異世界に召喚された二世俳優、うっかり本性晒しましたが精悍な侯爵様に溺愛されています

日夏

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本編

-349- 特許と監修

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「今までにない輝きです。必ず流行りますわ」

ステラにブラックダイヤのブローチを見せると、すぐに称賛の声を上げてくる。
まじまじと観察しているステラに、特許を申請したい旨を告げる。
僕と奥さんの押し問答にならないように、どうにか納得してもらいたいのだけれど。

「私としては、レン様のお名前で取るのが良いかと思いますわ」
「でも───」
「その方が確実に売れます」
「え?」

「商品の名前もカットにも、レン様のお名前をお使いになる方が箔が付きます。
それに、物は宝石のカット。
大商会なら兎も角、一店舗の夫人が持つにしては大きい負担がございます。
貴族の横やりが入るかもしれません。
後ろ盾にレン様がつかれるのでしたらそれも良いかと思われますが、経緯を考えてもレン様のお名前でご登録するのが良いかと思いますわ」
「でも、僕は途中までしか考えていないし、実際形にしたのは彼女だよ?」
「でしたら、監修料を支払うというのはいかがでしょう?」
「監修料?」
「はい、監修を受けたことにすれば、月の利益の一割から三割を監修者へお渡しすることが出来ます」

ステラの話だと、なんでも監修をした者や店に対して、儲けの一部を分けることが出来る制度があるらしい。
共同の場合は、特許権の全てを協同で持つのと違い、監修は、特許権は持たずにその利益の一部を渡すことが出来るという。
手続きや書類が面倒になるみたいだけれど、僕だけで申請するよりはずっとマシだ。
「うーん……」

それでも、僕が考えたわけじゃないというのが、ネックというか、気が引ける。
元の世界のうる覚えの知識を、こっちの世界で僕のものにしちゃっていいのかな?

協同にすることは、お勧めされなかった。
平民同士なら兎も角、僕の身分と一店舗のご夫人が共同で権利を持つのは、僕にとっても相手にとってもデメリットになるらしい。
個人的に贔屓にされているのが浮彫で、監修よりも共同の方が他の店舗から敵視されやすいみたいだ。
僕との個人的な繋がりがあることが明確になるから、嫌がらせややっかみの面倒事に巻き込まれやすくなる。

「気がのりませんか?」

セオがそっと聞いてくる。

「うん。僕が考えたわけじゃないから、良いのかな?って思って。もとの世界にはすでにあったものだから」

「それでしたら、そこまでご心配することありませんわ。
神器様からの言葉をヒントに特許の申請がなされたものはいくつもあります。
料理の、天ぷらや、干物もそうですし、最近ではプリンや、カレーもそうです。
シャンプーやリンスも元は聖女様の言葉からヒントを得て開発された商品です。
元の世界にあったものであっても、こちらの世界では初めてのものです。
十分、特許の申請をされるに値するものです」
「そっか……」

「それに、レン様の講師をされているエリー=ハワード様も、いくつかの特許権をお持ちです。
キャンベル商会で商品化したものも複数あります。
そのほとんどが、神器様の助言を受けたものとお聞きしておりますし、監修をキャンベル商会にされてますよ」
「そうなんだ?」
「はい。特別珍しいことではございません」

なら、良いのかな?

「レン様、レン様ご自身で収入が欲しいって思ってましたよね?」
「うん」
「これ、登録したら自動的に入ってきますよ?」
「あ……」

確かにセオの言うように、僕は僕でどうにかして稼ぎたいなって思っていた。
そうやって言われると、より気持ちが僕の名前で取ることに傾く。
ずるい、と言われようともだ。

「気が引けるっていうなら、入ったお金を領のために使われたらいいんじゃないですかね?
使い道はレン様の自由ですよ?
学校の設備に使うのも、孤児院へ寄付でも、どこかのギルドへ補助金にすることも出来ますし。
勿論、自分自身のためにお使いいただくのも自由です。
取っておきましょう?それが一番平和に穏便ですし、プティ・レーヴからの商品化もしやすいですから」

セオの言葉に、オーナーとその奥さんが僕のことを懇願するような視線で見つめてくる。


「……うん、わかった。なら、僕の名前で特許を申請するね。三割の監修料をプティ・レーヴに」
「畏まりました。申請のお手続きはお任せください」

「っありがとうございますありがとうございます!」
「ううん、僕の方こそありがとう」

奥さんはとっても喜んで頭を下げてくれる。
お礼を言うのは、僕の方だ。
念願の、僕だけの収入が入ることになった。
広がればだけれど、ステラが必ず流行るっていうんだから、きっと流行ると思う。
カットの方法だから、天然の宝石だけじゃなくて、イミテーションや、色付きガラスでも使えるだろうし。


僕が収入を得るためには、何か僕自身が動かなくちゃいけないと思っていたけれど、そうでもないみたいだ。
こういうやり方もあるんだってことを改めて学んだよ。
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