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二章 駆け引き
本気だからこそ2
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「ああ、危なかった。こんな風に驚かせてしまうのは目に見えていましたから、できるだけ抑えていたのに……貴方が素直になれ、なんて煽るから……」
「み、耳元でしゃべるな……っ。言っておくが、煽ってはいないからな」
「不用意に煽り過ぎですよ。昨日だって、私を誘惑して……本音を言ってしまえば、契りを交わして貴方を淫らにしたくてたまりませんでした」
昨日の誘惑、しっかり効いていたのか?! 色仕掛けがこんなに有効だったとは……。
……いや。どう考えてもミカルが俺を愛する理由が見当たらない。
これは賭け引きだ。情を持たせて俺を利用する気なんだ。それ以外に俺へこんな話をするなんて――。
動揺のまま暴れてしまいたい。だがそんな醜態は見せたくなくて抱擁を堪え続けていると、ミカルは俺の頭へ手を回し、ゆっくりと撫で下ろす。
「貴方が嫌がることはしたくないのですが、本音を隠されたくないということでしたら、抑えるのを控えましょうか。もちろん押し倒しなどはしませんよ。貴方を大切にしたいですから……どうかご安心下さい」
はっきり下心があると分かって、安心などできるか……っ。しかも何がお前を煽る要因になるのか読めないというのに。ああ、くそっ。優しく触ってくれるな。
心の中でミカルを責めながら、俺は思いきり顔をしかめたくなるのを堪える。
コイツにそのつもりがなくても、俺には駆け引きしてでも隙を作りたい。
適度に気を持たせる素振りを見せて、情報を聞き出していく――言葉だけの戯れなら、まあどうにかできる……と思う。正直、苦手ではあるが。娼婦まがいのことをするよりはマシだ。
「そうだな。隠されるよりは、表に出してもらったほうがいいかもな。何がお前を煽る
言動なのか知ったほうが、無暗にお前を煽らなくなって自衛できそうだ」
「自衛目的ですか、貴方らしいですね。でもカナイが何をしなくても煽られるのですが……」
「じゃあ勝手に煽られていろ。お前の理性がどこまで耐えられるか試してやるのも一興か」
「試してくれるならありがたいですね。私の本気を知って頂けますから」
……やはりこの男は苦手だ。
今までよりもやり取りが疲れそうだと思っていると、ミカルが俺から体を離す。
「もう食事はいいですか? 私の血は後味が悪いでしょうから、ココで口直しでも」
そう言ってテーブルへ手を伸ばし、歪な球状のココをひとつ摘まんで俺に差し出す。
確かに口の中が薄っすらとバラの香が張り付いており不快だ。
少しでも楽になるならと、俺はココを受け取ろうと手を上げかける。
俺の動きを見てミカルはココを俺の顔に近づけ、口にそっと押し込んできた。
優しいながらも強引に口の中へ入れられ、思わず俺はそのまま食べてしまう。
甘くて香ばしい味。シャリシャリとした独特な木の実の食感がする。噛めば噛むほど甘い香りが広がり、後味の悪さを消してくれるが、今度は口が甘ったるくて仕方がない。
甘味なんて好んで食べない。これだったら後味が悪いままでよかったかと思っていると、ミカルがにこりと笑って告げてきた。
「では、そろそろお風呂にしましょうか」
身を清めることは、生活する上で必要だ。
しかしコイツの本音を知ったばかりの今、この当たり前に心が軽く絶望した。
「み、耳元でしゃべるな……っ。言っておくが、煽ってはいないからな」
「不用意に煽り過ぎですよ。昨日だって、私を誘惑して……本音を言ってしまえば、契りを交わして貴方を淫らにしたくてたまりませんでした」
昨日の誘惑、しっかり効いていたのか?! 色仕掛けがこんなに有効だったとは……。
……いや。どう考えてもミカルが俺を愛する理由が見当たらない。
これは賭け引きだ。情を持たせて俺を利用する気なんだ。それ以外に俺へこんな話をするなんて――。
動揺のまま暴れてしまいたい。だがそんな醜態は見せたくなくて抱擁を堪え続けていると、ミカルは俺の頭へ手を回し、ゆっくりと撫で下ろす。
「貴方が嫌がることはしたくないのですが、本音を隠されたくないということでしたら、抑えるのを控えましょうか。もちろん押し倒しなどはしませんよ。貴方を大切にしたいですから……どうかご安心下さい」
はっきり下心があると分かって、安心などできるか……っ。しかも何がお前を煽る要因になるのか読めないというのに。ああ、くそっ。優しく触ってくれるな。
心の中でミカルを責めながら、俺は思いきり顔をしかめたくなるのを堪える。
コイツにそのつもりがなくても、俺には駆け引きしてでも隙を作りたい。
適度に気を持たせる素振りを見せて、情報を聞き出していく――言葉だけの戯れなら、まあどうにかできる……と思う。正直、苦手ではあるが。娼婦まがいのことをするよりはマシだ。
「そうだな。隠されるよりは、表に出してもらったほうがいいかもな。何がお前を煽る
言動なのか知ったほうが、無暗にお前を煽らなくなって自衛できそうだ」
「自衛目的ですか、貴方らしいですね。でもカナイが何をしなくても煽られるのですが……」
「じゃあ勝手に煽られていろ。お前の理性がどこまで耐えられるか試してやるのも一興か」
「試してくれるならありがたいですね。私の本気を知って頂けますから」
……やはりこの男は苦手だ。
今までよりもやり取りが疲れそうだと思っていると、ミカルが俺から体を離す。
「もう食事はいいですか? 私の血は後味が悪いでしょうから、ココで口直しでも」
そう言ってテーブルへ手を伸ばし、歪な球状のココをひとつ摘まんで俺に差し出す。
確かに口の中が薄っすらとバラの香が張り付いており不快だ。
少しでも楽になるならと、俺はココを受け取ろうと手を上げかける。
俺の動きを見てミカルはココを俺の顔に近づけ、口にそっと押し込んできた。
優しいながらも強引に口の中へ入れられ、思わず俺はそのまま食べてしまう。
甘くて香ばしい味。シャリシャリとした独特な木の実の食感がする。噛めば噛むほど甘い香りが広がり、後味の悪さを消してくれるが、今度は口が甘ったるくて仕方がない。
甘味なんて好んで食べない。これだったら後味が悪いままでよかったかと思っていると、ミカルがにこりと笑って告げてきた。
「では、そろそろお風呂にしましょうか」
身を清めることは、生活する上で必要だ。
しかしコイツの本音を知ったばかりの今、この当たり前に心が軽く絶望した。
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