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三章 ありがたい?再会
倒すための仕込み
海面から飛び出たクラーケンの頭部は、イカのように三角の耳をつけながらも中心部はタコのように丸かった。
ガイは剣の柄を逆手で持ち、落下する勢いのままクラーケンの目に突き立てる。
ぶよぶよとした体と違い、どんな生物も目は柔らかい。
例に漏れずクラーケンの目は不意の一撃を深々と受け、オォォォォォォッ! と地響きのような叫びを上げ、激しく身をうねらせる。
触手が大きく波打ち、海がますます荒れる。
落下の勢いが消えてガイの身が振り回されそうになる時――ドシュッ。少し遅れて、クラーケンの眉間にゲインの剣が突き立てられた。
その瞬間、クラーケンの動きが完全に止まった。
「ゲイン、これはいったい?」
クラーケンの頭部に立つと、ガイはゲインを見やりながら尋ねる。
深々と刺さった剣の鍔を思いっきり踏み降ろし、さらに深く剣をめり込ませた後、ゲインはクラーケンに向けて顎をしゃくった。
「コイツの弱点だ。ここを突き刺すと、しばらく動きが止まる。だが一時的なものだから、今のうちに攻めるぞ」
「わかった!」
ガイは自らの剣を引き抜き、一端狭くなっていた視野を広げる。
どの部分も分厚くブヨブヨとした皮で、当てずっぽうに攻撃してもクラーケンには効かない。
ならばとガイは頭部と触手の付け根に向け、剣を振り上げて斬りつける。
海面から覗く付け根が大きく裂け、青い体液が吹き出す。
急所とは違い、体力を大きく削るものではない。だがクラーケンが動き出せば、自らの腕の重さと動きで裂けていく。それが狙いだった。
ゲインも同様に斬りつけていく中、遅れて海の男たちも甲板から銛を投げて攻撃を重ねていく。
ぐらり、とガイの足元が揺れる。
クラーケンが再び動き出す気配を悟り、ガイとゲインは船へ戻ろうと海に浮かび出ている触手の上を駆けていく。
「お二人とも、早くこちらへ!」
ラヒュが船から身を乗り出し、大きく通る声で叫ぶ。
船に戻れるよう縄梯子を下ろしているのが見え、ガイたちはそれに向かっていく。
縄梯子の両脇で、ラヒュとエリクが両雄をすぐに引き上げようと控えている。
剣を鞘に収めてすぐにゲインが縄梯子を登り、ガイも踏ざんを掴んだその時だった。
ザパァァァッ、とクラーケンの触手が大きく動き出す。
「く……っ!」
ガイの体が跳ね上がりそうになるが、間一髪で梯子にぶら下がる。
急いで甲板まで登ろうとするガイの脚を、荒波が呑み込もうとぶつかってくる。
船とともに縄梯子も揺れ、上手く手を進めることができない。
一瞬でも手を離せば海に落ち、なすすべなくクラーケンの餌食になってしまう。
懐に隠れて状況がわからないだろうロジーに、ガイは話しかける。
「揺れがひどい……大丈夫かロジー?」
〈ぼくはだいじょうぶー。うみにおちても、しんきでまもられてるから。ママはだいじょうぶ?〉
「ああ。甲板に上がりさえすれば、後は船に打ち付けてくる触手を弾き続ければいい」
ギュウ、と綱を強く掴み、確実に縄梯子を登りながらガイが答えていると、甲板からどよめきが聞こえてきた。
ガイは剣の柄を逆手で持ち、落下する勢いのままクラーケンの目に突き立てる。
ぶよぶよとした体と違い、どんな生物も目は柔らかい。
例に漏れずクラーケンの目は不意の一撃を深々と受け、オォォォォォォッ! と地響きのような叫びを上げ、激しく身をうねらせる。
触手が大きく波打ち、海がますます荒れる。
落下の勢いが消えてガイの身が振り回されそうになる時――ドシュッ。少し遅れて、クラーケンの眉間にゲインの剣が突き立てられた。
その瞬間、クラーケンの動きが完全に止まった。
「ゲイン、これはいったい?」
クラーケンの頭部に立つと、ガイはゲインを見やりながら尋ねる。
深々と刺さった剣の鍔を思いっきり踏み降ろし、さらに深く剣をめり込ませた後、ゲインはクラーケンに向けて顎をしゃくった。
「コイツの弱点だ。ここを突き刺すと、しばらく動きが止まる。だが一時的なものだから、今のうちに攻めるぞ」
「わかった!」
ガイは自らの剣を引き抜き、一端狭くなっていた視野を広げる。
どの部分も分厚くブヨブヨとした皮で、当てずっぽうに攻撃してもクラーケンには効かない。
ならばとガイは頭部と触手の付け根に向け、剣を振り上げて斬りつける。
海面から覗く付け根が大きく裂け、青い体液が吹き出す。
急所とは違い、体力を大きく削るものではない。だがクラーケンが動き出せば、自らの腕の重さと動きで裂けていく。それが狙いだった。
ゲインも同様に斬りつけていく中、遅れて海の男たちも甲板から銛を投げて攻撃を重ねていく。
ぐらり、とガイの足元が揺れる。
クラーケンが再び動き出す気配を悟り、ガイとゲインは船へ戻ろうと海に浮かび出ている触手の上を駆けていく。
「お二人とも、早くこちらへ!」
ラヒュが船から身を乗り出し、大きく通る声で叫ぶ。
船に戻れるよう縄梯子を下ろしているのが見え、ガイたちはそれに向かっていく。
縄梯子の両脇で、ラヒュとエリクが両雄をすぐに引き上げようと控えている。
剣を鞘に収めてすぐにゲインが縄梯子を登り、ガイも踏ざんを掴んだその時だった。
ザパァァァッ、とクラーケンの触手が大きく動き出す。
「く……っ!」
ガイの体が跳ね上がりそうになるが、間一髪で梯子にぶら下がる。
急いで甲板まで登ろうとするガイの脚を、荒波が呑み込もうとぶつかってくる。
船とともに縄梯子も揺れ、上手く手を進めることができない。
一瞬でも手を離せば海に落ち、なすすべなくクラーケンの餌食になってしまう。
懐に隠れて状況がわからないだろうロジーに、ガイは話しかける。
「揺れがひどい……大丈夫かロジー?」
〈ぼくはだいじょうぶー。うみにおちても、しんきでまもられてるから。ママはだいじょうぶ?〉
「ああ。甲板に上がりさえすれば、後は船に打ち付けてくる触手を弾き続ければいい」
ギュウ、と綱を強く掴み、確実に縄梯子を登りながらガイが答えていると、甲板からどよめきが聞こえてきた。
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