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26. 管理人さんとお酒

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26. 管理人さんとお酒



 私と北山さんは晩酌をすることになった。色々な初めてを好きな人とできるのはすごく嬉しい。嫌な顔をせずに私に付き合ってくれている北山さんはやっぱり優しいなぁ。

「真白さんは缶チューハイでいいですか?」

「えっ? あ……お任せします」

「じゃあ持ってきます」

 はぁ……緊張するなぁ。でも緊張すると酔いが回るのが早いって聞いたことあるし……。それに酔った勢いとか本当にあったらどうしよう。

「それじゃ乾杯しましょうか」

「はい。かんぱい……です!」

 とりあえず少しずつ飲んでいけば大丈夫だよね?うん。少し苦いけど甘くて美味しいかも。これなら北山さんと晩酌のお付き合いができそう!

「どうですか?」

「んー、なんか美味しいですね」

「それは良かったです」

 それからしばらく飲み続けて数十分たったと思う頃。なんかヤバいかも……身体も熱いし、視界がぼやけてきた……。これ酔っぱらってるよね?でも意識はまだあるから。

「あの真白さん大丈夫ですか?」

「らいじょぶれすよぉ~」

 うぅ……口が回らないぃ~!でも大丈夫ですよ北山さん!私は意識はありますから!

「ほら真白さん、もう寝た方が良さそうですよ」

 寝る!?大人の恋愛ってこんなあっさり誘ってくるんですか!?まだ私心の準備とかまったくできていないです!

「いやーん。何するすもりれすか?えっちぃ」

 いやーん。どうしよう……北山さんは好きだけど、大好きだけど……でもやっぱり恥ずかしい!!

「真白さんカギはどこですか?部屋まで歩けますか?」

「ふぇ……ぁぅ」

 ああ……そういうことか。北山さんは誠実そうな人だし、疑ってしまって申し訳ないよぉ。でも……少し残念かも、やっぱり私は子供としてしか見られてないのかなぁ……。

「とりあえず、ここで寝てください」

「……分かりましたぁ」

 北山さんのベッド……北山さんの匂いがする。なんか一緒に寝ているみたいでドキドキしちゃうよぉ……。

「耐えた……のか……?」

 ん?今なんか言った?眠くて聞こえなかった。ああ、なんか幸せだな。絶対いい夢見れそうだよ。

 そして北山さんはそのまま寝室を出てリビングに戻って行った。

「北山さん……私……擬似じゃなくて本当にあなたが好き、大好きなんです……むにゃむにゃ……すぅーっ……」
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