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=== 002 目指せ、戦隊の基地と支える博士 ===
第29話 ヒーロー、Cランクへ昇格する
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ヴァイス家の事件を終えた翌日、俺たちは、再びギルドマスター・サラの執務室にいた。
テーブルの上には、俺たちが持ち帰った「裏帳簿」と、砕け散った「呪われし聖杯」の破片が並べられている。
「……なるほどな。投資詐欺で集めた金で、禁断の呪具に手を出し、自滅、か。救いようのない、愚かな末路だ」
サラは、事の顛末を聞き、厳しい表情でそう呟いた。そして、俺たちに向き直ると、その顔を和らげた。
「だが、君たちのおかげで、街に潜んでいた大きな脅威を、また一つ、未然に防ぐことができた。よくやってくれたね、アーク戦隊」
その言葉を受け、今まで黙っていたアオイが、一歩、前に出た。
「ギルドマスター。お願いがあります。この『裏帳簿』は、ヴァイス家による投資詐欺の、決定的な証拠です。これを元に、ギルドから、他の被害者への救済と、私の……私の借金の無効を、正式に働きかけていただくことは、可能でしょうか」
彼女が、初めて、自らの問題を、他者を頼ることで公的に解決しようとする、大きな一歩を踏み出した瞬間だった。
サラは、その申し出に、力強く頷いた。
「もちろんだ。ギルドが全面的に協力しよう。君は、もう一人で抱え込む必要はない」
その言葉は、アオイの肩から、長年彼女を縛り付けていた、重い荷物の一つを、確かに下ろしてくれたように見えた。
サラは、立ち上がると、俺たち四人を見渡し、宣言した。
「さて、これまでの君たちの功績――時計塔事件の解決、マザー・ワイバーン討伐、そして、今回のヴァイス家事件。これらを総合的に判断し、ギルドは、君たちのパーティランクを、本日付で、DからCへと昇格させることを、ここに決定する!」
その日の午後、ギルドのロビーにある巨大な掲示板に、俺たちの昇格が、大々的に貼り出された。
それを見た、周囲の冒険者たちから、どよめきと、そして、賞賛の声が上がる。
「おい、見ろよ! あの新人ども、もうCランクになったぞ!」
「当たり前だろ! Aランクの『黄金の獅子団』を実質的に解散に追い込んで、マザー・ワイバーンまで倒したんだぜ」
「すげえな、『アーク戦隊』……!」
以前のような「若輩」として見る者は、もういない。俺たちは、名実ともに、この街の中堅パーティとして、誰もが認める存在となったのだ。
街を歩けば、「あ、アーク戦隊の人たちだ!」と、子供たちが、憧れの眼差しを向けてくる。
(ふっ、いいぞ。ヒーローとは、こうでなくてはな! 市民の憧れの的となり、子供たちに夢を与える! 我々の活動は、着実に、この街に根付いてきている!)
俺は、プロデューサーとして、これ以上ないほどの満足感に浸っていた。
◆
その夜、四人は、いつものレストランで、Cランク昇格と、アオイの問題解決への第一歩を祝して、ささやかな祝勝会を開いていた。
以前とは違い、そこには、もう気まずい空気はない。自然な、仲間としての会話が、テーブルの上を飛び交っている。
食事の途中、アオイが、おもむろに、俺たち三人に、その綺麗な顔を下げた。
「……その、今回は……ありがとう。あなたたちがいなければ、私は、きっと、一生、あの過去に縛られていたわ」
彼女が、初めて見せた、素直な感謝の言葉だった。
俺は、プロデューサーとして、そして、ヒーローとして、最高の笑顔で返す。
「礼には及ばん! 仲間が、最高の笑顔を取り戻すこと。それこそが、ヒーローにとって、最高の報酬だからな!」
その、相変わらずのヒーロー口調に、アオイは、ぷいっと顔をそむける。
「……やっぱり、あなた、ちょっと、ウザいわね」
だが、その口元は、確かに、嬉しそうに、笑っていた。
◆
数日後。Cランク冒険者だけが立ち入ることを許される、ギルド二階の談話室《ラウンジ》。
俺は、そこで、他のベテラン冒険者たちが交わす、ある噂を耳にした。
「聞いたか? 隣の大陸にある、『テネブラ』って街の話だ」
「ああ、あの、魔王に生贄を捧げてるって、気味の悪い街だろ?」
「なんでも、その魔王が、最近、やけに力を増しているらしくてな。下手に近づいた商隊が、いくつか連絡を絶っているらしい。ギルドも、ついに重い腰を上げて、Aランク以上のパーティにしか、調査依頼を出さない、極秘の最高難度クエストを出したそうだ」
魔王。
生贄。
その、ヒーローの魂を、激しく揺さぶるキーワードに、俺の動きが、ピタリと止まる。
(なんだ……? この、胸騒ぎは。ただの噂話じゃない。これは、俺が、俺たちアーク戦隊が、解決すべき、次なる事件の、始まりの合図だ……!)
