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本編
-156- 孤児院の食堂
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食堂に入ると、美味しそうな香りが漂ってきた。
きっとお昼はホワイトシチューだ。
ほっこりするような香りがする。
香りだけじゃなくて、この食堂も清潔感があるのに優しい見た目だ。
元貴族の別荘といっても、大分改築したんだと思う。
テーブルや床は明るい色の木製で、壁は明るいサンドベージュ。
大きな窓からは、日がたっぷりと注ぎ込んでいて、子供たちを見守るような大きな木も、花畑も良く見えてとても居心地がいい場所だ。
窓からの眺めが良い点は、流石だなあ。
エリソン侯爵邸も、僕が使う場所はどの部屋も窓から見る景色が良かったから、貴族の家というのはそういうものかもしれない。
きっと、眺めの良くない場所に、使用人の使う部屋があるんだろう。
エリソン侯爵領の人たちが使ってる部屋は朝は日が入るってセオが言ってたな。
配膳途中のテーブルには4色のギンガムチェックのランチョンマットが場所も数もバラバラに敷かれていて、僕の握りこぶし程のパンが置かれている。
赤いギンガムチェックのランチョンマットには1つ、黄色のギンガムチェックのランチョンマットには1つ半、青いギンガムチェックのランチョンマットには2つ、緑のギンガムチェックのランチョンマットには3つと、色別でパンの量が違う。
テーブルはそれぞれ4か所に分かれていて、5席が2か所、4席が2か所だ。
その内のひとつ、5席あるそのお誕生日席に、グレース様が着席されていた。
グレース様は可愛い花柄のマットだ。パンは1個半。
その直ぐ近くの左右の席には、ちいさなくまの指人形とうさぎの指人形が置かれていた。
ジュードは別のテーブルの緑のギンガムチェックのランチョンマットがある席に着いていて、向かいを陣取ってるジャックが楽しそうに話しかけていた。
隣りからジュードにしがみついているのは、子供特有のむちむちした丸さのある男の子で、7歳くらいかな?
お芋掘りで最初のころは小さいお芋ばかり取れちゃってべそをかいていたけれど、後半は大きなお芋も取れるようになって笑顔を見せていた。
途中で投げ出さない、頑張り屋な子だ。
大人になると、きっと背が高くなるだろうなあ。
ジュードは男の子に人気みたいだ。
つん、と袖口を引っ張られて下に目を向ける。
一緒に入ってきたルカだ。
目線を合わせるように屈むと、ルカのアクアブルーの瞳が日の光に照らされて海のようにキラキラと輝いて見えた。
本当に晴れた空の海みたいだ。
「レン様、そばに座っていい?」
「うん、いいよ」
ルカは僕のことを気に入ってくれたのかな、まだ話し足りないみたいだ。
いいよ、というと嬉しそうに笑った、わあ、可愛い!
本当に嬉しそうに笑うから、僕まで嬉しくなる。
「マットの色で席が決まってるの?」
「そう。あと、お気に入りの物がおいてあるのは席をとってある場所。レン様は緑だよ。たぶん、あそこの席」
ルカが指を指すところには、緑のマットが2つある5席の場所だ。
グレース様の座ってるテーブルには緑のマットはなく、他の4席ある2か所のテーブルには、緑は1枚ずつしかない。
「どうしてあそこだと思ったの?」
「緑のが、ジュードと、アレックス様と、レン様と、セオだよ。
で、ジュードはもう席についてるでしょ?」
「うん、そうだね」
「残る2か所のうち、ひとつ、グレース様に近いところの席はいつもアレックス様が座ってる。
それに、ギーはアレックス様と話したいからいつも向かいに座るんだ。
その証拠に、金属の栞が置いていあるでしょ?あれは、ギーが席取りしてるってことだよ。
先に行って配膳するって買って出たけど、席取りたかっただけだよ、ちゃっかりしてる。
…だから、いつもはないあの席がレン様の席」
ルカが再度指さす席には、お誕生日席で、緑のギンガムチェックのランチョンマットがある場所だ。
「レン様の席の向かって斜め左がいつもセオが座る席だけど、その横が赤で、斜め向かいも赤になってるでしょ?」
「うん」
「赤いのは2つしかないけど、あれは、パーシーとネロのだよ。
いつもは、アレックス様かグレース様と一緒だけれど、きっとレン様と一緒がいいって駄々をこねたんだ。
けど、ふたりがすぐそばじゃレン様が食べるに食べられない。
きっとリリーが言い宥めた結果だ。
レン様の斜め右側、つまりセオの向かい側だね、青いマットになってるでしょ?」
「うん」
「あそこに、二人の世話のためにリリーが座る気でいるんだと思う。
でも、今日は僕が先に座る。
まだ、リリーの花のブローチは置かれてないし。
まあ、僕が避けると思って置かなくてもいい、って思ったんだろうけど」
ん?
