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=== 002 目指せ、戦隊の基地と支える博士 ===
第26話 ヒーロー、呪いの館に潜入する
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アオイを苦しめる、悪の投資詐欺。その黒幕である、没落貴族「ヴァイス家」の存在を突き止めた俺たちは、早速、次の行動に移っていた。
と言っても、その調査は、初日から壁にぶつかっていた。
ヴァイス家の屋敷は、街の外れにあり、高い塀に囲まれている。人の出入りもほとんどなく、内部の様子を窺い知ることは、極めて困難だった。
「よし、こうなったら、俺が夜陰に紛れて、この城壁を乗り越える!」
「馬鹿な真似はやめて! 不法侵入で、衛兵に捕まるのがオチよ! 相手は、元とはいえ貴族なのよ!」
俺のヒーロー的な潜入作戦を、アオイが必死に止める。確かに、彼女の言う通りだ。強引な潜入は、リスクが高すぎる。俺たちは、手詰まり状態のまま、一度ギルドに戻って作戦を練り直すことにした。
その時だった。
ギルドの依頼ボードに、一枚の、真新しい依頼書が、職員の手によって貼り出されるのを、俺は見逃さなかった。
『急募:当主の呪いを解ける、高位の神官、または、呪詛解除の専門家』
報酬は、Cランク依頼としては破格の金額。そして、その依頼主の名を見て、俺は、思わず声を上げた。
依頼主:ヴァイス家
(敵が、自ら、城の門を開けてくれるというのか! なんて、素晴らしい脚本だ! これは、我々が潜入し、内部から悪事の証拠を探るための、神が与えたチャンスに違いない!)
俺は、この千載一遇の好機を、最高の形で活かすための作戦を、瞬時に組み立てた。
「モモさんを『呪い解除の専門家』として屋敷に送り込み、俺たちは、その『付き人』として潜入する!」
俺の作戦を聞いたモモは、それまでの、だらけたオフモードから一変。その瞳に、専門家としての鋭い光が宿った。
「……なるほど。相手は呪い、ね。いいわ。仕事として、受けましょう。ただし、交渉は、私がやる」
彼女の「オンモード」への切り替わりを、俺たちは、初めて目の当たりにした。
◆
ヴァイス家の屋敷は、没落したとはいえ、貴族の館としての威厳を、未だに残していた。
俺たちを出迎えた老執事は、いかにも主人気質といった風情で、俺たちを値踏みするように見つめる。
「当主様の呪いを、本当に解けると? 口先だけの冒険者なら、お時間の無駄だ。お引き取り願おう」
その、疑心暗鬼な態度に対し、モモが一歩、前に出た。
彼女は、一切物怖じすることなく、その老執事に対して、よどみなく契約条件を提示し始めた。
「まず、診察料として、前金で金貨五枚をいただきます。これは、呪いが解ける、解けないに関わらず、一切返金いたしません」
「なっ……!」
「次に、治療中の、私たちの身の安全の完全なる保証。そして、治療に必要となるであろう、高価な聖水や希少な触媒は、全てヴァイス家が、その費用と責任においてご用意いただくこと。これらを、正式な契約書として、今、この場で、サインしていただきます」
「……むぅ」
「成功報酬は、当主様の呪いの種類と深度を、私が正確に診察した上で、改めて提示させていただきます。……何か、ご不満でも?」
その、あまりに理路整然とし、一切の隙がない、プロフェッショナルな交渉術。それは、もはや冒険者のそれではなく、一流の商会の交渉人か、あるいは、腕利きの弁護士のようだった。
老執事は、彼女の気迫に完全に圧倒され、他に頼るあてのない彼は、モモの条件を全て飲むしかなかった。
契約書にサインが交わされ、俺たちアーク戦隊は、正式な「依頼人」として、ヴァイス家の屋敷に足を踏み入れることを許可された。
重厚な屋敷の扉が、俺たちの背後で、ギイ、と重い音を立てて閉まる。
(よし! これで、悪の巣窟への潜入は完了した! あとは、この呪いを解きつつ、アオイを苦しめる、悪事の証拠を見つけ出すだけだ!)
