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=== 001 目指せ! ヒーロー戦隊 ===
第17話 ヒーロー、格上に喧嘩を売る
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モモを仲間にするためには、まず彼女の心を縛る、過去のトラウマを清算しなければならない。俺の、あまりに突飛な「ヒロイン救出作戦」は、こうして幕を開けた。
プロデューサーとしての俺の頭脳は、即座に次の行動を導き出す。まずは、ターゲットの情報収集だ。ヒーローは、決して勢いだけで戦ってはいけない。緻密な情報戦こそが、勝利の鍵なのだ。
「……ただの身辺調査でしょ。大げさなのよ」
アオイは、心底呆れた顔でそう言いながらも、俺の作戦に付き合ってくれた。俺たちは、モモの元パーティ「黄金の獅子団」の情報を求め、再び冒険者ギルドの資料室へと向かった。
Dランクに昇格したおかげで、俺たちは以前よりも詳細な活動記録を閲覧することができた。
「……見つけたわ」
アオイが、指し示したパーティの記録。そこに書かれたランクを見て、俺は思わず息を呑んだ。
――パーティランク:A――
「Aランク……だと?」
「ええ。この街を拠点とするパーティの中では、トップクラス。いずれは魔王討伐隊に選ばれるとも噂されている、正真正銘の『英雄』よ」
ただのチンピラパーティだと思っていた相手は、俺たちとは比較にならないほどの、格上のエリートだった。一瞬、俺の背筋を冷たい汗が伝う。だが、次の瞬間、俺の心は、プロデューサーとしての歓喜に打ち震えていた。
(格上の、偽りの英雄! なんて素晴らしい設定だ! こんな強大な敵を打ち破ってこそ、俺たちのデビューは、より劇的なものになる!)
アオイは、そんな俺の内心など知る由もなく、冷静に資料を読み解いていく。
「……おかしいわ。モモがパーティを抜けた、一年前を境に……このパーティ、明らかに受注するクエストの傾向が変わっている」
「どういうことだ?」
「それ以前は、強力な呪いや毒を使うモンスターの討伐依頼も積極的に受けていたのに、その後は、そういう依頼を徹底的に避けている。代わりに、物理攻撃一辺倒の、ゴリ押しで勝てる依頼ばかり選んでいるわ。……モモの後釜として、新しい神官は加入しているみたいだけど、これは、モモ級のヒーラーがいなくなった穴を、隠している証拠よ」
なるほどな。奴らのメッキは、すでにあちこちが剥がれ始めているらしい。
俺たちが資料室からロビーに戻ると、他の冒険者たちの噂話が耳に入ってきた。
「聞いたか? 『黄金の獅子団』が、また高難易度の依頼を達成したらしいぜ」
「さすがは英雄だな! リーダーのダリウス様は、俺たちの誇りだ!」
ギルド内での彼らの評判は、まさに英雄そのものだった。
その時、一人の冒険者が、ぽつりと言った。
「そういや、昔いた神官のモモって娘、どうしたんだっけ?」
「ああ、あの娘か。獅子団のレベルについていけなくて、自分から抜けたらしいぜ」
「金のことで揉めたって話も聞いたな。ヒーラーのくせに、強欲だったんだろ」
――その言葉に、俺の中で、何かが、プツリと切れた。これか。これこそが、彼女の心を折った、卑劣な罠の正体か。
自分たちが彼女を搾取しておきながら、世間には、まるで彼女に非があるかのように情報を操作し、自らの名声を守る。
これが、英雄か。違う! 奴らは、ヒーローの皮を被った、最も醜悪な悪だ!
