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第2章 皇女の行方は何処へ? ~約束のアクアマリン~
3. 初めて認めてくれた人
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3. 初めて認めてくれた人
(ねぇ。これをあなたに差し上げますわ)
(え?)
(これはライゼンバッハ王家に伝わる、秘宝なの。私とお揃いのアクアマリンのペンダントなのよ?あなたに持っていてほしいの)
(こんな大切なもの私に……?)
(大切だから。あなたに渡しますのよ?)
(ありがとうございます。大切にしますね)
そこで2人の少女は白い靄がかかったかのように消える。次に気づいたときはいつもの部屋、いつもの景色。ふと時計を確認するといつもの時間だ。
「また……あの夢か……」
その少女はため息をつきながら支度をし始める。いつもの髪型、鮮やかなピンクの髪をしばって着替える。そして最後に真ん中に大きなアクアマリンをあしらったペンダントを身に付ける。それは大切なものだから。
そしていつもと同じように部屋を出ていく。
ただひとつだけ、いつもとは違う。
ギルドへ向かう足取りが重い。自分が自分でいるためには皇女探しの依頼をやってはいけない。でも自分を仲間に誘ってくれた事を裏切りたくはないと言う気持ちもある。そんな葛藤が不安定な感情を押し潰してくる。
おそらく、昨日の感じなら勘のいいあの人は自分の発言が嘘だと見抜いているだろう。もしかしたら……それを話していて、今日は仲間全員に問い詰められるかもしれない。そんな不安もある。
そう、その鮮やかなピンクの髪の少女は迷っているのだ。
◇◇◇
ローゼンシャリオのギルド。今日はいつもより少し早めに来た。ミーユに聞くことがあったからだ。でも同じく早く来ていたブレイドさんとアティに止められる。アティは『嘘をつくぐらいですから、無理に聞かないほうがいいと思います。それにこの依頼をやっていけばミーユさんの事がわかるんじゃないですか?』と言っていた。
ミーユのこの依頼を拒絶する感じは、絶対と言っていいほど何かミーユが知ってると推測できる。ここは慎重に。いつも通りいつも通り。そこへミーユがやってくる。
「おはよう!あれ?今日は私が最後なの?マジか、エルンより遅いとは……」
「私だって早く来るときはあるよ!」
「そうだっけ?」
ミーユはいつも通りに見えるが昨日のブレイドさんの言葉を聞いたあとだと、なんとなく元気がないようにも見える。
「今日はどうしますかエルンさん?」
「えっと……とりあえず北のザルガン洞窟で銅鉱石を取ってくる依頼があるから、その依頼のあと皇女の情報を集めようか。」
「なら私は洞窟に行くね!あそこなら魔物もそこまで強くないし」
案の定ミーユは当然の如く、皇女探しを避けてくるな。この頑なに避けているのは過剰すぎのような気もするけど。
「それなら私も一緒に行きますよミーユさん。1人じゃ何かあった時心配ですからね」
「えっアティが?1人でも大丈夫だけど?」
「ミーユ。アティの言う通りだ。依頼を軽んじるな。アティは前衛だししかも回復魔法も使える。後衛のお前にピッタリだろ?一緒に行け」
少し腑に落ちない様子のミーユだったけど、アティと共に北のザルガン洞窟で銅鉱石を取ってくることになった。という事は私はブレイドさんと一緒に行動するのか。はぁ……気がのらないな。
「ああ?また文句か、顔に出てるぞ」
「出てません。私は文句を言った事がありません」
「まぁいい。エルン行くぞ」
「行くって何処に?あっ待って下さいよブレイドさん!」
ブレイドさんはそう私に告げると早々と先に歩いて行ってしまう。もう!何だよあのおじさんは!私にも準備ってものがあるんだから!女の子なんだからね!
そしてミーユとアティが北のザルガン洞窟の依頼を行っている間、私はほとんど強引にブレイドさんに連れられて街を歩いていた。本当に強引だよこの人。
「あの……大丈夫ですかね?ミーユ」
「アティがついて行っているだろう心配するな。アティは回復魔法も使えるからな」
「いやそういうことじゃないんですけど?話の流れでわかりません?」
「お前な。大丈夫なら皇女探しを率先してやるだろう?今のオレたちにできることは特に何もない。それにミーユだって16歳ならもう自分で考えられる歳だろう。あいつが何もしなきゃ何も始まらん」
それはさすがに冷たい気もするけど。まぁブレイドさんの言っていることは今回のは正論だから私も何も言わない。今回のはね。
そのまま私はブレイドさんに連れられて、目的地を言われぬまま人気のない路地に差し掛かりそこを進んでいく。えっ……もしかして私のことを襲おうとしてる!?まぁ私は可愛いから仕方ないけど、こういうのは違うし!
