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人形の中身
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「昨日の不幸な事は全てこの人形のせいなのですね」
「多分…でも呪いを解くためのカイザーは何処にもいないし」
「こうなったら坊ちゃんは家に居てください」
「うーん、でもカイザーを見つけないと引きこもりになっちゃう」
「私にお任せ下さい、必ずあの男を捕まえて坊ちゃんの呪いを解いてみせます!」
キールはやる気に満ちていて、俺の部屋から出て行った。
足を怪我した翌日、俺は大人しくキールの帰りを待つ事にした。
人形を手にして、棚の上に置いた。
ぐったりしていて、普通に見たら人形でしかない。
でも、常に俺に付いて来て不幸を連れて来る。
腹に触ると、なにか入っているような気がする。
こういう呪いの人形は、人の髪やお札とか入っているんだっけ。
見たくないけど、もしかしたらカイザーのなにかが分かるかもしれない。
触れてもなにが入っているかは全然分からない。
この家にあるのはペンだけか、刺して穴を開けて広げるしかないか。
机の上にあったペンを手にして、もう片方の手で人形を掴んでいた。
人形が動いているのを何となく分かっていたが、カタカタと動いていた。
俺の手から逃げようと何処かに引っ張られる。
グッと掴んで逃がさないようにして、ペンを握りしめる。
ただの人形なら刺せるが、生き物みたいに動かれると申し訳なくなる。
もしかして、俺が怪我したのも偶然でこの人形は何もしていないのかもしれない。
ペンを腹に近付けるけど、どうしようと悩む。
人形は大きく揺れて、強い力で俺の手から離れた。
一瞬、黒いもやのようなものが見えて目を擦る。
次に見たのは、俺の目の前に今まさに探していた人物がいた。
指に力が入らなくなり、ペンが床に落ちて転がる。
「カイザー、なんでここに…」
「なんでって…ずっといたけど?」
「だって帰ったはずじゃ…」
「へぇ、帰ったところでも見たの?」
カイザーは見下すような顔で鼻で笑っていた。
確かに俺はカイザーを見ていないし、キールは逃げたと言っていたけどどんな姿かは分からない。
そうだ、カイザーがここにいると外で探しているキールを呼ばないと!
その前にカイザーが何処にも行かないようにした方がいいよな。
チラッとカイザーを見ると、よそ見をしていた。
ゆっくりと身体をずらして、ベッドに近付く。
掛け布団を掴んで思いっきりカイザーに投げた。
人形の呪いが掛かると言っていたから、それを解いてもらわないといけない。
布団越しにカイザーを抱きしめて押さえつける。
紐がないと縛れない、でも俺の部屋に紐なんてない。
周りを見渡すと、布団から紐が少しだけはみ出ていた。
こんな紐、俺の家にあっただろうかと首を傾げる。
でもこれしかないなら使うかと紐を掴んだ。
その紐は生き物のようにぐねぐねと動いていて、手を離した時は遅かった。
紐は俺の腕や足に絡みついて天井に吊るされる。
ギシギシと紐が身体に食い込んで痛いが、暴れるともっと痛くなる。
布団を剥がしたカイザーの手には俺を縛る紐が握られていた。
「随分舐めた事をしてくれるね」
「あの、これ解いて下さい」
「人の腹にペンを刺そうとしたり、人の股間をやらしく触って許されると思ってるわけ?」
「あれ、腹じゃなかったの!?」
人形の身体は何処がどうなのか全く分からなかった。
知らなかったとはいえ、無意識にカイザーに酷い事をしてしまった。
あれ?でもカイザーも呪いを掛けたんじゃないのか?
