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=== 001 目指せ! ヒーロー戦隊 ===
第14話 ヒーロー、飛び級する
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狂気の錬金術師は沈黙し、その最高傑作であるゴーレムは、ただの鉄屑の山と化した。
俺たちは、静寂が戻った時計塔の最上階で、後始末を開始した。アオイが、今後の重要な証拠となるであろうゾラの研究日誌を、細心の注意を払いながら確保する。タンポポは、崩れたゴーレムの破片を興味深そうにつついている。
俺は、今回の戦いをプロデューサーとして冷静に分析していた。
勝ちはしたが、課題は多い。特に、俺のスキルセットだ。『アーク・インパクト』はフィニッシャーとして優秀だが、それだけでは戦術の幅が狭すぎる。ヒーローチームとして、あらゆる状況に対応するためには、もっと多様な能力が必要だ。
俺の視線は、ゴーレムの残骸の中心で、微かに魔力の光を放っている「制御核」に注がれていた。
攻撃力はもう十分。今、俺のチームに必要なのは、戦闘以外の局面を打開する、ユーティリティ能力だ。
俺は、メインで装備しているUSB②(青)を取り出した。スキルはまだ二つ、空きスロットがある。
俺は、その青いUSB《Ultimate Soul Buster》を、ゴーレムの制御核へと、躊躇なく突き刺した。
USBが淡い光を放ち、俺の頭の中に、膨大な設計図のような情報が流れ込んでくる。
【スキル:構造解析 を習得しました】
物体の内部構造や、単純な機械の仕組みを見抜く分析スキル。いいぞ。派手さはないが、今後の探索や謎解きで、ヒーローとして仲間を導くための強力な武器になる。俺のプロデュースの幅が、また一つ広がった。
◆
気を失ったゾラを引きずって、俺たちが冒険者ギルドに帰還すると、ギルド内は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。
「おい、マジかよ……あいつら、鉄屑街の時計塔の主を捕まえてきやがったぞ!」
俺は、周囲から注がれる畏怖と驚嘆の視線を、最高のスポットライトだと感じていた。いいぞ、もっとだ。ヒーローチーム「アーク戦隊」の知名度は、こうして上げていくのだ。
ルナさんは、俺たちが差し出したゾラと研究日誌を見ると、普段の気だるげな様子からは想像もつかないほど、厳しい表情で頷いた。
「……よく、やってくれました。ギルドマスターがお呼びです。こちらへ」
初めて通されたギルドの奥、マスターの執務室。そこにいたのは、燃えるような赤い髪を持つ、歴戦のオーラをまとった壮年の女性、ギルドマスター・サラだった。
「アトラスの紹介状の子だね。話は聞いているよ。まさか、これほどの大物を釣り上げてくるとは、大したもんだ」
サラは、ゾラの研究日誌の危険性を説明し、街を大きな脅威から救った俺たちの功績を、最大限に称えてくれた。
「よって、ギルドは君たちの功績を特例として認定する。パーティランクを、Fから一気にDへ昇格させよう。これが、今回の特別報酬だ」
差し出された革袋は、今までのものとは比較にならないほどの、ずっしりとした重みを持っていた。
◆
その日の夜、俺たちは街で一番高級なレストランの、一番良い席にいた。
目の前には、湯気の立つ、分厚い極上肉のステーキ。タンポポは「おにく、です……!」と、感涙にむせびながら、幸せそうにそれを頬張っている。
アオイも、今日ばかりは「コストが……」などという野暮なことは言わず、少し気まずそうに、しかし満足げに、上等なワインのグラスを傾けていた。
食事が一段落したところで、俺は「さて」と、わざとらしく咳払いをした。
「今回の戦いの総括と、今後の活動方針について、ミーティングを始める!」
「……まだ、食べる途中なんだけど」アオイが、心底面倒くさそうな顔で言う。
俺は構わず続けた。「まず、黒幕の“パトロン”と“四天王”の影が見えた以上、俺たちの戦いは、新たなステージに移行する! だが、その前に、我々『アーク戦隊』には、解決すべき、たった一つの、しかし決定的な問題点がある!」
俺は、芝居がかったタメを作り、ビシッと指を立てた。
「俺たちのヒーロー戦隊に足りない、最後のピース……それは、『ヒーラー』役だ! 鉄壁のタンク、魔法の砲台、そして前衛の俺。この布陣を完璧にするには、後方から支援し、呪いすら解く、後衛の要となる『ヒーラー』役が、必要不可欠だ!」
俺の、プロデューサーとしての完璧なプレゼンテーション。
しかし、返ってきた反応は、俺の理想とは程遠いものだった。
「……また、始まったわ」
アオイが、やれやれと溜息をつき、残りのワインをぐいっと飲み干す。
「ひーらー、ですか?」
タンポポが、口の周りをソースだらけにしながら、こてん、と首を傾げた。