俺は、この完璧な潜入作戦の成功に、プロデューサーとして、内心でガッツポーズをしていた。
しかし、俺はまだ知らない。この屋敷に渦巻く呪いが、俺たちの想像を、そして、アオイの過去を、深く、暗く、繋いでいることを――。
不気味な静けさに包まれた屋敷の中で、四人の新たな戦いが、始まろうとしていた。
と言っても、その調査は、初日から壁にぶつかっていた。
ヴァイス家の屋敷は、街の外れにあり、高い塀に囲まれている。人の出入りもほとんどなく、内部の様子を窺い知ることは、極めて困難だった。
「よし、こうなったら、俺が夜陰に紛れて、この城壁を乗り越える!」
「馬鹿な真似はやめて! 不法侵入で、衛兵に捕まるのがオチよ! 相手は、元とはいえ貴族なのよ!」
俺のヒーロー的な潜入作戦を、アオイが必死に止める。確かに、彼女の言う通りだ。強引な潜入は、リスクが高すぎる。俺たちは、手詰まり状態のまま、一度ギルドに戻って作戦を練り直すことにした。
その時だった。
ギルドの依頼ボードに、一枚の、真新しい依頼書が、職員の手によって貼り出されるのを、俺は見逃さなかった。
『急募:当主の呪いを解ける、高位の神官、または、呪詛解除の専門家』
報酬は、Cランク依頼としては破格の金額。そして、その依頼主の名を見て、俺は、思わず声を上げた。
依頼主:ヴァイス家
(敵が、自ら、城の門を開けてくれるというのか! なんて、素晴らしい脚本だ! これは、我々が潜入し、内部から悪事の証拠を探るための、神が与えたチャンスに違いない!)
俺は、この千載一遇の好機を、最高の形で活かすための作戦を、瞬時に組み立てた。
「モモさんを『呪い解除の専門家』として屋敷に送り込み、俺たちは、その『付き人』として潜入する!」
俺の作戦を聞いたモモは、それまでの、だらけたオフモードから一変。その瞳に、専門家としての鋭い光が宿った。
「……なるほど。相手は呪い、ね。いいわ。仕事として、受けましょう。ただし、交渉は、私がやる」
彼女の「オンモード」への切り替わりを、俺たちは、初めて目の当たりにした。
◆
ヴァイス家の屋敷は、没落したとはいえ、貴族の館としての威厳を、未だに残していた。
俺たちを出迎えた老執事は、いかにも主人気質といった風情で、俺たちを値踏みするように見つめる。
「当主様の呪いを、本当に解けると? 口先だけの冒険者なら、お時間の無駄だ。お引き取り願おう」
その、疑心暗鬼な態度に対し、モモが一歩、前に出た。
彼女は、一切物怖じすることなく、その老執事に対して、よどみなく契約条件を提示し始めた。
「まず、診察料として、前金で金貨五枚をいただきます。これは、呪いが解ける、解けないに関わらず、一切返金いたしません」
「なっ……!」
「次に、治療中の、私たちの身の安全の完全なる保証。そして、治療に必要となるであろう、高価な聖水や希少な触媒は、全てヴァイス家が、その費用と責任においてご用意いただくこと。これらを、正式な契約書として、今、この場で、サインしていただきます」
「……むぅ」
「成功報酬は、当主様の呪いの種類と深度を、私が正確に診察した上で、改めて提示させていただきます。……何か、ご不満でも?」
その、あまりに理路整然とし、一切の隙がない、プロフェッショナルな交渉術。それは、もはや冒険者のそれではなく、一流の商会の交渉人か、あるいは、腕利きの弁護士のようだった。
老執事は、彼女の気迫に完全に圧倒され、他に頼るあてのない彼は、モモの条件を全て飲むしかなかった。
契約書にサインが交わされ、俺たちアーク戦隊は、正式な「依頼人」として、ヴァイス家の屋敷に足を踏み入れることを許可された。
重厚な屋敷の扉が、俺たちの背後で、ギイ、と重い音を立てて閉まる。
(よし! これで、悪の巣窟への潜入は完了した! あとは、この呪いを解きつつ、アオイを苦しめる、悪事の証拠を見つけ出すだけだ!)
俺は、この完璧な潜入作戦の成功に、プロデューサーとして、内心でガッツポーズをしていた。
しかし、俺はまだ知らない。この屋敷に渦巻く呪いが、俺たちの想像を、そして、アオイの過去を、深く、暗く、繋いでいることを――。
不気味な静けさに包まれた屋敷の中で、四人の新たな戦いが、始まろうとしていた。
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