神々の依頼、面倒なんですけどっ!

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第5章 第4節 西の塔 ~実り~

125.航(わたる)が無双するようです

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ハジメとわたるは階段を下まで降りていた。彼らの前に広がっているのはいつもと同じ広間である。違うのは天井から1mほど下に石像が等間隔で並んでおり重ねて差し出された両手の上に光が灯っていることくらいだろうか。下へと続く階段の両サイドには風神雷神像のような厳めしい武人の石像が彫刻されていた。まるで博物館のような光景があった。

【ステージ1-1開始】

いつも通りの無機質な声が聞こえると同時に地面から半分腐敗したオーガとオーグレスが次々に這い出して来る。地獄絵図のような光景だった。わたるはハジメの前に立ち

茂る薔薇ティックローズ分裂デビジョン

オーガ、オーグレスの中央に天井まで届きそうなほど一気に育った薔薇が20本ほど出現する。

土壁アースウォール穿つ棘ウェアーニードル分裂デビジョン

ハジメの視線を土壁が覆い隠す直前、薔薇から一斉に棘が噴出され、オーガたちを襲い、肉片を飛び散らせていたがこちらに飛んできたものはせり出してきた土壁によって遮られているのが見えた。そしてうめき声と棘が空気を割く音が収まると土壁は大地へと戻っていき、彼らの前に広がっているのは大地に刺さったショートランスくらいの長さでその2倍はあるほど太い棘と漂うウィル・オー・ザ・ウィスプのような肉体を持たない魂の存在だけだった。

【オーガ、オーグレスたちの殲滅を確認。ステージ1-1クリア。錬金術師のレベルが1上昇します。続けてステージ1-2を開始します】

その声と共にすべての魂が頭上のガーゴイル1つ1つに向かって飛び上がり命のなかった石像が一気に動き始める。

鞭打てウィッピング

棘をなくした薔薇が縦横無尽に揺れ、飛んでいるガーゴイルをハエ叩きで蠅を打つように地面へと叩きつけ、みるみるうちに飛び交う石像はその数を減らしていった。全てのガーゴイルを壊した後薔薇は身を付けてその体を固くしていった。

【ガーゴイルたちの殲滅を確認。ステージ1-2クリア。錬金術師のレベルが1上昇します。続けてステージ1-3を開始します】

穿つ種ウェアシード

階段脇に存在していた仁王像2体が動き始めると同時に薔薇の実がそれらに向かい飛んでいき、途中で実が弾け種が襲う。それは散弾銃のように。

【ストーンゴーレムの殲滅を確認。ステージ1-3クリア。錬金術師のレベルが1上昇します】

その声が響くとしばらくすると部屋の中央に佇んていた薔薇は枯れ、幹を大地に横たわらせた。

「ハジメ殿、これ。家の防衛にもなるでござる」

わたるはハジメに薔薇の種を渡してきた。

「ありがとう・・・。わたるがいつでも見れるように上手く育てるね」

「よろしくお願いするでござる」

わたるは嬉しそうに言った。

その後2階、3階、4階と歩みを止めることなく進んでいく2人。2階ではミスリルを、3階ではアダマンタイト、4階ではヒヒイロカネを手に入れていた。そして最後の5階へと向かう階段を下りきっていた。

そこにはちっちゃな緑の帽子を被った男が居た。背丈は175cmの身長のハジメの腰くらいの高さであり、身長の2倍ほどの大きなハンマーを持っていた。顔はその姿に似合わずかなり渋い中年から初老で顎に生えている髭には白髪が混じり始めている。一見すると頑固職人のような風貌だった。

「よくぞ参った。我が名はグノーム。大地の属性王をしておる」

声は幼稚園児・・・。なんともアンバランス。思わず吹き出しそうになるがなんとか我慢できたハジメだった。

「お主たちのお陰でこのが慰めていた者たちはかえれた。皆に成り代わりお礼申し上げる。白虎びゃっこ、そのお方を次の属性王の代わりにお護りせよ」

グノームがそう告げるとハジメの前に魔法陣が展開され、小さい白虎がくるりと円を描き飛び出してくる。ハジメはその子を受け止め、そっと地面に下した。

「さて、次代属性王わたるよ。我が前に」

わたるはハジメにぎゅっと抱き着く。ハジメはわたるを抱き上げ、優しく頭を撫でる。わたるはもう一度ハジメにぎゅっと抱き着き、グノームの前に歩いて行った。

「・・・我が力、知識、種となりて新たなる世代の芽とならん。受け継ぐ者よ、汝が得たを土壌とし、育てよ、いつくしめ。汝は世界の礎の1つとなる」

サラマンダーの時と同じようにグノームの前に1粒の茶色の種が現れ始めると共に彼の姿は年老いていく。種がその存在を固定させたとき彼の腕は皴しわとなる。そしてその種はわたるへと向かって進み彼の体内へと入っていく。そして大地がゴゴゴゴと震え、緑を芽吹かせ始める。

