隣の席のクール系美少女を好きになったらなぜか『魔王』を倒すことになった件。~でも本当に攻略するのは君の方だったようです。。。~

夕姫

文字の大きさ
20 / 22

20. どの界隈にも空気が読めずに地雷を踏むヤツはいる

しおりを挟む
20. どの界隈にも空気が読めずに地雷を踏むヤツはいる




 学校の昼休み。騒がしい教室の中で、オレはいつものように購買で買ってきたパンを袋から取り出していた。今日のパンは焼きそばパンだ。これがお気に入りなんだよな。

「なぁ霧ヶ谷。また焼きそばパンかよ。飽きねーな」

 そんな他愛もないことを話しかけてきたのは冬馬だ。いつもの調子で話してきたかと思えば、すぐに真剣な顔になった。そしてまたしてもあの話題だ。本当に性懲りもない奴だよコイツ。

「なあ、やっぱり柊さんって可愛いよな。マジでヤバいって。あの人のプライベートとか、全然分からなくて、ますます謎で気になるよな?」

「おい冬馬。もう詮索するのはやめておけよ。あんまり騒いでると、また他の男子にボコボコにされるぞ?この前、あんな目に遭ったばっかだろ?」

 前回の昼休みの悲劇を思い出させて、牽制する。冬馬は、殴られた顔をさすりながら、ムムム、と唸った。

「いや……なんかさ。理屈じゃないんだけど。最近、柊さんがお前の隣の席にいるところを見てると、どうも胸騒ぎするんだよ。なんかお前だけ違う世界にいるみたいな」

「なんだよそれ」

 ……なんだこいつ。エスパーか?何かオレの心の中を見透かしてるんじゃないか?学校では、オレと咲夜さんは一言も喋らない。咲夜さんは、徹底的に「モブキャラ生徒A」を演じている。周りの奴らも、まさかオレと咲夜さんが家で一緒に生活してるなんて微塵も思ってないだろう。それなのにコイツは何かを感じ取っているのか?もしかしてオレからなんか怪しいオーラでも出てるのか!?家にいる時の咲夜さんを知っている、あの楽しい思い出が顔に出ているとか?

 オレは冬馬の言葉に動揺しながら、咲夜さんの方をチラリと見た。咲夜さんは、オレたちの会話なんて聞こえていないとばかりにいつものように黙々とパンを食べている。うん。やっぱりいつもと違う。家でピザとかを豪快に頬張る姿とは大違いだ。

 学校では、本当に一口ずつ、リスみたいにちょこちょこ食べてる。もしかして「モブキャラ生徒A」はこういう上品な仕草をするっていう設定なのかも。オレが咲夜さんの様子を見ていると、冬馬がさらに声をひそめて言った。

「なあ、彼氏はいないみたいだけどさ。好きな人とかいるのかな?そこんとこマジで知りたいんだよなー。な?聞いてみようぜ!」

「おい待て!やめろバカ!またボコられるぞ!」

 オレの制止も聞かずに、冬馬は再び教室中に響き渡るようなデカい声で咲夜さんに話しかけた。

「ねぇ!柊さん!ちょっといい?あのさ、好きな人とかいるの!?」

 あーあ。言っちゃったよ、この馬鹿野郎……教室中の視線が、またしても一斉にオレたちの席に集まる。ヤバイ。またこれは面倒くさいことになりそうだ。頼むから咲夜さん何か言ってくれ……

 咲夜さんはパンを食べる手を止め、ゆっくりと顔を上げた。そして、じっと冬馬の方を見つめる。無表情だ。何を考えているのか全く分からない。ただその瞳が、すう、と細められていくように見えた、その時。

 ゾクリ、とした。それは、オレが今まで見たこともないような、冷たい、鋭い目付きだった。まるで獲物を仕留める寸前の肉食動物のような……殺意すら感じるような、とんでもない目付きだった。

 家で見せる、あの無邪気な笑顔や、少し天然な姿とは、あまりにもかけ離れている。これが彼女の言う「鉄壁のスキル」で身を守る、戦闘モードの顔なのか?怖い……!

「ねぇ!どうなの?好きな人いるの?」

 冬馬は、咲夜さんのただならぬ雰囲気に気づかず、さらに追い打ちをかけるように質問を繰り返した。おい冬馬!お前は本当に空気を読め!その質問は地雷だぞ今すぐ逃げろ!

 咲夜さんは冬馬の言葉を完全に無視して、制服のポケットからスマホを取り出しいじり始めた。そしてなぜか、その時オレのスマホが震えた。

 画面を見ると『柊咲夜』の文字。メッセージだ!まさかこのタイミングで?頭の中を最悪のシナリオが駆け巡る。

『理解できないんですか?もう信用できません。あなたのことはパーティーメンバーから外します。今日中にこの家から出ていってください。さよなら』

 とかだったらどうしよう……さっきの、あの殺意のこもった目付き……本当に怒らせてしまったのかもしれない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...