私の邪悪な魔法使いの友人2

ロキ

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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子

第三章 13)旅の資金の無心

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 「なるほど、カルファルとは、君の名前だったか」

 プラーヌスが舌打ちをした。
 プラーヌスのその表情を伺う限り、質問するまでもなく、彼がこの客を歓迎していないのはわかった。
 案内もされていないのに、勝手に謁見の間に入ってこられたことも不快だったかもしれない。
 衛兵たちは何をしていたのか。そう思ったけど、彼が魔法使いならば制止することは不可能であろう。

 「で、何かの用かな? カルファル」

 「旅の途中に立ち寄っただけさ」

 「ほう」

 「俺は今、最高の女を探して旅をしている。この世界で最も美しい女をね」

 カルファルが言った。何と言う恥ずかしいセリフであろうか。私はその言葉に唖然とさせられた。
 しかし本人は少しも恥ずかしくもないようだ。むしろそんな自分を誇るように言ってくる。 

 「俺と女たちが静かに暮らせる家も探している。案外、この塔で暮らすのも悪くないかもな」

 カルファルがピタリと足を止めて、謁見の間を見渡しながら言った。「良い建物じゃないか。お前にはもったいない」

 「それは僕から、この塔を奪い取りたいってことか?」

 一瞬、プラーヌスの瞳が鋭くきらめいた。

 「違う、違うさ。俺はもう魔法は捨てたんだ。どうあがいても、お前のような奴には敵わない。もう努力をするのはやめた。これからの俺は、女に生きる。女はいいぞ、プラーヌス。柔らかくて、触り心地は最高。とびきり優しくて、従順だ。まあ、確かにどいつもこいつも嫉妬深くて、思い込みは激しい。しかも心は狭く、視野が広いとは決していえない。何でも一面的に捉えたがる。しかし、トータルで見ると、この地上で最も美しくて、心地の良い生き物は女だよ。猫よりも数等優れている。呑めば酒よりも上手い」

 「ここに女を探しに来たのか?」

 「こんな僻地にろくな女はいないだろう。旅の途中に立ち寄っただけだ。宿代わりにな」

 「そうか」

 プラーヌスはしばらくカルファルの顔を見つめ続けた。カルファルはその視線をニヤニヤしながら受け止めている。

 「いいだろう、一夜の宿くらいは提供しよう。しかし明日になれば、すぐに出て行くんだ。それともう二度と、僕の前に姿を現すな」

 「何だって? 俺たちはもう二度と会話出来ないのか? こんなにも早く、永遠の別れが訪れてしまうのかよ。まあ、いい。わかったよ、プラーヌス。しかしお前に一つ頼みたいこともある。金を貸してほしいんだ。長旅で資金が尽きかけている」

 「金だって?」

 「ああ、旅の資金だ」

 「旅の資金!」

 大袈裟に声を上げて、プラーヌスが笑った。

 「そう、旅の資金だよ!」

 カルファルも彼に負けないくらい、大声で笑った。
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