ビヨンド オブリヴィオン / BEYOND OBLIVION

蓮田 希玲

文字の大きさ
19 / 25
CHAPTER1

Episode 16 / 怖い夢を見た私

しおりを挟む
「いつものを頼む。アヴァ、どうする」
 カフェの中は、午後の光で満たされていた。ガラス張りの入口からは、外の光が帯になって揺れている。
「え、うーん、よくわかんないからジェスターと一緒で――いや、レモンティー! レモンティーで合ってるよね、うん……」
「わかった。お前は」
「俺ジンジャー」
 お店の人が静かにお辞儀して戻っていく。周りの人の控えめな話し声が、虫の囁きみたいに聞こえる。ティーカップを手に取る音とコースターに置く音の方が大きくて、天井までよく響いていた。
 音楽が鳴っているけれど、はっきりとした旋律はまだつかめない。なんの楽器だろう。不思議な感じだ。
 ベルジの方を見ると、嘘みたいに彼と目が合う。思い切って、気になっていたことも聞いてみたくなった。
「ベルジくん、人付き合い慣れてないってほんと? 私もぜんぜんなんだ、えへへ」
 彼はジンジャーを飲むのをグッと止めた。目を合わせたまま、言葉を返してくる。
「アヴァにそんなこと言われるの、なんか恥ずかしいな……。でも隠すことでもないよな。てか、実際そうなのに隠すの、もっとかっこ悪いよな、あはは」
 レモンティーって、こんな味だったっけ。もう少し砂糖は多かったような気もするし、いや、味もなんだかはっきりしない。鳴っている音楽と同じで、謎の浮遊感がある。それを私は、不自然だとは思わなかった。こういうのもありなんだと受け入れてしまう。
「私レモンティー好きなんだよね。ジェスターがこの前頼んでくれて」
「甘いの好きだな」
 ベルジはまた、流し込むようにして、あっという間にジンジャーを飲みほしてしまった。どこか頑張っているようにも見える。
「す、すごいね、ベルジくん」
「どんなもんだい……」
 常に誰かと争っているみたいな奴だ、とジェスターは言っていた。その言葉が理解できた。まるで見えない何かと競争しているみたいだ。
 クラリネットのスタッカートが、スキップするみたいに軽いメロディを紡いでいる。包み込むようなフルートも相まって、柔らかな音楽が急に鮮明に聞こえてきた。不思議と、クラリネットの指の運び方を私は知っている。ストローを使って、無意識のまま真似をしてしまう。
「いい曲だな、これ」ジェスターが目を瞑って言った。
「ね、私これ好き」
 しばらく三人とも黙って、頭の中だけでリズムに乗りながら聴いていた。ベルジが落ち着いて音楽を聴いているのは、なんだか彼らしくなくて、それもおかしかった。
「そうだ、せっかく来たんだから写真撮ろうぜ、な!」
 曲が終わると、ベルジがスマホを取り出して言った。そう、ベルジと一緒に撮りたかったんだ。私は笑顔を返して、三人同じ椅子に座った。ちょっと息苦しい。妙にベルジが押してくる。スペース取りすぎじゃないかと目を配ったが、彼は私の顔は見ていなかった。完全に、写真用の表情づくりに集中していた。
「で、誰が撮るの?」
「すんませーん。写真撮ってくれませんかー?」
 こんな静かなところで出す声量じゃなかった。ほかの客の視線が、一斉にこっちへ集まってくるのが分かる。顔までは見ていられない。「ちょっと!」とベルジの肩を叩きつつも、内心では少し憧れていた。ああいうふうにためらいなく頼めるのは、すごい。
 店員は目と足で「はい」と答えてくれた。表情を崩さないまま、すっとこちらへ来る。
「おねがいしゃす!」
「いいですか、撮りますよ」
 ジェスターに教えてもらった手の形はこうだった。人差し指と中指を伸ばす形。二人も同じポーズをとっている。真ん中にいた私は、両手でその形を作ってみた。
 スマホからカシャ、という音が鳴った。「どうも」とジェスターが言うと、店員が撮れた写真を見せてくれる。店員が口を開いた。

