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本編
-77- キャンベル商会の見学
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どれ…おおう、確かに品質に差がある。
効果にも差が数値として出ちまってる。
成分の薬草は同じだ、産地も同じ、分量も同じ…けど、調合した名前が違うな。
箱を覗き込むと、一列分の製作者つまり、薬師は同じだ。
残りの製作は3名か。
だが、この一列分のみ同じ薬師らしい。
「確かに、こちらとこちらでは品質が違いますわ」
「同じ成分で作ったっていってるだろ?作り方も同じだ!」
「薬師が違いますね」
「え?」
「ああ、すみません。確かに薬草の産地や成分は同じようですが、ここの一列分と、他の物は製作者、調合した薬師の名前が異なります。
同じ成分でも調合する薬師が違えば差が生まれます。その差では?」
「読めるのですか?鑑定眼をお持ちで?」
エマさんと話をしていた商会員がびっくりした目で俺を見る。
多分、どっかの貴族のボンボンがわがままで見学に来てるんだと思われてんだろうなあ。
「いえ、私が鑑定できるのは、薬に関するものだけです。
ですが、元宮廷薬師のオリバー様の下で鍛えられていますので、今お伝えしたことは本当ですよ。
こちらの方も、嘘は仰ってません。同じ成分で同じ作り方をされています。ただ、薬師の調合技術に差が出ているだけです」
「大変参考になります。因みに効果はどのくらい違うかもお分かりですか?」
「こちらの一列と他の物を比べますと、ここからここまでは、回復するのに時間がかかります。その時間はおよそ20分ほど。回復力は変わりません。
次にここからここまでは、回復時間は同じですが、回復力は-4。魔力回復ですから4違うとかなり差があるかもしれません。
最後に、ここからここまでは、時間は15分ほど差があり、回復力はこちらのものと比べると、-5です。それぞれ別々に、3名の薬師が調合してます」
「アサヒ様、ご協力感謝いたします。では、こちら一列は以前と同じお値段で納品いたします。
残りは、今回は7割で手を打ちましょう。
次回は、こちらと同じだけの品質での納品をお願いします」
エマさんが、有無を言わせない笑顔で答えを出すと、おっさんが受付の机を思いきり拳で叩いた。
が、真っ赤になって涙目だ。
まー、そりゃそうだ、きっとこういったときのために受付は、防御力高く作られていることだろう。
「ご納得いかないようでしたら、こちらの一列分のみ納品させていただきますが」
「今回は7割で手を打つ!……っどこのボンボンだが知らねえが、余計な知識を言いやがって!」
金をつかみ取りずんずんと出ていくおっさんを見送る。
ああ、あんなこと言っちまったら、この先もう取引はねえだろうなあ……と思っているとエマさんが綺麗な笑顔で笑う。
怖え……美人だから余計に。
「不快にさせてしまい申し訳ありませんでした。会長案件になりますし、しっかりと被害届をお出ししましょう」
「被害届なんてそんな。エマさんのせいじゃありませんよ。私でお役に立てたなら良かったです」
人の目と耳があるので、猫を被り微笑む。
被害届とかやっちまうと、オリバーに色々と心配かけちまうから勘弁してもらいたい。
ふ、と視線を向けると、追い返されているじいさんと小さな子供に目が入る。
残念そうに出口へと足を向けている。
子供がかかえていた鉢植えは、一本の薔薇に見えた。
けして綺麗ではないが、なぜだか凄く惹かれた。
もう少し間近で見てみたいと、カウンターを飛び越えて出口へと急ぐ。
エマさんが驚いた声をあげて、俺を呼び止めるがそれどころじゃない。
今を逃せば、チャンスがない気がする。
「っ待ってくれ!待って、その花俺に見せて!」
取り繕うことも忘れて、出口寸前で呼び止める。
しゃがみこんで、子供の身長と合わせると、おずおずと子供が鉢植えを俺の前に出してくれた。
「この花は、君が育てたの?」
「うん」
薬草じゃないし、薔薇だ。
見た目は品がないように見えるが、花びらが見たことないくらいに肉厚で、香りが高い。
一本なのにも関わらず、すげーいい香りがする薔薇だ。
「凄く良い香りがする薔薇だ」
「残念だがあ、取引できなかったので家に帰るところです」
じいさんは訛りのある喋り方だ。
エリソン侯爵領出身者か、同じ訛りのじーさんを知ってる。
だからここの商会に来たのかもしれないな。
よく見たら、ふたりが着ているセーターの胸元には、エリソン侯爵領の紋章が入ってる。
なら、丁度いい。
この商会で取引できなかったんなら、直接領で取引してもらえばいい。
「俺は花の鑑定は薬草しかできないけど、上にいる俺の夫は、植物に詳しいから是非鑑定してみませんか?」
「でもなあ……、ここが初めてじゃない。所詮、幼い子供が作った花だあ、相手にしてもらえん」
「俺の夫は、オリバー=ワグナーです。今、アレックス様も一緒にいらしてますから、鑑定結果によっては、直接取引できると思います」
「っな!アレックス様がいらしてんのか!それに、オリバー様っていやあ、薔薇の病治療に貢献したって有名なお方だあ」
「はい。ですから、どうですか?」
「是非、是非おねがあしやす」
