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本編
-81- カランデュエルの種 オリバー視点
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「それより、アサヒを外してまで話をしたいことはなんです?ただの昔話でもないのでしょう?」
「オリバーにして察しがいいわね」
「アサヒにあそこまで言われたからこそですが」
「ああ、そう」
ため息一つついたコナーが、立ち上がると、棚から小さな木箱を手にとり、それをテーブルの上に置いてきました。
木箱の中心には薄いですが魔石が貼られています。
ああ、嫌な予感がしますね。
単なる木箱であれば、魔石なんてものを使う必要なんてありません。
魔石が貼られているとなると、なんらかの魔法の付与がされているもの、ということ。
「開けてみて」
「嫌ですよ、こんな魔石のついた箱なんて嫌な予感しかしません。あなたが持ってきたんですから、あなたが開けて下さい」
「なら、開けるから、鑑定してもらえるかしら?とりあえず、なにかの種なのには間違いないのよ。
最初は虫の死骸かと思ったけど、植物の種っていうことまでは鑑定出来る者がいて。
でも、それ以上うちじゃ誰一人なにかわからなくて。
魔力を感じるから魔物の一種なのは確かなのだけれど。
発芽して万が一があったら困るじゃない?だからこんな箱に入れてるのよ…どう?わかる?」
ああ、嫌な予感が当たってしまいました。
これは、紛れもなく“カランデュエル”です。
種の見た目はカレンデュラの種とそう変わりなく、寧ろ、種の状態では一回り程小さいのが特徴です。
昔は紛れさせて他国から入荷していたこともあったと聞きます。
この小さな芋虫のような茶色の形。
拷問方法が、これを足の親指の爪の間に植え込むのでしたか……恐ろしい。
「これをどこで?」
「それが分からないのよ」
「分からない?」
「というか…、覚えてないの。エマと私と副会長、それと愛斗の4人で対応したのは覚えているのよ?でもどこの誰だったかどんな顔をしていたか、女性か男性かも全く、一切、誰も覚えていないの」
「なんだそりゃ、お前の耐性スキルがあってもかかる魅了かなんかか?」
アレックスがびっくりして声を上げました。
コナーは商家の長男ですが、たどると貴族の血が入っているとかで隔世遺伝で魔力が16ある人です。
加えて強い耐性スキルを持っています。
ちょっとやそっとの魅了や操作系の魔法にはまず屈しないはずなのですが。
「これは、カランデュエルの種です」
「…これが?昔拷問で使われていたっていうあのカランデュエル?」
「マジか」
「ええ。この種、全部で11個ありますが、もしかして12個だったのではないですか?」
カランデュエルは一つの花から12の種が取れるはず。
11というのは少々気になる数です。
「え?嘘でしょ?12個ない?蓋の裏とかに……ついてないわね……やだ、嘘、どうしましょ」
「おいおい、そりゃまずいんじゃないのか?」
「間違ってそのまま体内に入ってしまうと大変なことになります。早急に見つける方が良いかと。
それと、この魔物は植物の一種ですが、今の帝国では禁忌とされていて、栽培は認められていません。
種の状態や花弁でしたら素材として黙認されています。
ですが、植え付けた瞬間に捕まりますから気を付けてください」
「はあ!?そんなものがどうしてあるのよ!?」
「あなたの商会はあなたの代でより大きくなったから…嫌がらせかもしれませんね。もしくは、警告、か。
心当たりは?特に、教会関連で」
「っ!なんで教会だってわかるの?」
「教会が使ってるんですよ、魔道具に植え付けてるんですカランデュエルを…犯罪ですね、黒ですよ」
「まさか、神器様の魔道具に?」
「ええ…、一部の、ですが」
どこまで話していいか分からなかったのでこういう言い方になりましたが、アレックスが口を開きました。
隠さず、話していい、ということでしょうね。
「正確には、レンの、だ。闇属性のレンの貞操具に使われていた。
一歩遅かったらレンの命はなかったというのが、オリバーの見立てだ」
とりあえずこれ以上無くしたら大変なことになるわ、とコナーが木箱の蓋をしめました。
そして、思いがけないことを口にしてきたのです。