「あなたの花は汚れています」

 足元。風当りが、その時、全部変わった。
 なんの前触れもなく、ピアノとコントラバスの音が歪みきって残響だけになる。さっきまで座っていた私は、もうそこに座っていない。赤いシャツとあの帽子は、どこに行った?これは部屋着だ。柔らかいと思った地面は、芝生だった。小さな紙片を踏むような感触と、土の沈む感触。鳥のさえずりが聞こえる。
 私はスマホを持っていた。目の前には誰かが三人立っている。ジェスター。それに彼の家族。部屋にあった写真と同じ光景。私が、あの写真を撮った……?
「ありがとう。こりゃいい写真だ」
 髭のないジェスターは、どこか他人行儀な声で、私のスマホを見て言った。家族もついでにこっちへ駆け寄ってくる。ジェスターの妻の指には、あの指輪があった。錆びていない。見るたびに光を跳ね返している。彼らの背後にある立派な家を、木の葉が撫でていた。
「我ながら、いい写真を撮ったって?」
「そう思う」
 木のシルエットは、いつのまにかあの堅牢な城のシルエットになっていた。気づけば彼しかいない。私はどこに行ったのか、聞かなかった。
 あの夕焼けを見た場所。また、雲が太陽を隠そうと頑張っている。海のうねりは一層強く見えた。ジェスターは呆然と口を開けたまま、絶景を眺めている。懐かしいねジェスター、と彼の袖をつまんだ。
 つまんだところが、冷たかった。もしやと思い、彼の方を見る。ジェスターが泣いていた。何かを握りしめて、背中を丸め始める。歯ぎしりが聞こえそうなくらい、奥歯を噛みしめているのが分かる。
 私は膝をついていた。「大丈夫?」と、彼を慰めようとした。大丈夫なわけがないのに。それしか思いつかなかったのかもしれない。

「お前のせいだ」

 何の音も聞こえなくなった。自分の息、服の擦れる音、足音、彼の声だけが、やたらとはっきりと聞こえる。彼の目つきに喉がふさがれる。どうしてそんなことを言うのか分からない。あまりに突然だった。
 彼の握りしめた手からは、石同士が削り合うような音がした。焦げた臭いもする。私が、彼の袖を凍らせてしまったからだろうか。
 ジェスターは私を腕で押し払った。すぐに銃を取り出して、私が「やめて」と言う間もなく、数発撃った。
 視界が床に落ちる。体が言うことを聞かない。ごめんなさい。本当は知りたいなんて思っていなかった。けれど、何者か分からない人のところへずっといるのも、私は不安でいっぱいだった。体がずっしりと重たいのが分かる。上から何かが乗ってきているような、沈んでいくような。
「ほら、よく見ろ」
 私はいつものソファに寝そべっている。彼が指先に火の玉を出して見せている。顔は穏やかで、火は仄かに温かい。さっき銃を持っていた時の顔とは、まるで嘘みたいに反転していた。夕食の時を思い出す。反射的に、私の口から言葉が飛び出た。
「怒ってない?」
「なんだ?」
「怒ってないよね? 怒ってない?」
「怒ってなんかないよ」
 私の知っている彼だった。一瞬一瞬を感じるのが、怖い。彼の真似をしてみると、静かに私の指先にも火の玉が現れた。
「ジェスター、私できるようになったかも」
「は?寝ぼけんなよ」
 声はベルジだった。目を見ると、やっぱりベルジだった。ああ、目を合わせるのが恥ずかしくなってくる。ジェスターだった気がしたはずなのに、違ったようだ。
 何かがおかしい。さっきから私は何をしている?
 思えば私は今……寝ている。