「エマさん、この2人上に一緒に連れて行っていい?」
「わかりました。ご案内します」
効果にも差が数値として出ちまってる。
成分の薬草は同じだ、産地も同じ、分量も同じ…けど、調合した名前が違うな。
箱を覗き込むと、一列分の製作者つまり、薬師は同じだ。
残りの製作は3名か。
だが、この一列分のみ同じ薬師らしい。
「確かに、こちらとこちらでは品質が違いますわ」
「同じ成分で作ったっていってるだろ?作り方も同じだ!」
「薬師が違いますね」
「え?」
「ああ、すみません。確かに薬草の産地や成分は同じようですが、ここの一列分と、他の物は製作者、調合した薬師の名前が異なります。
同じ成分でも調合する薬師が違えば差が生まれます。その差では?」
「読めるのですか?鑑定眼をお持ちで?」
エマさんと話をしていた商会員がびっくりした目で俺を見る。
多分、どっかの貴族のボンボンがわがままで見学に来てるんだと思われてんだろうなあ。
「いえ、私が鑑定できるのは、薬に関するものだけです。
ですが、元宮廷薬師のオリバー様の下で鍛えられていますので、今お伝えしたことは本当ですよ。
こちらの方も、嘘は仰ってません。同じ成分で同じ作り方をされています。ただ、薬師の調合技術に差が出ているだけです」
「大変参考になります。因みに効果はどのくらい違うかもお分かりですか?」
「こちらの一列と他の物を比べますと、ここからここまでは、回復するのに時間がかかります。その時間はおよそ20分ほど。回復力は変わりません。
次にここからここまでは、回復時間は同じですが、回復力は-4。魔力回復ですから4違うとかなり差があるかもしれません。
最後に、ここからここまでは、時間は15分ほど差があり、回復力はこちらのものと比べると、-5です。それぞれ別々に、3名の薬師が調合してます」
「アサヒ様、ご協力感謝いたします。では、こちら一列は以前と同じお値段で納品いたします。
残りは、今回は7割で手を打ちましょう。
次回は、こちらと同じだけの品質での納品をお願いします」
エマさんが、有無を言わせない笑顔で答えを出すと、おっさんが受付の机を思いきり拳で叩いた。
が、真っ赤になって涙目だ。
まー、そりゃそうだ、きっとこういったときのために受付は、防御力高く作られていることだろう。
「ご納得いかないようでしたら、こちらの一列分のみ納品させていただきますが」
「今回は7割で手を打つ!……っどこのボンボンだが知らねえが、余計な知識を言いやがって!」
金をつかみ取りずんずんと出ていくおっさんを見送る。
ああ、あんなこと言っちまったら、この先もう取引はねえだろうなあ……と思っているとエマさんが綺麗な笑顔で笑う。
怖え……美人だから余計に。
「不快にさせてしまい申し訳ありませんでした。会長案件になりますし、しっかりと被害届をお出ししましょう」
「被害届なんてそんな。エマさんのせいじゃありませんよ。私でお役に立てたなら良かったです」
人の目と耳があるので、猫を被り微笑む。
被害届とかやっちまうと、オリバーに色々と心配かけちまうから勘弁してもらいたい。
ふ、と視線を向けると、追い返されているじいさんと小さな子供に目が入る。
残念そうに出口へと足を向けている。
子供がかかえていた鉢植えは、一本の薔薇に見えた。
けして綺麗ではないが、なぜだか凄く惹かれた。
もう少し間近で見てみたいと、カウンターを飛び越えて出口へと急ぐ。
エマさんが驚いた声をあげて、俺を呼び止めるがそれどころじゃない。
今を逃せば、チャンスがない気がする。
「っ待ってくれ!待って、その花俺に見せて!」
取り繕うことも忘れて、出口寸前で呼び止める。
しゃがみこんで、子供の身長と合わせると、おずおずと子供が鉢植えを俺の前に出してくれた。
「この花は、君が育てたの?」
「うん」
薬草じゃないし、薔薇だ。
見た目は品がないように見えるが、花びらが見たことないくらいに肉厚で、香りが高い。
一本なのにも関わらず、すげーいい香りがする薔薇だ。
「凄く良い香りがする薔薇だ」
「残念だがあ、取引できなかったので家に帰るところです」
じいさんは訛りのある喋り方だ。
エリソン侯爵領出身者か、同じ訛りのじーさんを知ってる。
だからここの商会に来たのかもしれないな。
よく見たら、ふたりが着ているセーターの胸元には、エリソン侯爵領の紋章が入ってる。
なら、丁度いい。
この商会で取引できなかったんなら、直接領で取引してもらえばいい。
「俺は花の鑑定は薬草しかできないけど、上にいる俺の夫は、植物に詳しいから是非鑑定してみませんか?」
「でもなあ……、ここが初めてじゃない。所詮、幼い子供が作った花だあ、相手にしてもらえん」
「俺の夫は、オリバー=ワグナーです。今、アレックス様も一緒にいらしてますから、鑑定結果によっては、直接取引できると思います」
「っな!アレックス様がいらしてんのか!それに、オリバー様っていやあ、薔薇の病治療に貢献したって有名なお方だあ」
「はい。ですから、どうですか?」
「是非、是非おねがあしやす」
「エマさん、この2人上に一緒に連れて行っていい?」
「わかりました。ご案内します」
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