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=== 002 目指せ、戦隊の基地と支える博士 ===
第28話 ヒーロー、呪いの元凶を断つ
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老執事セバスチャンに開かれた扉の向こうは、悪夢そのものだった。
かつては豪華だったであろう調度品は、全てが分厚い埃と蜘蛛の巣で覆われ、命の気配がない。部屋には、淀んだ魔力と、何か腐敗したような甘い匂いが満ちていた。
部屋の奥、天蓋付きの巨大なベッドから、ぜえ、ぜえ、と、人間のものではない、苦しげな、獣のような息遣いだけが、不気味に響いていた。
俺たちが、覚悟を決めてベッドに近づくと、そのカーテンが、まるで意思を持ったかのように、ひとりでに、ゆっくりと開いた。
そこにいたのは、やつれ果てた老人ではなかった。人間の骨格を、ありえない方向に歪にねじ曲げ、皮膚は土気色に変色し、爪は獣のように黒く伸びた、見るもおぞましい異形の怪物。その虚ろな瞳が、侵入者である俺たちを捉える。
そして、その怪物の胸の上には、まるで心臓のように、禍々しい紫黒の光を放つ、一つの「聖杯」が、その肉に食い込むようにして鎮座していた。あれが、ヴァイス家が、アオイたちから騙し取った金で手に入れた、「呪われし聖杯」か……!
「ギ、イイイイイイイイッ!」
怪物が、甲高い、耳障りな叫び声を上げ、ベッドから転がり落ちるようにして、凄まじい速さで襲い掛かってきた。
「タンポポ、前!」
「はいですー!」
俺の指示に、タンポポが即座に反応。彼女の巨大な盾が、怪物の鋭い爪を、その正面から受け止めた。ガギン! と、激しい金属音が響き渡る。
「……くっ! なんだか、力が、抜けていきます……!」
盾を通して、じわりと、冷たい呪いのオーラが流れ込んでくるらしい。これが、この怪物の能力か。
「――退がって! これは、ただの物理攻撃じゃないわ!」
その声と共に、モモが一歩、前に出る。彼女の瞳は、もはやオフモードのそれではない。聖職者としての、強い意志の光が宿っていた。彼女は、杖を掲げ、聖なる言葉を紡ぎ始める。
「穢れしき呪詛よ、聖なる光の前に、その力を失え! 聖域《サンクチュアリ》!」
彼女を中心に、温かい光のドームが展開され、部屋全体に満ちていた呪いのオーラを、中和していく。タンポポの消耗も、そこで止まった。
「邪悪なる魂に、聖なる裁きの矢を! ホーリー・アロー!」
モモの放った光の矢が、怪物の体に突き刺さり、ジュッ、と肉の焼ける音を立てる。初めて、確かなダメージを与えた。その時、冷静に戦況を分析していたアオイが叫んだ。
「ジン! モモの攻撃が、あの怪物に当たるたびに、胸の上の『聖杯』の光が、一瞬だけ、弱まっているわ! あの聖杯こそが、呪いの力の源泉よ! 本体は、あっち!」
(なるほどな。あの聖杯を破壊すれば、呪いは解ける!)
俺は、この戦いを終わらせるための、完璧な筋書きを組み立てた。
「よし、作戦はこうだ! アオイとタンポポで、怪物の動きを止め、俺への道を切り拓け! モモは、聖杯の魔力防御を、聖なる力で弱めてくれ! 最後の一撃は、俺が決める!」
俺の号令一下、四人が一斉に動く。
「凍りつきなさい!【アイス・バインド】!」アオイの氷の魔法が、怪物の足元を凍りつかせ、その動きを鈍らせる。
「えいっ!」タンポポが、渾身の【シールド・バッシュ】で、怪物をベッドの方へと突き飛ばし、聖杯への射線を確保した。
「砕けなさい、呪いの器!」モモが、聖杯に向かって、強力な浄化の光を照射し続ける。
三人が作り出した、ほんの一瞬の好機。俺は、その間隙を突いて、聖杯の目前まで駆け抜ける。
「変身ッ!」
紅蓮の光が、呪われた部屋を浄化するように、眩く照らし出す。そして、俺は、アークレッドとなった。
「これで、終わりだあああッ! アーク・インパクト!!」
アークレッドの、紅蓮のエネルギーをまとった拳が、「呪われし聖杯」を、的確に、そして、完全に粉砕する。
パリン、と、ガラスの砕けるような軽い音。直後、怪物は、人間とは思えないほどの、悲痛な叫び声を上げた。その体から、おびただしい量の黒い呪いのオーラが噴き出し、モモの張った「聖域」の光に触れて、霧散していく。
黒いオーラが完全に消え去った後、そこには、骨と皮だけになった、一人の老人が、静かに倒れていた。ヴァイス家当主の、本来の姿だった。
戦いは終わった。アオイは、床に散らばった聖杯の破片と、気を失った老人を、複雑な表情で見つめている。彼女を長年苦しめてきた借金の元凶。だが、その結末は、憎しみだけでは終わらない、後味の悪さを残していた。
俺は変身を解き、ジンの姿に戻る。
(これが、ヴァイス家の罪の代償か……。だが、俺たちは、確かに、一つの呪われた魂を救った。悪を倒すだけじゃない。苦しむ人を救うこと。それもまた、ヒーローの、大事な仕事だ)
俺たちは、悪事の決定的な証拠である「聖杯の破片」と、図書室で見つけた「裏帳簿」を手に、静かに、その呪われた館を後にするのだった。
アオイの過去を巡る戦いは、今、確かに、一つの終わりを迎えた。
かつては豪華だったであろう調度品は、全てが分厚い埃と蜘蛛の巣で覆われ、命の気配がない。部屋には、淀んだ魔力と、何か腐敗したような甘い匂いが満ちていた。
部屋の奥、天蓋付きの巨大なベッドから、ぜえ、ぜえ、と、人間のものではない、苦しげな、獣のような息遣いだけが、不気味に響いていた。
俺たちが、覚悟を決めてベッドに近づくと、そのカーテンが、まるで意思を持ったかのように、ひとりでに、ゆっくりと開いた。
そこにいたのは、やつれ果てた老人ではなかった。人間の骨格を、ありえない方向に歪にねじ曲げ、皮膚は土気色に変色し、爪は獣のように黒く伸びた、見るもおぞましい異形の怪物。その虚ろな瞳が、侵入者である俺たちを捉える。
そして、その怪物の胸の上には、まるで心臓のように、禍々しい紫黒の光を放つ、一つの「聖杯」が、その肉に食い込むようにして鎮座していた。あれが、ヴァイス家が、アオイたちから騙し取った金で手に入れた、「呪われし聖杯」か……!
