上 下
22 / 44

22. 管理人さんと本当の

しおりを挟む
22. 管理人さんと本当の



 私は今、夕飯の材料を買い物してアパートに帰って来たところだ。

「北山さん……ちゃんとご飯食べてるかな?心配で勝手に夕飯一緒に食べようと食材買って来ちゃったけど……」

 北山さんとは会っていない。いつもは挨拶やちょっとした世間話なんかはするんだけど。寂しい……北山さんと付き合えたら毎日一緒にいれるのにな……。

 一応、擬似カップルとしては北山さんとお付き合いはしている。でも特別何かをしているわけじゃないし。

 私は北山さんの恋愛小説を完成させるために擬似カップルになっているだけ。北山さんは私みたいな子供にはきっと興味はないよね……。

「はぁ……。なんか悲しくなってきた。」

 私が帰ろうとした時、突然後ろから声をかけられる。

「真白さん。こんにちは」

「ひゃっ!?……あ、北山さん!」

 やだ……変な声出ちゃったよぉ。恥ずかしい……。

「どうしたんですか?こんなところで」

「えっと……お夕飯の材料を買いに行ってました……」

「それなら良かったです。今日は会えないと思っていたんで。顔を見れて良かったです。」

「え……?私……ですか?」

 えぇ!?それってわ、私に会いたかったって事!?恥ずかしいけど私も言っちゃお!

「その……わたし……北山さんとお話したくて……」

「え?オレとですか?」

 いやーん。言っちゃったぁ。今話せてすごい幸せ!もう全部言っちゃお!真白頑張れ!

「あの。良かったら今日お夕飯また一緒にどうですか?ほら……またカップ麺みたいですし?」

「そ、それは嬉しい提案ですね……。じゃあ是非お願いします」

「はい。それじゃ今日は北山さんの部屋で作りましょう」

 一度行って見たかったし。あっ……もしかして、一人暮らしの男の人の家に平気で行くような軽い女だと思われたかなぁ……。違うの!北山さんだからだよ!

「あのオレの部屋汚いですけど大丈夫ですか?」

「全然平気ですよ?……せっかくなのでお掃除もしちゃいましょうか。」

 良かった。そんなこと思われてなかった。よし!北山さんの為に料理もお掃除も頑張るのよ真白!……ん?それって……

「なんか、本当に付き合っているみたいですよね?それ」

「ふぇ!?……そ、そう……ですね……」

「……あっ、ごめんなさい。変なこと言って。さっきから真白さんの反応が可愛すぎてつい……」

 言われちゃったよぉ……私も一瞬そう思って意識しなかったのに。恥ずかしすぎて北山さんの顔みれないよぉ。
しおりを挟む

処理中です...