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本編
-89- ピクシー
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妖精って言われたら全部羽が生えているもんかと思ったが、おはぎだって妖精らしいからなあ。
もふもふのにゃんこ型もいれば、小さい小人型の妖精だっているようだ。
つまり、顔色の悪いイケメン君は、小人じゃなくて妖精らしい。
「兄ちゃんも見えるしお話出来るんだね、僕と一緒だ。爺ちゃんには見えないし聞こえないんだよ」
「おー、出来るぞー。大丈夫だ、こっちも見えてないけど、俺には見えるし話せるからな」
オリバーを指さすと、オリバーは困ったように笑った。
妖精自体の存在は、否定していないらしい。
おはぎがいるからか?
伝説的でも、いるもんはいるんだもんな。
「私には見えませんが、彼はどんな姿です?」
「ん?ちっさくて、顔色悪いけど、意外とイケメンだな、すげー小さいけど」
「イケメン、なんですか?」
「おー、髪は赤くて、うん。ちっさいけど、イケメンだ」
「イケメンな情報はいらなかったです。ああ、でも小さくて赤毛で青白い顔をしているのでしたら、ピクシーと呼ばれる妖精でしょうね。
彼らは、貧しい者に手を貸してくれると言いますから」
オリバーは、イケメンという俺の言い分に、むくれるも、妖精の種類まで教えてくれた。
薬草や薬の知識だけじゃなくて、妖精の知識まであるのか。
伝説で幻って言われる存在なんだろ、妖精自体。
なのに、種類まで知ってんのか。
ほんと、色々知ってんな、オリバーは。
「ここの土や、果物、野菜、薬草、そしてこの薔薇。これらを育てたのは、彼の力があってこそ、ですか?」
「いや、ここの植物や土、全てシリルの力だ。シリルは木と土の魔法を持っていて、魔力は12もある。
俺は、その力をどうやって使うと良いかを教えて、この場所を隠しただけだ」
「そっか。なら、全部シリルが自分で作ったんだな」
「なんと言っていますか?」
「助言をしてこの場所を隠してはいるけど、土も植物も、実際育ててるのはシリルだって言ってるぞ」
「そうですか。対価はなんですか?」
「ドワーフベリーと、りんごがなると分けてもらってる」
「お礼にあげてるの」
「そっか、良くしてもらってるんなら、お礼は必要だな」
「うん」
「ドワーフベリーと、りんごがなったらお礼にわけてるそうだ」
「そうでしたか。ピクシーは対価が必要だとは聞いていたので、どのような対価を払っているのか少し気になりました」
「対価っつーような重いもんじゃないだろ?めちゃめちゃ土の状態もいいし、草木も元気だし」
「そうですね。しかし、本当にこの肉厚な薔薇がすでにこんなに育っているとは驚きました」
オリバーは眉を寄せて難し気に考えてるが、どうしたんだ?
「どうした?」
「ここまでとは思いもしませんでしたので、これではどう移動するか、と」
確かにこんなに広くて立派な薔薇と畑を移動させるのは難しいかもしれねえなあ。
「移動するのか?」
小さなイケメン君が聞いてきた。
「ああ、すぐにじゃない。だが、シリルの親父さんの体調が良くなったら、故郷のエリソン侯爵領に戻る方が良いだろうと」
「…そうか」
「一緒には移動できねえの?」
「出来る。だが、したことがないから不安はある。ここから遠いのか?」
「馬車で1日くらいかかるけど」
「そうか、1日くらいなら問題ない。シリルが行くならば、俺も一緒について行く」
「ありがとう」
「ああ」
普通の人には見えないんだから、一緒に移動するのもそこまで危険はないだろう。
けど、畑の移動か。
んー、どうしたらいいんだ?
馴染ませるなら、土もある程度の量が必要だ。
「アレックス様に頼むのは無理か?」
保証人になってくれて、エリソン侯爵領と取引すんならそのくらいやってくれるんじゃないだろうか。
アレックス様は、領民思いで優しい人だ。
見た目は鋭いが。
「この量をですか?転移はこの量は無理ですよ、いくらなんでも負担が大きすぎます」
「じゃなくて、アレックス様すげー量を収納出来るんだろ?一旦、収納してもらってから転移してもらって、場所が決まってんならそこに出してもらえたら楽なんじゃねえかなって」
「確かに、それなら植物も土もなんら負担なく、全ての問題が解決しますね…」
もう、あれだ。
あの有名な猫型ロボットのポケット扱いだ。
侯爵様をそんな扱いするなんて、俺の言ってることは、大分不敬なことかもしれない。
けど、他になにかいい方法があるか?
