絶体絶命ルビー・クールの逆襲<人身売買編>

蛇崩 通

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プロローグ 奴隷転落直前からの逆襲

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  プロローグ 奴隷転落直前からの逆襲
 三月の最後の土曜日。午後七時過ぎ。場所は、やみの奴隷オークション会場。違法な人身売買が、今週も、始まった。
 ステージの上に、赤毛の美少女が、引きずり出された。
 彼女は全裸で、両手に手錠をかけられている。首枷くびかせからは、半メートルほどの鉄の鎖が伸びている。
 その鉄鎖をつかんだ男は、まるで犬のように、その美少女を、ステージの真ん中に引きずり出した。
 歓声が、あがった。観客席の男たちから。
 彼らは、違法な人身売買の客たちだ。大金持ちの資本家たちで、護衛を二名ずつ連れている。全員、身元を隠すため、覆面ふくめんやアイマスクを着用している。
 司会者の男が、声を張りあげた。
 「皆様! 今宵こよいの商品は、まさに最高級品! 素晴らしい美貌びぼうに、美しい肌。そのうえ、この真っ赤な赤毛。むかしから、赤毛の女は、情熱的で床上手とこじょうず、と言われています」
 観客席から、ヤジが飛んだ。
 「赤毛は凶暴とも言うぞ!」
 その一言で、観客席の男たちが、わらいだした。
 「そのとおりよ!」
 赤毛の美少女ルビー・クールが、顔を上げた。
 「あたしは、とても凶暴な女よ。だけど、人捜ひとさがしを手助けしてくれた人は、殺さないであげるわ」
 爆笑した。観客席の男たちが。
 「なに言ってるんだ。このバカ女は。おまえ、自分の状況、わかってるのか?」
 観客席からの言葉を無視し、ルビー・クールは言葉を続けた。
 「探しているのは、金髪で青いひとみの少女よ。身長は、あたしよりあたまひとぶんくらい低くて、とてもせているの。本当は十五歳なんだけど、十二歳くらいにおさなく見えるのよ」
 男の一人が、笑いながら声をかけた。
 「他人のことより、自分の心配をしろよ! 今からおまえは、性奴隷としてりにかけられるんだぞ!」
 笑いながら、口をはさんだ。別の男が。
 「変質者の殺人鬼に買われたら、おまえは身体中切りきざまれて、殺されるんだぞ」
 そうした言葉を無視し、ルビー・クールが、声を張りあげた。
 「その少女は、先週の土曜日、この会場で売られたのよ。誰が買ったのか、誰か教えてくれないかしら」
 彼女の言葉を無視し、ある男が怒鳴った。いやらしいみを浮かべて。
 「オレ様に、買ってくださいと懇願こんがんしてみろ! オレ様は女を殺す趣味はないから、たっぷりと、かわいがってやるぜ」
 別の男も、大声で怒鳴った。笑いながら。
 「それなら、ワシに購入を懇願しろ! ワシはむちで打つだけだから、めったに殺さない」
 大爆笑した。男たちが。
 「おまえも殺してるじゃん」
 そう、誰かが野次やじった。
 ある客が、ルビー・クールに声をかけた。意地悪そうに。
 「オイ、赤毛の女。おまえ今、絶体絶命の窮地きゅうちだぞ。買われた先によっては、拷問されて殺される。どうだ? 今の気分は?」
 そう言って、ガハハと笑った。
 会場の男たちも皆、笑っている。
 男が、言葉を続けた。
 「変態殺人狂の変質者に買われたら、地獄を見るぞ。生きたまま眼球をえぐられ、はらかれ、はらわたを引きづり出されて」
 犯罪組織のアジトで、孤立無援。
 周囲は、すべて敵。
 全員、悪党。
 そのうえ全裸で武器もなく、両手には手錠。
 誰が見ても、絶望的な状況だ。
 冷ややかな表情で、答えた。ルビー・クールが。
 「絶体絶命の窮地は、あなたたちよ。あなたたちに、本物の地獄を見せてあげるわ」
 悪党たちが、爆笑した。
 男の一人が、爆笑しながら叫んだ。
 「この赤毛の女、頭がおかしいぞ!」
 ルビー・クールは無表情のまま、冷ややかに宣言した。
 「ここからは、あたしの逆襲の時間よ!」
 孤立無援で、絶体絶命の窮地。
 だが、ルビー・クールの逆襲は、ここから始まる。

   第一章「連絡途絶で絶体絶命」に続く
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