「……見つけたわ」
俺の怒りをよそに、アオイが最新のクエストボードから、一枚の依頼書を指差す。
「『黄金の獅子団』は、今、高ランクの魔物『岩窟のワイバーン』を討伐するため、街の東にある『風切り渓谷』に向かっている。討伐を終えて、街に帰還するのは、おそらく三日後。待ち伏せするなら、そこね」
俺は、渓谷の方向を睨みつけ、固く、拳を握りしめた。
「三日後……決戦の時は来たな」
「……本当に、やる気なの?」
「ああ。俺は、奴らがワイバーンとの死闘を終え、最も消耗しきった瞬間を狙う!」
その、あまりにヒーローらしからぬ作戦宣言に、アオイが冷たい視線を向ける。
「……それ、ヒーローじゃなくて、ハイエナのやり方じゃない?」
「違うな、アオイ」
俺は、振り返り、最高のヒーロースマイルで、仲間たちに告げた。
「これは、偽りの英雄に、本物のヒーローが裁きを下すための、最高の舞台だ」
プロデューサーとしての俺の頭脳は、即座に次の行動を導き出す。まずは、ターゲットの情報収集だ。ヒーローは、決して勢いだけで戦ってはいけない。緻密な情報戦こそが、勝利の鍵なのだ。
「……ただの身辺調査でしょ。大げさなのよ」
アオイは、心底呆れた顔でそう言いながらも、俺の作戦に付き合ってくれた。俺たちは、モモの元パーティ「黄金の獅子団」の情報を求め、再び冒険者ギルドの資料室へと向かった。
Dランクに昇格したおかげで、俺たちは以前よりも詳細な活動記録を閲覧することができた。
「……見つけたわ」
アオイが、指し示したパーティの記録。そこに書かれたランクを見て、俺は思わず息を呑んだ。
――パーティランク:A――
「Aランク……だと?」
「ええ。この街を拠点とするパーティの中では、トップクラス。いずれは魔王討伐隊に選ばれるとも噂されている、正真正銘の『英雄』よ」
ただのチンピラパーティだと思っていた相手は、俺たちとは比較にならないほどの、格上のエリートだった。一瞬、俺の背筋を冷たい汗が伝う。だが、次の瞬間、俺の心は、プロデューサーとしての歓喜に打ち震えていた。
(格上の、偽りの英雄! なんて素晴らしい設定だ! こんな強大な敵を打ち破ってこそ、俺たちのデビューは、より劇的なものになる!)
アオイは、そんな俺の内心など知る由もなく、冷静に資料を読み解いていく。
「……おかしいわ。モモがパーティを抜けた、一年前を境に……このパーティ、明らかに受注するクエストの傾向が変わっている」
「どういうことだ?」
「それ以前は、強力な呪いや毒を使うモンスターの討伐依頼も積極的に受けていたのに、その後は、そういう依頼を徹底的に避けている。代わりに、物理攻撃一辺倒の、ゴリ押しで勝てる依頼ばかり選んでいるわ。……モモの後釜として、新しい神官は加入しているみたいだけど、これは、モモ級のヒーラーがいなくなった穴を、隠している証拠よ」
なるほどな。奴らのメッキは、すでにあちこちが剥がれ始めているらしい。
俺たちが資料室からロビーに戻ると、他の冒険者たちの噂話が耳に入ってきた。
「聞いたか? 『黄金の獅子団』が、また高難易度の依頼を達成したらしいぜ」
「さすがは英雄だな! リーダーのダリウス様は、俺たちの誇りだ!」
ギルド内での彼らの評判は、まさに英雄そのものだった。
その時、一人の冒険者が、ぽつりと言った。
「そういや、昔いた神官のモモって娘、どうしたんだっけ?」
「ああ、あの娘か。獅子団のレベルについていけなくて、自分から抜けたらしいぜ」
「金のことで揉めたって話も聞いたな。ヒーラーのくせに、強欲だったんだろ」
――その言葉に、俺の中で、何かが、プツリと切れた。これか。これこそが、彼女の心を折った、卑劣な罠の正体か。
自分たちが彼女を搾取しておきながら、世間には、まるで彼女に非があるかのように情報を操作し、自らの名声を守る。
これが、英雄か。違う! 奴らは、ヒーローの皮を被った、最も醜悪な悪だ!
「……見つけたわ」
俺の怒りをよそに、アオイが最新のクエストボードから、一枚の依頼書を指差す。
「『黄金の獅子団』は、今、高ランクの魔物『岩窟のワイバーン』を討伐するため、街の東にある『風切り渓谷』に向かっている。討伐を終えて、街に帰還するのは、おそらく三日後。待ち伏せするなら、そこね」
俺は、渓谷の方向を睨みつけ、固く、拳を握りしめた。
「三日後……決戦の時は来たな」
「……本当に、やる気なの?」
「ああ。俺は、奴らがワイバーンとの死闘を終え、最も消耗しきった瞬間を狙う!」
その、あまりにヒーローらしからぬ作戦宣言に、アオイが冷たい視線を向ける。
「……それ、ヒーローじゃなくて、ハイエナのやり方じゃない?」
「違うな、アオイ」
俺は、振り返り、最高のヒーロースマイルで、仲間たちに告げた。
「これは、偽りの英雄に、本物のヒーローが裁きを下すための、最高の舞台だ」
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