「ギ、イイイイイイイイッ!」
怪物が、甲高い、耳障りな叫び声を上げ、ベッドから転がり落ちるようにして、凄まじい速さで襲い掛かってきた。
「タンポポ、前!」
「はいですー!」
俺の指示に、タンポポが即座に反応。彼女の巨大な盾が、怪物の鋭い爪を、その正面から受け止めた。ガギン! と、激しい金属音が響き渡る。
「……くっ! なんだか、力が、抜けていきます……!」
盾を通して、じわりと、冷たい呪いのオーラが流れ込んでくるらしい。これが、この怪物の能力か。
「――退がって! これは、ただの物理攻撃じゃないわ!」
その声と共に、モモが一歩、前に出る。彼女の瞳は、もはやオフモードのそれではない。聖職者としての、強い意志の光が宿っていた。彼女は、杖を掲げ、聖なる言葉を紡ぎ始める。
「穢れしき呪詛よ、聖なる光の前に、その力を失え! 聖域《サンクチュアリ》!」
彼女を中心に、温かい光のドームが展開され、部屋全体に満ちていた呪いのオーラを、中和していく。タンポポの消耗も、そこで止まった。
「邪悪なる魂に、聖なる裁きの矢を! ホーリー・アロー!」
モモの放った光の矢が、怪物の体に突き刺さり、ジュッ、と肉の焼ける音を立てる。初めて、確かなダメージを与えた。その時、冷静に戦況を分析していたアオイが叫んだ。
「ジン! モモの攻撃が、あの怪物に当たるたびに、胸の上の『聖杯』の光が、一瞬だけ、弱まっているわ! あの聖杯こそが、呪いの力の源泉よ! 本体は、あっち!」
(なるほどな。あの聖杯を破壊すれば、呪いは解ける!)
俺は、この戦いを終わらせるための、完璧な筋書きを組み立てた。
「よし、作戦はこうだ! アオイとタンポポで、怪物の動きを止め、俺への道を切り拓け! モモは、聖杯の魔力防御を、聖なる力で弱めてくれ! 最後の一撃は、俺が決める!」
俺の号令一下、四人が一斉に動く。
「凍りつきなさい!【アイス・バインド】!」アオイの氷の魔法が、怪物の足元を凍りつかせ、その動きを鈍らせる。
「えいっ!」タンポポが、渾身の【シールド・バッシュ】で、怪物をベッドの方へと突き飛ばし、聖杯への射線を確保した。
「砕けなさい、呪いの器!」モモが、聖杯に向かって、強力な浄化の光を照射し続ける。
三人が作り出した、ほんの一瞬の好機。俺は、その間隙を突いて、聖杯の目前まで駆け抜ける。
「変身ッ!」
紅蓮の光が、呪われた部屋を浄化するように、眩く照らし出す。そして、俺は、アークレッドとなった。
「これで、終わりだあああッ! アーク・インパクト!!」
アークレッドの、紅蓮のエネルギーをまとった拳が、「呪われし聖杯」を、的確に、そして、完全に粉砕する。
パリン、と、ガラスの砕けるような軽い音。直後、怪物は、人間とは思えないほどの、悲痛な叫び声を上げた。その体から、おびただしい量の黒い呪いのオーラが噴き出し、モモの張った「聖域」の光に触れて、霧散していく。
黒いオーラが完全に消え去った後、そこには、骨と皮だけになった、一人の老人が、静かに倒れていた。ヴァイス家当主の、本来の姿だった。
戦いは終わった。アオイは、床に散らばった聖杯の破片と、気を失った老人を、複雑な表情で見つめている。彼女を長年苦しめてきた借金の元凶。だが、その結末は、憎しみだけでは終わらない、後味の悪さを残していた。
俺は変身を解き、ジンの姿に戻る。
(これが、ヴァイス家の罪の代償か……。だが、俺たちは、確かに、一つの呪われた魂を救った。悪を倒すだけじゃない。苦しむ人を救うこと。それもまた、ヒーローの、大事な仕事だ)
俺たちは、悪事の決定的な証拠である「聖杯の破片」と、図書室で見つけた「裏帳簿」を手に、静かに、その呪われた館を後にするのだった。
アオイの過去を巡る戦いは、今、確かに、一つの終わりを迎えた。
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