 目を開けていたつもりだったが、それに気づいた時には、海の中にいるような視界が広がっていた。暗闇の奥で、薄明かりが揺れ動いている。暖炉の音が聞こえだした。手の感じと足の感じも戻ってくる。少し痺れている。
 いつもの天井が見えた。夢で良かった、と心の中で何度も繰り返す。ため息がこれでもかというくらい出た。
「おはよう」
 手を使って体を起こすと、昨日と同じように、ジェスターが座ってスマホを眺めていた。肘をついたところには、紅茶のカップ。香りからして、いつもと違うのを飲んでいる。彼がそれを飲むたびに、口元を横に伸ばしている。たぶん、ハズレだ。
「ジェスター」
「ん? どした」
「私、怖い夢ばっかり見るんだけど……」
「俺もだ。お前が来てから、特にな」
「え? それって……」
「お前の花のせいだな」
「ごめんなさい、ほんと、そんな、私」
「大丈夫だよ、夢なんだから。俺は、大丈夫」
 夢の中で怒っていた彼の顔が、まだ頭から離れない。怒っていないと言いながら、本当はどこかで怒っているんじゃないかと、正直怖い。
 それが喉につっかえたまま、口から滑り出た。
「夢の中で私、ジェスターにめちゃくちゃに怒られた」
「俺が? お前に? 俺が怒るって、相当なことしたんだなあ」
「えへへ……」
 彼の顔を見ていたら、馬鹿馬鹿しくなってきた。見てもいないことを、ずっと一人で気にして怖がっていた。いつのまにか、彼が仮面をつけて私と話しているんじゃないかとさえ思い込んでいた。ひどい妄想に憑りつかれていたものだ。
「俺そんな怖いか? 髭そったほうがいい?」
「い、いや、大丈夫。……かっこいいと思うよ、おひげ」
「そうか? 褒められたことないんだけどな、はは」
 髭はもじゃもじゃとしていて、かっこいいというより不気味なくらいだ。でも、それが彼のチャームポイントでもあって、笑っている時も分かりやすい。彼は嬉しそうに、ずっと髭を撫でて整えていた。
 一息ついて周りを見渡す。また一日が終わって、また始まったんだ。あの時から三日、四日? 毎日新しい発見があって、時間の感覚が掴みづらい。辛いこともあるけれど、その分、幸せを感じる時もある。
「俺、考えたんだ。お前の花は、ときどき良くないものを見せてくるはずだ。たまにはいいものも見れるかも? ま、それを日記みたいに記録しておくんだ。ほら」
 ジェスターはそう言いながら、廊下沿いのキャビネットから、手ごろな大きさの手帳を取り出した。紐で羽ペンがつながっていて、日焼けしたような紙で作られている。ずいぶんと古そうにも見える。表紙はざらざら、すべすべ。革でできていた。
 ページをめくってみると、無地で白紙のページしかない。数百ページはありそうだ。羽ペンは本の高さに負けないくらいの、真っ白な鳥の羽。根本から先にかけて、朝日を浴びて柔らかく光っている。
「これはな、昔、備忘録用に売ってた代物なんだけど、俺そういうの苦手でさ。こう、生活習慣的なの、続かなくて。人に提案はするんだけどな? スマホもあるし……。お前のスマホも買ってあげたいんだけど、ちと高くってな――」
「使いたい!」
「お、おお。どんどん使ってくれ。――ああ、書くときもコツがいるんだった。貸してごらん」
 二人でテーブルに向かって、隣り合って座る。ジェスターは一番後ろのページを開いて、羽ペンを持った。ペン先には、黒い小さな球がくっついているように見える。
「インクとかはいらないんだ。とにかく書くときに、どんなことを書くか、書き残したいか、考える。まあ、普通に日記みたいに書けばいいんだ」
 ジェスターは、自分の名前をすらすらと書いて見せた。ジェスター・フォード。綺麗で読みやすい字だ。さすが町の保安官。
「私書いてみていい?」
「お前のだ」
 その下に、自分の名前を書いてみる。アヴァ・クラリオネ。私……私の名前。自分の名前を、初めて書いた。読めるし、書けるし、話せる。言葉が分かる。言葉が分かるのが、急に不思議になる。
 それだけでも私は、相当な幸運なんじゃないか。意識しないと気づけないラッキーなことって、案外身近に転がっているものなんだ。
「ほっそい字だなあ」
「読めるんだからいいでしょ」
「そう。書くときにな、太い字にしようか細い字にしようかとか、色とか。ちょっと頭をひねらせながらすると、その通りになる。ただ、適当に書けないのが不便で」
「適当に?」
「ほら、瞬時にメモしたり?ああいう、あやふやな時は羽ペンは反応してくれない。だから鉛筆も持ってるといい」
「なんだか……指パッチンの魔法みたいだね」
「ん、原理は一緒だ」
「いままでのことも書きたいな」
 ジェスターは軽くうなずいた。肘をテーブルに預けて前のめりになりながら、私が書く最初のページを、隣で見守ってくれる。
 あの時から覚えていることと、ジェスターとベルジのことを思いながら、慎重に書いていく。四区は危ない、ルネはすごそう、カフェは素敵――。
 彼の前では、あの指輪のことは書かないでおこう。書かなくても、忘れはしない。
 ずらりと今までの事を書いてみたけれど、何かが足りない。これはいつあったことなのかをまだ書いてない。昨日やおとといに名前はあるのだろうか。
「日付がないと分からなくないか?」
 それが言いたかった。ああ、とペン先をページの端に持っていく。
「今日は二二〇年八月二十五日だ」
 私は言われた通り、目が覚めたあの日まで、一日ずつ遡りながら、日付を書いた。
「ねえ聞いてジェスター。私、もっと外歩いてみたいんだよね」
「ああ、すまん今日も、仕事なんだ」
「ひとりで」
「ん、帰り道はどうするんだ?」
「あ……」
「これだ。持っとけ」
 ジェスターがキャビネットの引き出しから何かを取り出した。懐中時計のように見える。針がガラスの向こうでくるくると回っている。振り子みたいに揺れ動くこともあった。
「なにそれ」
「コンパスだ。どこへ行っても、この針が指すところが家だって分かる。迷子にはならんだろう」
「ありがとう」
 手のひらに乗せてみると、ひんやりとした感触が目まで届いてきた。針もそれに合わせて速く回った。これもドアと同じような、生命感があった。緑色の宝石で花の装飾が施されている精巧な作り。磨かれた表面に手を滑らせそうで怖かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~

志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。 政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。 社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。 ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。 ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。 一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。 リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。 ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。 そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。 王家までも巻き込んだその作戦とは……。 他サイトでも掲載中です。 コメントありがとうございます。 タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。 必ず完結させますので、よろしくお願いします。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

処理中です...