「さぁ、行かれるが良かろう。新たな大地の属性王わたるよ。今より世界は再生の時を迎える」

わたるはその身を大地に溶かし消えて行った。これで4人の属性王が誕生したことになる。ハジメの元にはもう精霊の誰もいないのだ・・・。ハジメは下を向いた。

「ハジメ殿・・・。貴方の心が新たな属性王を生んだ。我には貴方に贖罪することさえ出来ぬ・・・。ほんに申し訳ない・・・・」

グノームはハジメの前で土下座をしつつ消えて行った。後には1粒の種だけを残して・・・。そしてその上にハジメの目から溢れた水滴が静かに降っていた。ハジメは呆然と残された種を拾い上げる。ハジメが大切にしていたものは砂のように手から零れていってしまった。残ったのはこの種1つ。それを眺めていると不意にハジメの肩に手を置くモノがいた。

「・・・ハジメ君」

顔を上げるとそこにはスクナヒコが立っていた。

「スクナヒコ様・・・」

スクナヒコは何も言わずハジメが落ち着くまで一緒にいてくれた。

「ハジメ君。大地の妖精白虎も困ってるよー」

と相変わらずの口調で落ち着いたのを見計らって声をかけてきた。

「・・・そうですね。スクナヒコ様。ありがとうございました。君ははくだよ。これからよろしくね」

ハジメはスクナヒコに感謝の言葉を告げて、自分の足に体を擦り寄せてくる白虎を抱き上げそう名付ける。はくはざらざらした舌でハジメの頬を伝った雫を拭った。

「さて、ハジメ君。ちょっと一仕事して貰っていいかな?」

とスクナヒコが言うので頷く。精霊ズも今は頑張って仕事をしているのだ。自分も前に歩きださなくては恥ずかしく思ってしまう。

スクナヒコは笑顔で頷きクーラの領地の入り口へと一瞬にしてハジメと一緒に帰ってきた。

「え? 誰もいない??」

「うふふ。皆船に避難してもらったんだよ。後は建物だけが残ってるだけ。早速だけど、ハジメ君のアイテムボックスに家とか教会、温泉を収納してもらえるかな?」

と笑顔でハジメに提案してくる。

「は、はい。縮小リダクション

ハジメは現世の教会に触れながら魔法を唱える。教会は瞬く間に小さくなり、ミニチュアサイズになった。ハジメはそれをアイテムボックスに仕舞う。

「じゃぁ、時間ないから次々に行こー」

スクナヒコは元気言う。ハジメも言われるがまま家や教会をアイテムボックスへと収納していき、1時間ほどですべての建物やスクナヒコの像、石畳、港は無くなった。あるのは再利用していたマコンの街時代の城壁だけとなった。

「・・・この街ってこんなに広かったんですね・・・」

周囲を見渡しながらハジメが呟いた。

「そうだねー。でもこれから暫くはハジメ君は忙しくなるよー。うふふ」

とスクナヒコはハジメに告げる。

「じゃぁ、行こうか」

何処に? とハジメが問う前に2人は森の中に移動していた。

「・・・ここは?」

「ここはこの世界を作った時に神々が降りた場所。ハジメ君的に言うなら『始まりの地』。この世界では大森林と呼ばれている場所だよ。これからはこの土地がハジメ君のモノになるよ。アマテラス様から好きにしていいって言われてる場所。僕的には村?街?を作ってほしいけどね。そして今から世界の再編が始まる場所」

スクナヒコは笑顔でそう言った。

ハンドブック 10項目目

10-9.4属性の妖精を全て使役しよう:上書きClear!

10-11.始まりの地


ハンドブック 12項目目

12-5.土妖精と契約しよう:上書きClear!


ハンドブック 14項目目

14-2.西の塔の攻略:Clear!
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