ。ワシたちにも分かるように説明しろ! 」
ガルムそんな怖い顔で詰め寄らないでくれ。俺だって混乱しているんだ、信じたくないんだよ。あの強面の師匠が……昔この異世界エリュハルトに来たことがあるだなんて。
確かに聖なる山にやってきたくらいから、そんな気はしていたんだ。でも気がしているって事と、真実を突きつけられるって事は全然違うだろ。
そうなんだなって納得感より、どうなってんだよそれ! って驚きの方が圧倒的に強いんだ。
誰か……この気持ちを分かってくれよ。
「えっと、俺もいきなりで混乱してるんだ。よく聞いてくれ。事実だけを説明するから。俺に寿司を握る事を教えてくれた創元師匠……それが、どうやら『流れ人』って事なんじゃないかな……たぶん? おそらく? もうどうなってんだよ! 」
頭をぐるぐると回しながら、少しでもその考えから逃避しようとしたが全く無駄。記憶の中の師匠のニヤついた表情が、傍にいるグリューンの顔と重なってしまって、もうどうにもならない。
「なんですって!レンジさんの御師様も……流れ人だったのですか! 」
「ちょ……ちょっと待ってんか! さっきからうちの頭がついていかへんわ……情報が多過ぎるわ」
茶色の大きな瞳を真ん丸に開かせて驚きの表情を浮かべるフィオナと、頭を抱えるエレノール。そうだよな、驚くよな。特にエレノールにとっては情報量過多過ぎるだろうさ。
✛ ✛ ✛ ✛ ✛
俺はフィオナ達にこの旅の始まりから整理して話し出した。
師匠が亡くなりそうになって、この神の包丁を託された。その際の蔵の火事で一度死んでしまい、この世界に異世界転生されてきた。俺には『神の恩恵』という異能が備わっていて、それの力を使って今まで神の包丁から力を引き出していたこと。
多くはエレノールに向けての語り口ではあった。フィオナには殆ど話してあったし、ガルムも大体の事情は知っていたはずだ。
「流れ人に……神の包丁やって!? 神の恩恵とかふざけとんちゃうぞ! レンジ君、どんだけあんた神さんに愛されとるか分かっとんの!? 規格外どころの話とちゃうわ! 」
くらくらと頭を抱え込むようにしてその場にへたり込むエレノール。そうだよな。そういう感覚になるのが自然だよな……ていうか、完全に関西弁バリバリだしよ。
「へい相棒。黙っていてすまなかったな。オイラだって好きで黙っていたわけじゃないのさ! ツァイ・ミル・ライト! 許せ許せ! 」
踊る様に話すグリューン。どうしてそうやってお茶らけられるんだ……
それに続く様に、丸っこいボディを嬉しそうに弾ませながら、羽をシャンシャン! と羽ばたかせてニルフが楽しそうに笑った。
『あはは! レンジ……お前の驚いた顔は面白いね! でもこれ以上は言えないし、言わないよ。さぁ……オレっちももう行かないと! グリューン待たね! 』
そう告げると、春の精霊ニルフは背中の羽根を羽ばたかせて周囲を楽しそうにぐるぐると回りながら聖なる山の上空に舞い上がっていく。グリューンは名残惜しそうな顔は浮かべず、ニヤニヤといつもような調子で呟いた。
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