パンが2つなことを見ると、青いランチョンマットは年上の子供たちが座るランチョンマットだ。
ルカは見た目は6歳、いってて7歳って感じに思えたけれど……。
「ルカっていくつなの?」
「10歳だよ。あ…今日で11歳だった」
「え?今日?」
「たぶんね…そう言われてるし、朝からケーキが出たよ」
「そっかあ、おめでとう!」
11歳なのにも驚きだけれど、今日が誕生日?
セオの話だと誕生日はケーキが出るんだっけ。
「レン様ー、そろそろ席に着きましょうよ」
そっとセオが後ろから話しかけてくる。
アレックスは、メイドさんに呼ばれた後にグレース様とお話ししていたけど、丁度僕の方に戻ってくるところだ。
「うん、先に一度グレース様にお声掛けしてもいい?」
「勿論です」
「なら、僕は先に席についてる。またね、レン様」
「うん」
ルカが僕のもとを離れたところで、アレックスが目の前まで来た。
「随分気に入られたな。笑っているところを初めて見たぞ」
「うん。頭のいい子だなって思ったけれど、今日で11歳だって聞いてびっくりした」
「ああ、今日が誕生日らしいな。
確かに……変わらなさすぎ、か?だからか」
「どうしたの?」
アレックスが腑に落ちたように独り言ちて小さく頷く。
「あ、いや、問題ない」
「席に着く前におばあ様にお声掛けしていい?」
「ああ、是非そうしてくれ。俺は……すまない、先に席についてるな」
「うん」
アレックスは自分の座る席を見て、その隣につまらなそうに窓の外をぼんやり眺めている男の子がいるのを知って、僕に本当にすまなそうに告げる。
全然あやまることじゃない、アレックスの優しさが知れて、僕はとても嬉しかった。
きっとお昼はホワイトシチューだ。
ほっこりするような香りがする。
香りだけじゃなくて、この食堂も清潔感があるのに優しい見た目だ。
元貴族の別荘といっても、大分改築したんだと思う。
テーブルや床は明るい色の木製で、壁は明るいサンドベージュ。
大きな窓からは、日がたっぷりと注ぎ込んでいて、子供たちを見守るような大きな木も、花畑も良く見えてとても居心地がいい場所だ。
窓からの眺めが良い点は、流石だなあ。
エリソン侯爵邸も、僕が使う場所はどの部屋も窓から見る景色が良かったから、貴族の家というのはそういうものかもしれない。
きっと、眺めの良くない場所に、使用人の使う部屋があるんだろう。
エリソン侯爵領の人たちが使ってる部屋は朝は日が入るってセオが言ってたな。
配膳途中のテーブルには4色のギンガムチェックのランチョンマットが場所も数もバラバラに敷かれていて、僕の握りこぶし程のパンが置かれている。
赤いギンガムチェックのランチョンマットには1つ、黄色のギンガムチェックのランチョンマットには1つ半、青いギンガムチェックのランチョンマットには2つ、緑のギンガムチェックのランチョンマットには3つと、色別でパンの量が違う。
テーブルはそれぞれ4か所に分かれていて、5席が2か所、4席が2か所だ。
その内のひとつ、5席あるそのお誕生日席に、グレース様が着席されていた。
グレース様は可愛い花柄のマットだ。パンは1個半。
その直ぐ近くの左右の席には、ちいさなくまの指人形とうさぎの指人形が置かれていた。
ジュードは別のテーブルの緑のギンガムチェックのランチョンマットがある席に着いていて、向かいを陣取ってるジャックが楽しそうに話しかけていた。
隣りからジュードにしがみついているのは、子供特有のむちむちした丸さのある男の子で、7歳くらいかな?
