今日も無駄に生きている〜嫌われ者の諦められない異世界放浪記〜

居屋鳥亜

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第一章:転移、そして学園へ

4話 行き先

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「さて、この街フィリクスには魔導師団、いわば魔法主体の軍隊を置いている。その訓練に今日から貴様も参加……」

「待つんじゃジカイナ、此奴は学園に連れて行く」

「何?」

 突如として老人二人の睨み合いが始まった。言い争いが続いていく。

「トオヤマを人前に出すのは危険すぎる、一体どんな目に遭うか」

「頑丈な眼帯でも渡すから安心しな。儂が育てたいんじゃ、此奴は。こんな育てがいのある逸材、久しぶりなんじゃ。最先端の魔法教育で、才能を最大限伸ばしたいんじゃ。古いんじゃよ、ジカイナの師団の教育方法は」 

「確かに魔法の教育の面では学園に勝てないのは認める。しかしだ、余の師団も十分高水準、あの学園がおかしいだけだ。トオヤマはあまり秘匿したい。各国から人が集うあの様な場は……」

「だから隠すっつってるじゃろ! つうか秘匿したいってなんじゃ! 解放戦線の主力の能力が未だにわかってないくらい謎めいとるんじゃぞ、リベリオンの権能は! ジカイナ、お前さんそうやって此奴を閉じ込める気か! 過保護の親かお前さんは!」

 俺をあまり外に出したくない王様と、外に出してでも最高の教育をさせたいグスタフさん。止まらない。いつまで経っても口論が終わらない。

 だが、そんなことより俺はある一つのことが気になってその口論がおぼろげにしか聞こえていなかった。

「……決めるのはトオヤマだ。考えさせてやるべきだ」

「そうじゃな。本人抜きで儂等だけが熱くなるのは馬鹿らしすぎるわい。……お前さんどこ見とるんじゃ?」

「いや……あそこ俺がさっき電気飛ばした場所なんですけど……なんかずっと残ってて」

 さっき適当に魔法を射出した場所に電気が張り付いたまま残っていた。いつまで経っても消える気配がなくて気になっていた。

「ほんとじゃ。一体これは……とりあえず消しとくわ」

 そうしてグスタフさんが手をかざした直後、目の前が真っ白になった。

「ぐおっ!」

 雷の様な音と共に、グスタフさんが後に倒れ込んだ。どうも爆発のようなものが起こったらしく、電気が張り付いていた場所は崩れてしまっている。

「何が起こったのだ……」

「わからん……相殺して消そうとしたら爆発した……」

 グスタフさんと王様は俺を見ていた。いや、違う違う!

「やってません! 俺何もしてません!」

 首を横に振って弁明していたら下の方からドタドタと足音が聞こえてきた。

「王よ、何が……その部屋は一体どうなさったのです!」

 全身鎧に包まれた人達が何人かいた。どんな表情をしているかわからないが、俺を見ていることは確かだ。

「まさか貴様が……だからリベリオンに交渉など無駄だと言ったのです! 王よ!」

「いや、今のはこのリベリオンに自慢気に魔法を見せびらかしていた使が出力を誤ってやらかしただけだ」

「おい」

 王様は責任をグスタフさんに押し付けて弁明してくれた。

「いや、しかし……」

「この者は何もしていない。それだけだ。戻れ」

「……命令に従います、我が王よ」

 鎧の人達は帰っていった。た、助かった……また捕まるかと思ったぜ……。

「あの者は、真面目なのだ。許してやってくれぬか」

「許すも何も、俺が暴発させたせいですし……ごめんなさい……」

 王様が俺を見ている。何を思っているのかは、よくわからない。

「トオヤマよ。今日はもう休め、疲れたであろう。研究者達が貴様を受け入れると言っている。そこで休むといい。使よ、案内を頼む」

「あいよ。それじゃ、次会うときは此奴がどうするか決めた時じゃの」

 王様のいる部屋の扉を閉めた。王様はまだ一人で何か考え込んでいる。

 *

 しかし、転移者がこの国に直接やってくるなど初めてのことだ。転移者は西側、サリアに行く筈だった。

 ……落ちてきたのはリベリオン。特異なことだらけである。天は一体何を考えているのだろうか。

 ともかく、トオヤマは間違いなくこの国に何かをもたらす。この天からの授け物を、必ずモノにしてみせよう。

 しかし……先程の暴発で騎士団へのトオヤマの印象は悪くなっている。……早いうちに団長を集めて会議を開こう。
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