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2. 管理人さんと始まり

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2. 管理人さんと始まり



 春の陽気に桜の花びらが舞う中、私は心機一転、祖母の経営していたアパートの管理人となった。

 私は水瀬真白。年齢は21。短大を卒業して一度は出版社で働いたけど、思ったようにうまく行かずに挫折。そして退社しそのままこのアパートの管理人になったの。

 そして今は新しいアパートの住人さんを受け入れているところなの。

「あの……こんにちは、今日からこちらのアパートの202号室に引っ越してくることになった北山晴斗です。よろしくお願いいたします」

「どうも初めまして、私は101号室の水瀬真白です。ここの管理人をやってます」

 すごく格好いいし、優しそうな人……正直私のどストライクなんだけど。

「はい、よろしくお願いします。」

「北山さんの荷物は部屋に届いていると思います。あとで確認してください」

「わかりました。ありがとうございます」

「いえいえ、困ったことがあったら何でも言ってくださいね」

 どうしよう……まともに顔が見れないよぉ。とりあえず満面の笑顔で誤魔化すしかないよね。これが一目惚れってやつなのね。ドキドキが止まらないよぉ

「はい!じゃあ失礼します!」

「あっちょっと待ってください……」

 あっ。呼び止めちゃった……どうしようどうしよう……とりあえずアピールしないと!

「えっとですね……その……私、北山さんが初めて受け入れる住人さんなんです」

「そうなんですか?」

「今までは祖母がやってたんですけど、亡くなってしまったので私がやることになったんです」

「なるほど……だからあんなにも慣れてなかったんですね」

「うぅっ……そう言われると恥ずかしいです……。なので色々と教えていただけたら嬉しいです///」

 どさくさに紛れて変なお願いしちゃった!でも優しそうな笑顔をしてるし大丈夫だよね?

 初めての管理人で不安だったけど、私頑張れそう。こんな格好良くて優しい人が住人さんでいるなら楽しくなりそう。

 こうして私の新規一転の生活は、格好良くて優しい北山さんとともに始まるのでした。
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