男に触られたのが許せないのか、俺の顎を掴んで上を向けられた。
いろいろ言いたい事はあるが「ごめんなさい」と言った。
今の俺は両手足を大の字のカタチで縛られている。
この部屋に引き止めておかないと逃げられる。
俺がこうなったらキールしか動ける人はいない。
「謝って済むと思う?俺の心はこんなに傷付いているのに」
「じゃあどうしたらいいですか?」
「俺と同じ目に遭えよ」
「同じ目って、俺は人形にはなれないけど」
人形遣いのカイザーだからこそ人形にもなれる。
俺には当然そんな力はない、練習でどうにかなるものでもない。
カイザーに聞くと、意地の悪い顔でニヤッと笑っていた。
普通なら嫌な事なのかなと何となく分かった。
カイザーは俺から離れて「一人で間抜けに自慰でもしろよ、蔑んでやるから」と言っていた。
「多分…でも呪いを解くためのカイザーは何処にもいないし」
「こうなったら坊ちゃんは家に居てください」
「うーん、でもカイザーを見つけないと引きこもりになっちゃう」
「私にお任せ下さい、必ずあの男を捕まえて坊ちゃんの呪いを解いてみせます!」
キールはやる気に満ちていて、俺の部屋から出て行った。
足を怪我した翌日、俺は大人しくキールの帰りを待つ事にした。
人形を手にして、棚の上に置いた。
ぐったりしていて、普通に見たら人形でしかない。
でも、常に俺に付いて来て不幸を連れて来る。
腹に触ると、なにか入っているような気がする。
こういう呪いの人形は、人の髪やお札とか入っているんだっけ。
見たくないけど、もしかしたらカイザーのなにかが分かるかもしれない。
触れてもなにが入っているかは全然分からない。
この家にあるのはペンだけか、刺して穴を開けて広げるしかないか。
机の上にあったペンを手にして、もう片方の手で人形を掴んでいた。
人形が動いているのを何となく分かっていたが、カタカタと動いていた。
俺の手から逃げようと何処かに引っ張られる。
グッと掴んで逃がさないようにして、ペンを握りしめる。
ただの人形なら刺せるが、生き物みたいに動かれると申し訳なくなる。
もしかして、俺が怪我したのも偶然でこの人形は何もしていないのかもしれない。
ペンを腹に近付けるけど、どうしようと悩む。
人形は大きく揺れて、強い力で俺の手から離れた。
一瞬、黒いもやのようなものが見えて目を擦る。
次に見たのは、俺の目の前に今まさに探していた人物がいた。
指に力が入らなくなり、ペンが床に落ちて転がる。
「カイザー、なんでここに…」
「なんでって…ずっといたけど?」
「だって帰ったはずじゃ…」
「へぇ、帰ったところでも見たの?」
カイザーは見下すような顔で鼻で笑っていた。
確かに俺はカイザーを見ていないし、キールは逃げたと言っていたけどどんな姿かは分からない。
そうだ、カイザーがここにいると外で探しているキールを呼ばないと!
その前にカイザーが何処にも行かないようにした方がいいよな。
チラッとカイザーを見ると、よそ見をしていた。
ゆっくりと身体をずらして、ベッドに近付く。
掛け布団を掴んで思いっきりカイザーに投げた。
人形の呪いが掛かると言っていたから、それを解いてもらわないといけない。
布団越しにカイザーを抱きしめて押さえつける。
紐がないと縛れない、でも俺の部屋に紐なんてない。
周りを見渡すと、布団から紐が少しだけはみ出ていた。
こんな紐、俺の家にあっただろうかと首を傾げる。
でもこれしかないなら使うかと紐を掴んだ。
その紐は生き物のようにぐねぐねと動いていて、手を離した時は遅かった。
紐は俺の腕や足に絡みついて天井に吊るされる。
ギシギシと紐が身体に食い込んで痛いが、暴れるともっと痛くなる。
布団を剥がしたカイザーの手には俺を縛る紐が握られていた。
「随分舐めた事をしてくれるね」
「あの、これ解いて下さい」
「人の腹にペンを刺そうとしたり、人の股間をやらしく触って許されると思ってるわけ?」
「あれ、腹じゃなかったの!?」
人形の身体は何処がどうなのか全く分からなかった。
知らなかったとはいえ、無意識にカイザーに酷い事をしてしまった。
あれ?でもカイザーも呪いを掛けたんじゃないのか?
男に触られたのが許せないのか、俺の顎を掴んで上を向けられた。
いろいろ言いたい事はあるが「ごめんなさい」と言った。
今の俺は両手足を大の字のカタチで縛られている。
この部屋に引き止めておかないと逃げられる。
俺がこうなったらキールしか動ける人はいない。
「謝って済むと思う?俺の心はこんなに傷付いているのに」
「じゃあどうしたらいいですか?」
「俺と同じ目に遭えよ」
「同じ目って、俺は人形にはなれないけど」
人形遣いのカイザーだからこそ人形にもなれる。
俺には当然そんな力はない、練習でどうにかなるものでもない。
カイザーに聞くと、意地の悪い顔でニヤッと笑っていた。
普通なら嫌な事なのかなと何となく分かった。
カイザーは俺から離れて「一人で間抜けに自慰でもしろよ、蔑んでやるから」と言っていた。
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