「それは、ステーキの新しい焼き方のことですかー?」
……まあ、そうなるよな。
ちぐはぐな仲間たちと共に、しかし、確かな決意を胸に。俺は、真のヒーローへの道を、そして、理想のヒーロー戦隊プロデュースへの道を、確かに一歩、踏み出したのだった。
俺たちは、静寂が戻った時計塔の最上階で、後始末を開始した。アオイが、今後の重要な証拠となるであろうゾラの研究日誌を、細心の注意を払いながら確保する。タンポポは、崩れたゴーレムの破片を興味深そうにつついている。
俺は、今回の戦いをプロデューサーとして冷静に分析していた。
勝ちはしたが、課題は多い。特に、俺のスキルセットだ。『アーク・インパクト』はフィニッシャーとして優秀だが、それだけでは戦術の幅が狭すぎる。ヒーローチームとして、あらゆる状況に対応するためには、もっと多様な能力が必要だ。
俺の視線は、ゴーレムの残骸の中心で、微かに魔力の光を放っている「制御核」に注がれていた。
攻撃力はもう十分。今、俺のチームに必要なのは、戦闘以外の局面を打開する、ユーティリティ能力だ。
俺は、メインで装備しているUSB②(青)を取り出した。スキルはまだ二つ、空きスロットがある。
俺は、その青いUSB《Ultimate Soul Buster》を、ゴーレムの制御核へと、躊躇なく突き刺した。
USBが淡い光を放ち、俺の頭の中に、膨大な設計図のような情報が流れ込んでくる。
【スキル:構造解析 を習得しました】
物体の内部構造や、単純な機械の仕組みを見抜く分析スキル。いいぞ。派手さはないが、今後の探索や謎解きで、ヒーローとして仲間を導くための強力な武器になる。俺のプロデュースの幅が、また一つ広がった。
◆
気を失ったゾラを引きずって、俺たちが冒険者ギルドに帰還すると、ギルド内は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。
「おい、マジかよ……あいつら、鉄屑街の時計塔の主を捕まえてきやがったぞ!」
俺は、周囲から注がれる畏怖と驚嘆の視線を、最高のスポットライトだと感じていた。いいぞ、もっとだ。ヒーローチーム「アーク戦隊」の知名度は、こうして上げていくのだ。
ルナさんは、俺たちが差し出したゾラと研究日誌を見ると、普段の気だるげな様子からは想像もつかないほど、厳しい表情で頷いた。
「……よく、やってくれました。ギルドマスターがお呼びです。こちらへ」
初めて通されたギルドの奥、マスターの執務室。そこにいたのは、燃えるような赤い髪を持つ、歴戦のオーラをまとった壮年の女性、ギルドマスター・サラだった。
「アトラスの紹介状の子だね。話は聞いているよ。まさか、これほどの大物を釣り上げてくるとは、大したもんだ」
サラは、ゾラの研究日誌の危険性を説明し、街を大きな脅威から救った俺たちの功績を、最大限に称えてくれた。
「よって、ギルドは君たちの功績を特例として認定する。パーティランクを、Fから一気にDへ昇格させよう。これが、今回の特別報酬だ」
差し出された革袋は、今までのものとは比較にならないほどの、ずっしりとした重みを持っていた。
◆
その日の夜、俺たちは街で一番高級なレストランの、一番良い席にいた。
目の前には、湯気の立つ、分厚い極上肉のステーキ。タンポポは「おにく、です……!」と、感涙にむせびながら、幸せそうにそれを頬張っている。
アオイも、今日ばかりは「コストが……」などという野暮なことは言わず、少し気まずそうに、しかし満足げに、上等なワインのグラスを傾けていた。
食事が一段落したところで、俺は「さて」と、わざとらしく咳払いをした。
「今回の戦いの総括と、今後の活動方針について、ミーティングを始める!」
「……まだ、食べる途中なんだけど」アオイが、心底面倒くさそうな顔で言う。
俺は構わず続けた。「まず、黒幕の“パトロン”と“四天王”の影が見えた以上、俺たちの戦いは、新たなステージに移行する! だが、その前に、我々『アーク戦隊』には、解決すべき、たった一つの、しかし決定的な問題点がある!」
俺は、芝居がかったタメを作り、ビシッと指を立てた。
「俺たちのヒーロー戦隊に足りない、最後のピース……それは、『ヒーラー』役だ! 鉄壁のタンク、魔法の砲台、そして前衛の俺。この布陣を完璧にするには、後方から支援し、呪いすら解く、後衛の要となる『ヒーラー』役が、必要不可欠だ!」
俺の、プロデューサーとしての完璧なプレゼンテーション。
しかし、返ってきた反応は、俺の理想とは程遠いものだった。
「……また、始まったわ」
アオイが、やれやれと溜息をつき、残りのワインをぐいっと飲み干す。
「ひーらー、ですか?」
タンポポが、口の周りをソースだらけにしながら、こてん、と首を傾げた。
「それは、ステーキの新しい焼き方のことですかー?」
……まあ、そうなるよな。
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