今のところ、それしか思いつかねーもん、しょうがねえじゃん。
もふもふのにゃんこ型もいれば、小さい小人型の妖精だっているようだ。
つまり、顔色の悪いイケメン君は、小人じゃなくて妖精らしい。
「兄ちゃんも見えるしお話出来るんだね、僕と一緒だ。爺ちゃんには見えないし聞こえないんだよ」
「おー、出来るぞー。大丈夫だ、こっちも見えてないけど、俺には見えるし話せるからな」
オリバーを指さすと、オリバーは困ったように笑った。
妖精自体の存在は、否定していないらしい。
おはぎがいるからか?
伝説的でも、いるもんはいるんだもんな。
「私には見えませんが、彼はどんな姿です?」
「ん?ちっさくて、顔色悪いけど、意外とイケメンだな、すげー小さいけど」
「イケメン、なんですか?」
「おー、髪は赤くて、うん。ちっさいけど、イケメンだ」
「イケメンな情報はいらなかったです。ああ、でも小さくて赤毛で青白い顔をしているのでしたら、ピクシーと呼ばれる妖精でしょうね。
彼らは、貧しい者に手を貸してくれると言いますから」
オリバーは、イケメンという俺の言い分に、むくれるも、妖精の種類まで教えてくれた。
薬草や薬の知識だけじゃなくて、妖精の知識まであるのか。
伝説で幻って言われる存在なんだろ、妖精自体。
なのに、種類まで知ってんのか。
ほんと、色々知ってんな、オリバーは。
「ここの土や、果物、野菜、薬草、そしてこの薔薇。これらを育てたのは、彼の力があってこそ、ですか?」
「いや、ここの植物や土、全てシリルの力だ。シリルは木と土の魔法を持っていて、魔力は12もある。
俺は、その力をどうやって使うと良いかを教えて、この場所を隠しただけだ」
「そっか。なら、全部シリルが自分で作ったんだな」
「なんと言っていますか?」
「助言をしてこの場所を隠してはいるけど、土も植物も、実際育ててるのはシリルだって言ってるぞ」
「そうですか。対価はなんですか?」
「ドワーフベリーと、りんごがなると分けてもらってる」
「お礼にあげてるの」
「そっか、良くしてもらってるんなら、お礼は必要だな」
「うん」
「ドワーフベリーと、りんごがなったらお礼にわけてるそうだ」
「そうでしたか。ピクシーは対価が必要だとは聞いていたので、どのような対価を払っているのか少し気になりました」
「対価っつーような重いもんじゃないだろ?めちゃめちゃ土の状態もいいし、草木も元気だし」
「そうですね。しかし、本当にこの肉厚な薔薇がすでにこんなに育っているとは驚きました」
オリバーは眉を寄せて難し気に考えてるが、どうしたんだ?
「どうした?」
「ここまでとは思いもしませんでしたので、これではどう移動するか、と」
確かにこんなに広くて立派な薔薇と畑を移動させるのは難しいかもしれねえなあ。
「移動するのか?」
小さなイケメン君が聞いてきた。
「ああ、すぐにじゃない。だが、シリルの親父さんの体調が良くなったら、故郷のエリソン侯爵領に戻る方が良いだろうと」
「…そうか」
「一緒には移動できねえの?」
「出来る。だが、したことがないから不安はある。ここから遠いのか?」
「馬車で1日くらいかかるけど」
「そうか、1日くらいなら問題ない。シリルが行くならば、俺も一緒について行く」
「ありがとう」
「ああ」
普通の人には見えないんだから、一緒に移動するのもそこまで危険はないだろう。
けど、畑の移動か。
んー、どうしたらいいんだ?
馴染ませるなら、土もある程度の量が必要だ。
「アレックス様に頼むのは無理か?」
保証人になってくれて、エリソン侯爵領と取引すんならそのくらいやってくれるんじゃないだろうか。
アレックス様は、領民思いで優しい人だ。
見た目は鋭いが。
「この量をですか?転移はこの量は無理ですよ、いくらなんでも負担が大きすぎます」
「じゃなくて、アレックス様すげー量を収納出来るんだろ?一旦、収納してもらってから転移してもらって、場所が決まってんならそこに出してもらえたら楽なんじゃねえかなって」
「確かに、それなら植物も土もなんら負担なく、全ての問題が解決しますね…」
もう、あれだ。
あの有名な猫型ロボットのポケット扱いだ。
侯爵様をそんな扱いするなんて、俺の言ってることは、大分不敬なことかもしれない。
けど、他になにかいい方法があるか?
今のところ、それしか思いつかねーもん、しょうがねえじゃん。
応援ありがとうございます!
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