「教会に、商会の息のかかった人間を一年前から数名送り込んでたのよ。先月から全員連絡がとれなくなったの」
「オリバーにして察しがいいわね」
「アサヒにあそこまで言われたからこそですが」
「ああ、そう」
ため息一つついたコナーが、立ち上がると、棚から小さな木箱を手にとり、それをテーブルの上に置いてきました。
木箱の中心には薄いですが魔石が貼られています。
ああ、嫌な予感がしますね。
単なる木箱であれば、魔石なんてものを使う必要なんてありません。
魔石が貼られているとなると、なんらかの魔法の付与がされているもの、ということ。
「開けてみて」
「嫌ですよ、こんな魔石のついた箱なんて嫌な予感しかしません。あなたが持ってきたんですから、あなたが開けて下さい」
「なら、開けるから、鑑定してもらえるかしら?とりあえず、なにかの種なのには間違いないのよ。
最初は虫の死骸かと思ったけど、植物の種っていうことまでは鑑定出来る者がいて。
でも、それ以上うちじゃ誰一人なにかわからなくて。
魔力を感じるから魔物の一種なのは確かなのだけれど。
発芽して万が一があったら困るじゃない?だからこんな箱に入れてるのよ…どう?わかる?」
ああ、嫌な予感が当たってしまいました。
これは、紛れもなく“カランデュエル”です。
種の見た目はカレンデュラの種とそう変わりなく、寧ろ、種の状態では一回り程小さいのが特徴です。
昔は紛れさせて他国から入荷していたこともあったと聞きます。
この小さな芋虫のような茶色の形。
拷問方法が、これを足の親指の爪の間に植え込むのでしたか……恐ろしい。
「これをどこで?」
「それが分からないのよ」
「分からない?」
「というか…、覚えてないの。エマと私と副会長、それと愛斗の4人で対応したのは覚えているのよ?でもどこの誰だったかどんな顔をしていたか、女性か男性かも全く、一切、誰も覚えていないの」
「なんだそりゃ、お前の耐性スキルがあってもかかる魅了かなんかか?」
アレックスがびっくりして声を上げました。
コナーは商家の長男ですが、たどると貴族の血が入っているとかで隔世遺伝で魔力が16ある人です。
加えて強い耐性スキルを持っています。
ちょっとやそっとの魅了や操作系の魔法にはまず屈しないはずなのですが。
「これは、カランデュエルの種です」
「…これが?昔拷問で使われていたっていうあのカランデュエル?」
「マジか」
「ええ。この種、全部で11個ありますが、もしかして12個だったのではないですか?」
カランデュエルは一つの花から12の種が取れるはず。
11というのは少々気になる数です。
「え?嘘でしょ?12個ない?蓋の裏とかに……ついてないわね……やだ、嘘、どうしましょ」
「おいおい、そりゃまずいんじゃないのか?」
「間違ってそのまま体内に入ってしまうと大変なことになります。早急に見つける方が良いかと。
それと、この魔物は植物の一種ですが、今の帝国では禁忌とされていて、栽培は認められていません。
種の状態や花弁でしたら素材として黙認されています。
ですが、植え付けた瞬間に捕まりますから気を付けてください」
「はあ!?そんなものがどうしてあるのよ!?」
「あなたの商会はあなたの代でより大きくなったから…嫌がらせかもしれませんね。もしくは、警告、か。
心当たりは?特に、教会関連で」
「っ!なんで教会だってわかるの?」
「教会が使ってるんですよ、魔道具に植え付けてるんですカランデュエルを…犯罪ですね、黒ですよ」
「まさか、神器様の魔道具に?」
「ええ…、一部の、ですが」
どこまで話していいか分からなかったのでこういう言い方になりましたが、アレックスが口を開きました。
隠さず、話していい、ということでしょうね。
「正確には、レンの、だ。闇属性のレンの貞操具に使われていた。
一歩遅かったらレンの命はなかったというのが、オリバーの見立てだ」
とりあえずこれ以上無くしたら大変なことになるわ、とコナーが木箱の蓋をしめました。
そして、思いがけないことを口にしてきたのです。
「教会に、商会の息のかかった人間を一年前から数名送り込んでたのよ。先月から全員連絡がとれなくなったの」
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