俺は、仲間たちに、この胸の高鳴りを伝えるため、談話室を飛び出した。
俺の頭の中には、すでに、次なる壮大な物語の、オープニングが流れ始めていた。
テーブルの上には、俺たちが持ち帰った「裏帳簿」と、砕け散った「呪われし聖杯」の破片が並べられている。
「……なるほどな。投資詐欺で集めた金で、禁断の呪具に手を出し、自滅、か。救いようのない、愚かな末路だ」
サラは、事の顛末を聞き、厳しい表情でそう呟いた。そして、俺たちに向き直ると、その顔を和らげた。
「だが、君たちのおかげで、街に潜んでいた大きな脅威を、また一つ、未然に防ぐことができた。よくやってくれたね、アーク戦隊」
その言葉を受け、今まで黙っていたアオイが、一歩、前に出た。
「ギルドマスター。お願いがあります。この『裏帳簿』は、ヴァイス家による投資詐欺の、決定的な証拠です。これを元に、ギルドから、他の被害者への救済と、私の……私の借金の無効を、正式に働きかけていただくことは、可能でしょうか」
彼女が、初めて、自らの問題を、他者を頼ることで公的に解決しようとする、大きな一歩を踏み出した瞬間だった。
サラは、その申し出に、力強く頷いた。
「もちろんだ。ギルドが全面的に協力しよう。君は、もう一人で抱え込む必要はない」
その言葉は、アオイの肩から、長年彼女を縛り付けていた、重い荷物の一つを、確かに下ろしてくれたように見えた。
サラは、立ち上がると、俺たち四人を見渡し、宣言した。
「さて、これまでの君たちの功績――時計塔事件の解決、マザー・ワイバーン討伐、そして、今回のヴァイス家事件。これらを総合的に判断し、ギルドは、君たちのパーティランクを、本日付で、DからCへと昇格させることを、ここに決定する!」
その日の午後、ギルドのロビーにある巨大な掲示板に、俺たちの昇格が、大々的に貼り出された。
それを見た、周囲の冒険者たちから、どよめきと、そして、賞賛の声が上がる。
「おい、見ろよ! あの新人ども、もうCランクになったぞ!」
「当たり前だろ! Aランクの『黄金の獅子団』を実質的に解散に追い込んで、マザー・ワイバーンまで倒したんだぜ」
「すげえな、『アーク戦隊』……!」
以前のような「若輩」として見る者は、もういない。俺たちは、名実ともに、この街の中堅パーティとして、誰もが認める存在となったのだ。
街を歩けば、「あ、アーク戦隊の人たちだ!」と、子供たちが、憧れの眼差しを向けてくる。
(ふっ、いいぞ。ヒーローとは、こうでなくてはな! 市民の憧れの的となり、子供たちに夢を与える! 我々の活動は、着実に、この街に根付いてきている!)
俺は、プロデューサーとして、これ以上ないほどの満足感に浸っていた。
◆
その夜、四人は、いつものレストランで、Cランク昇格と、アオイの問題解決への第一歩を祝して、ささやかな祝勝会を開いていた。
以前とは違い、そこには、もう気まずい空気はない。自然な、仲間としての会話が、テーブルの上を飛び交っている。
食事の途中、アオイが、おもむろに、俺たち三人に、その綺麗な顔を下げた。
「……その、今回は……ありがとう。あなたたちがいなければ、私は、きっと、一生、あの過去に縛られていたわ」
彼女が、初めて見せた、素直な感謝の言葉だった。
俺は、プロデューサーとして、そして、ヒーローとして、最高の笑顔で返す。
「礼には及ばん! 仲間が、最高の笑顔を取り戻すこと。それこそが、ヒーローにとって、最高の報酬だからな!」
その、相変わらずのヒーロー口調に、アオイは、ぷいっと顔をそむける。
「……やっぱり、あなた、ちょっと、ウザいわね」
だが、その口元は、確かに、嬉しそうに、笑っていた。
◆
数日後。Cランク冒険者だけが立ち入ることを許される、ギルド二階の談話室《ラウンジ》。
俺は、そこで、他のベテラン冒険者たちが交わす、ある噂を耳にした。
「聞いたか? 隣の大陸にある、『テネブラ』って街の話だ」
「ああ、あの、魔王に生贄を捧げてるって、気味の悪い街だろ?」
「なんでも、その魔王が、最近、やけに力を増しているらしくてな。下手に近づいた商隊が、いくつか連絡を絶っているらしい。ギルドも、ついに重い腰を上げて、Aランク以上のパーティにしか、調査依頼を出さない、極秘の最高難度クエストを出したそうだ」
魔王。
生贄。
その、ヒーローの魂を、激しく揺さぶるキーワードに、俺の動きが、ピタリと止まる。
(なんだ……? この、胸騒ぎは。ただの噂話じゃない。これは、俺が、俺たちアーク戦隊が、解決すべき、次なる事件の、始まりの合図だ……!)
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