神々の依頼、面倒なんですけどっ!

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第3章 航路

53.港について聞くようです

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翌朝ベッドでゆっくりしていると、部屋の扉がノックされる。

「旦那様、そろそろお着替えを」

ひかりの声がする。ハジメは返事をして起き上がり伸びをして服を着替えると2階の食堂に降りていった。4人で食事をした後、陽と一緒に商人の対応を行う。商人はいつ来店するか分からないので、陽が対応できるようになればハジメは外出することが出来るようになるのだ。冒険者としての活動も再開することが出来る。

 開店して10分ほどすると最初の商人が入ってくる。話をするとどうやらイブの街の南の方から来た商人らしい。イブの南には湿地帯が広がっておりそこを抜けると草原が広がりさらにその奥にはサバンナが広がっているらしい。さらに南に下ると砂漠が広がっているとのことだった。その商人はサバンナにある街『アダ』から来ており、そこの名産はハイラックというモンスターの皮で、割と高値で売れるらしい。イブの街で買うとなると数十万sを超える。アダからは歩きで2か月、定期馬車で1か月ほど掛かるため運搬費用がどうしても加算されてしまう。そして帰りにポーションを仕入れて売っても利益はそこまでないらしい。
 今まではエルフ国まで行きポーションを仕入れてきたが、アダの街まで帰ってくると使用期限は1か月となってしまう。そしてそこまでの時間とリスクを考えるとポーションを仕入れるという行商人は少ない。ハジメの元を訪れたアダの商人イッチーは『ダス王国』からの依頼を受け護衛費が無料となる代わりにこんなリスキーな行商をしているのだ。しかし最近『アヴァ国』イブの街でポーションが作られ噂を聞き、急いで駆け付けたとのことだった。

「海路は使わないんですか?」

とハジメは聞く。神様の所でみた世界地図ではイブの街から東に出ると馬車で2-3時間の所に海岸があり、港がある。話を聞いたところではダスの街から東に出ても3-4時間くらいで港に着くのだ。そこで船に乗り海岸線に沿って運航すれば1週間ほどで着くのではないだろうかと考えたのだ。

「海路を使うとなると船が小さすぎて何そうも使うことになりますし、それに護衛代も割高になって採算が合わなくなりますよ」

とイッチーは笑いながら言った。ハジメも話を合わせ商談は終わり、イッチーはありがとうございましたと告げ店を後にした。

「旦那様。この世界では大きな船を使って運搬という考えはないのです。だからこそ水の神もその発展をハジメ様に願ったのです」

「んー。じゃぁ港町は魚を取るだけの場所ってこと?」

「えぇ、そうですね。ですからどの港町は小さく、経済も良くはないのです。行商人は陸路を通りますし、軍事という点でも使用しないのですから。彼らは男が魚を釣り、街に売りに行くという経済しかないのです。あとはほぼ自給自足ですから」

ひかりが言った。ハジメ的には海路を使うことでアダの街で今よりも安くポーションが手に入るのにとは思ったが常識というのはなかなかに難しい。

「旦那様、近々港に行かれてみてはどうですか?その時はまいあいも連れて行ってください。ご自身に何かあれば私たちも困りますので。それと次は私が商談していいでしょうか?」

と言うので「わかったよ。じゃぁ次はお願いするね」と伝えると頭を下げて扉を開ける。そこにはノックをしそうになって急に開いた扉に驚いているリナリーが居た。

「ご主人様、次の商人の方がお見えです」

と言うと後ろに下がる。そして案内されてきた女が一人立っていた。ハジメと陽は彼女を室内に案内し、向かい合って座った。その時ひかりは天井に向かって何か呟いていたがすぐに女に視線を戻す。女はそれに気づかずにこりと笑って

「私はこのイブの街の西にあるアウレン国のアプの街の商人でリズと申します。エルフ国と連絡が取れなくなり、ポーションの入荷が無くなってしまったので、是非ポーションを売って欲しくて参りました」

と言ったがひかりの眉間に皺が寄る。ハジメは何かあったのかと思ったが相手が挨拶しているからこちらも挨拶を返すことが礼儀であると思い、何も言わないひかりに変わって挨拶を返す。

「初めまして、私はこの店の店主のハジメと申します。そしてこの者は陽と申します。今日は陽と共にお話を聞かせていただきます」

ハジメは頭を下げたが、ひかりは下げない。

ひかり、挨拶は返すのが礼儀だよ」

と少し怒ったような口調で言うと、ひかり

「あぁ、申し訳ありません。しかし、このかた。なぜ嘘を言われるのかと思いまして。リズ様は流れの暗殺者。おおかたこの街の旦那様を一方的に敵視する商人か貴族に雇われた・・・と言ったところですかね?」

ひかりが目を細めて言う。その瞬間リズは懐に手を入れ一振りのナイフを取り出し、テーブルを飛び越えてひかりを襲う。鈍く銀色に光る刃がひかりの首に迫る。ハジメは急な出来事に反応出来ずにいた。ひかりは全く動かず

「その刃のない武器で私の首は落ちませんよ?」

と冷たく言い放つ。いつの間にかナイフの刃がなくなっている。その事実に驚いている彼女の隙を見てひかりが腹に一撃入れると彼女の体から力抜けた。そしてひかりは無表情のまま彼女の足を持ち上下に揺らした。すると瞬く間に武器の山が築かれていった。