お芋掘りで最初のころは小さいお芋ばかり取れちゃってべそをかいていたけれど、後半は大きなお芋も取れるようになって笑顔を見せていた。
途中で投げ出さない、頑張り屋な子だ。
大人になると、きっと背が高くなるだろうなあ。
ジュードは男の子に人気みたいだ。
つん、と袖口を引っ張られて下に目を向ける。
一緒に入ってきたルカだ。
目線を合わせるように屈むと、ルカのアクアブルーの瞳が日の光に照らされて海のようにキラキラと輝いて見えた。
本当に晴れた空の海みたいだ。
「レン様、そばに座っていい?」
「うん、いいよ」
ルカは僕のことを気に入ってくれたのかな、まだ話し足りないみたいだ。
いいよ、というと嬉しそうに笑った、わあ、可愛い!
本当に嬉しそうに笑うから、僕まで嬉しくなる。
「マットの色で席が決まってるの?」
「そう。あと、お気に入りの物がおいてあるのは席をとってある場所。レン様は緑だよ。たぶん、あそこの席」
ルカが指を指すところには、緑のマットが2つある5席の場所だ。
グレース様の座ってるテーブルには緑のマットはなく、他の4席ある2か所のテーブルには、緑は1枚ずつしかない。
「どうしてあそこだと思ったの?」
「緑のが、ジュードと、アレックス様と、レン様と、セオだよ。
で、ジュードはもう席についてるでしょ?」
「うん、そうだね」
「残る2か所のうち、ひとつ、グレース様に近いところの席はいつもアレックス様が座ってる。
それに、ギーはアレックス様と話したいからいつも向かいに座るんだ。
その証拠に、金属の栞が置いていあるでしょ?あれは、ギーが席取りしてるってことだよ。
先に行って配膳するって買って出たけど、席取りたかっただけだよ、ちゃっかりしてる。
…だから、いつもはないあの席がレン様の席」
ルカが再度指さす席には、お誕生日席で、緑のギンガムチェックのランチョンマットがある場所だ。
「レン様の席の向かって斜め左がいつもセオが座る席だけど、その横が赤で、斜め向かいも赤になってるでしょ?」
「うん」
「赤いのは2つしかないけど、あれは、パーシーとネロのだよ。
いつもは、アレックス様かグレース様と一緒だけれど、きっとレン様と一緒がいいって駄々をこねたんだ。
けど、ふたりがすぐそばじゃレン様が食べるに食べられない。
きっとリリーが言い宥めた結果だ。
レン様の斜め右側、つまりセオの向かい側だね、青いマットになってるでしょ?」
「うん」
「あそこに、二人の世話のためにリリーが座る気でいるんだと思う。
でも、今日は僕が先に座る。
まだ、リリーの花のブローチは置かれてないし。
まあ、僕が避けると思って置かなくてもいい、って思ったんだろうけど」
ん?
パンが2つなことを見ると、青いランチョンマットは年上の子供たちが座るランチョンマットだ。
ルカは見た目は6歳、いってて7歳って感じに思えたけれど……。
「ルカっていくつなの?」
「10歳だよ。あ…今日で11歳だった」
「え?今日?」
「たぶんね…そう言われてるし、朝からケーキが出たよ」
「そっかあ、おめでとう!」
11歳なのにも驚きだけれど、今日が誕生日?
セオの話だと誕生日はケーキが出るんだっけ。
「レン様ー、そろそろ席に着きましょうよ」
そっとセオが後ろから話しかけてくる。
アレックスは、メイドさんに呼ばれた後にグレース様とお話ししていたけど、丁度僕の方に戻ってくるところだ。
「うん、先に一度グレース様にお声掛けしてもいい?」
「勿論です」
「なら、僕は先に席についてる。またね、レン様」
「うん」
ルカが僕のもとを離れたところで、アレックスが目の前まで来た。
「随分気に入られたな。笑っているところを初めて見たぞ」
「うん。頭のいい子だなって思ったけれど、今日で11歳だって聞いてびっくりした」
「ああ、今日が誕生日らしいな。
確かに……変わらなさすぎ、か?だからか」
「どうしたの?」
アレックスが腑に落ちたように独り言ちて小さく頷く。
「あ、いや、問題ない」
「席に着く前におばあ様にお声掛けしていい?」
「ああ、是非そうしてくれ。俺は……すまない、先に席についてるな」
「うん」
アレックスは自分の座る席を見て、その隣につまらなそうに窓の外をぼんやり眺めている男の子がいるのを知って、僕に本当にすまなそうに告げる。
全然あやまることじゃない、アレックスの優しさが知れて、僕はとても嬉しかった。
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