「旦那様、へ参りましょう」

と気絶したリズをひかりはお姫様抱っこをして部屋を出て行った。その様子を見てリナリーが慌てていたが、

「遠路で疲れてしまったようですので宿までお連れしてまいります。お店をお願いしますね」

ひかりは堂々と嘘を吐き、ハジメと共にに向かった。

なぜ商人ギルドから商業ギルドへと名前が変わっているかと言うと数日前、エヴァとベスパとが家にやってきたことにさかのぼる。最初のうちハジメは店内の様子を見るためだけに来ていると思っていた。それは正しかったのだが、それだけではなかった。昼過ぎにお客さんの数が落ち着いてきたとき、彼女らは話しかけてきたのだ。

「ハジメさん。お店も順調のようですし、そろそろ商業ギルドへ登録してみてはどうですか?」

「ギルド?私は登録していたはずですが?」

「ハジメさんが登録しているのはギルドです。ギルドではないでしょう?」

と意地悪っぽくエヴァが言う。

「エヴァ様、ハジメさんを揶揄からかうのは止めてください。ハジメさん、すみません。説明させていただきますね。商人ギルドは『あきないを行う人々の集まり』なのです。他国の商人と取引が行われるようになりましたらその枠からはみ出してしまうのです。それなりの大きさの店になると所属していただくのが『商業ギルド』なのです」

とベスパが言う。

「なるほど・・・。という事は私たちは商人ギルドを抜けて商業ギルドへと席を移さなくてはいけないということですね」

とハジメが納得する。加入料・年会費高くなりそうだなと思わず考えてしまった。

「えぇ、そうなります。ハジメさんは商人ギルドに加入されていますので、加入料は不要です。しかし今まで一定だった年会費が変動制へ変わります。年間売り上げの20%が会費となります。その為にこれからの売買や店に必要な物品購入などは全てギルド口座を使用していただくことになります。店での売り上げは1週間ごとに口座へ入れて頂ければ大丈夫ですが、その時に売り上げ明細を提出していただくことになります」

面倒臭さと税金の高騰こうとうに少しげんなりする。

「駆け出し商人などは街が保護しますが、業績を伸ばした店はその対象から外れるのです。その代わりに特典がかなり付きます。その他の税金が無税になります。この街に住む税、持ち家の税、奴隷を持つことにより発生する奴隷の税、何かしら公費が足りない場合に課せられる臨時税などですね。まぁ、ウォール様がこの街の管理をし始めてから臨時税は徴収されたことはないですけど。他には大通りに続く門が使用できます。まぁ大扉おおとびらの横の門ですが」

大通りにダイレクトにつながる門はいつも閉ざされていて、街に向かって左手に従者が使う門があった。その従者が使う門も普通の門と比べても2倍くらい大きく、門を入ったところには馬車が20台ほど停められる広場があったが、そういう使い方をされていることをハジメは知った。

「次に、これが一番の特典ですが、商業ギルドに入った情報はで提供されます。ハジメさんが知りたいことなどあれば職員に伝えて頂ければ入っている最新情報をお伝えできます。情報がない場合でも収集して内容によりますが、1~2週間程度でお伝えすることが出来ると思います。そして最後にハジメさん専属のギルド職員が付きます。それがこのスムスです」

スムスと紹介された中年の人族の男性は頭を下げ自己紹介をした。

「やれやれ。いつまで説明が続くのかと思いましたよ副ギルド長。私が紹介にあったスムスです。本日よりハジメ様の店の専属にならせていただきます。ですので全ての用事は私にお申し付けください」

「そういう訳なので今日からハジメさんは商業ギルド所属というわけで」

とエヴァが言う。

「えっと、ギルド変更の事はわかりましたが、私、商業ギルドの場所知らないのですが・・・」

と言うとハジメとひかり以外が固まった。

「ご主人様・・・」

とコウがハジメの服の後ろをクイクイと引く。振り返ると

「・・・ご主人様・・・商業ギルドは商人ギルドと同じですよ」

と申し訳なさそうに言う。当たり前のことだったらしいと知り思わず赤面してまったハジメだったが、

「・・・・ギルド証は次にギルドに来たときにスムスに渡してね。その時変えるから。それまでは門を使う時は今まで通りの所しか使えないけど。あと、ギルド長と副ギルド長は私たちだからね」

と呆れながらエヴァが言っていたのは苦い思い出である。

そんなこと考えながら歩いていたがキリの良いところでギルドに着いた。訪問した理由を伝えると受付は騒然としたが、ハジメが事情を説明し、彼女が持っていた武器を渡すと縄を巻かれ地下へと連れていかれた。

受付嬢によるとこのまま警備隊詰め所へ連れていき尋問されるとのこと。

「それなら先に警備隊へ引き渡せば良かったですね。すみません」

と謝ると、

「いえ、こちらに連れてきていただけるのはありがたいのです。商業ギルドが関連していると思わせないとこちらに連絡が来ませんから、詳細を知ることができないのです。商人をおとしめるものにはそれ相応の対価を払っていただくことが商人の地位を安定させるのですから」

と笑顔で言った。ハジメは引きつった笑顔でお礼を伝え家路についた。その時なぜ素性を知っていたのかひかりに聞くと、

まいにお願いして調べて貰いました。風はどこにでもあるのですから調べるのは得意なんですよ」

と答える。その時ひかりの後ろからピースサインをした舞が笑顔で顔を出した。

「舞、ありがとうございました」

ひかりが言うと、

「楽しかったから大丈夫なのです」

と答えた。どうやら楽しんでいたようである。

ハンドブック 11項目目

11-1.他国の状態を知ろう:Clear!

11-2.ハーブティーを手に入れよう:Clear!

11-3.商業ギルドに登録しよう:Clear!
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