「あのブレイドさん?」
「今度は何だ?」
「今どこに向かっているんですか?なんか人気のないところに向かってますけど……?」
「お前に会わせたい奴がいる。とにかくついてこい。」
いやいや!この人いつも大事なことは言わないんだけど!『ついてこい』とか格好つけていつも言ってるけど、そういう肉食系男子的なの今流行ってないからね!優しくない男は嫌われるんだから!
と心で思いつつも私は仕方なくブレイドさんが会わせたい人がいるというのでそのまま後についていく。しばらく歩いていくと一軒の古びた店の前にたどり着く。
「ここだ。入るぞ」
凄く古い……いやレトロな店だなぁ。正直店の前にはガラクタと呼んだ方がいいものが転がっている。これも商品なのかな?というかこの店はナニ屋さん???あまりにも古い外観に私はただ呆然と立ち尽くしていたのだった。
(ねぇ。これをあなたに差し上げますわ)
(え?)
(これはライゼンバッハ王家に伝わる、秘宝なの。私とお揃いのアクアマリンのペンダントなのよ?あなたに持っていてほしいの)
(こんな大切なもの私に……?)
(大切だから。あなたに渡しますのよ?)
(ありがとうございます。大切にしますね)
そこで2人の少女は白い靄がかかったかのように消える。次に気づいたときはいつもの部屋、いつもの景色。ふと時計を確認するといつもの時間だ。
「また……あの夢か……」
その少女はため息をつきながら支度をし始める。いつもの髪型、鮮やかなピンクの髪をしばって着替える。そして最後に真ん中に大きなアクアマリンをあしらったペンダントを身に付ける。それは大切なものだから。
そしていつもと同じように部屋を出ていく。
ただひとつだけ、いつもとは違う。
ギルドへ向かう足取りが重い。自分が自分でいるためには皇女探しの依頼をやってはいけない。でも自分を仲間に誘ってくれた事を裏切りたくはないと言う気持ちもある。そんな葛藤が不安定な感情を押し潰してくる。
おそらく、昨日の感じなら勘のいいあの人は自分の発言が嘘だと見抜いているだろう。もしかしたら……それを話していて、今日は仲間全員に問い詰められるかもしれない。そんな不安もある。
そう、その鮮やかなピンクの髪の少女は迷っているのだ。
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ローゼンシャリオのギルド。今日はいつもより少し早めに来た。ミーユに聞くことがあったからだ。でも同じく早く来ていたブレイドさんとアティに止められる。アティは『嘘をつくぐらいですから、無理に聞かないほうがいいと思います。それにこの依頼をやっていけばミーユさんの事がわかるんじゃないですか?』と言っていた。
ミーユのこの依頼を拒絶する感じは、絶対と言っていいほど何かミーユが知ってると推測できる。ここは慎重に。いつも通りいつも通り。そこへミーユがやってくる。
「おはよう!あれ?今日は私が最後なの?マジか、エルンより遅いとは……」
「私だって早く来るときはあるよ!」
「そうだっけ?」
ミーユはいつも通りに見えるが昨日のブレイドさんの言葉を聞いたあとだと、なんとなく元気がないようにも見える。
「今日はどうしますかエルンさん?」
「えっと……とりあえず北のザルガン洞窟で銅鉱石を取ってくる依頼があるから、その依頼のあと皇女の情報を集めようか。」
「なら私は洞窟に行くね!あそこなら魔物もそこまで強くないし」
案の定ミーユは当然の如く、皇女探しを避けてくるな。この頑なに避けているのは過剰すぎのような気もするけど。
「それなら私も一緒に行きますよミーユさん。1人じゃ何かあった時心配ですからね」
「えっアティが?1人でも大丈夫だけど?」
「ミーユ。アティの言う通りだ。依頼を軽んじるな。アティは前衛だししかも回復魔法も使える。後衛のお前にピッタリだろ?一緒に行け」
少し腑に落ちない様子のミーユだったけど、アティと共に北のザルガン洞窟で銅鉱石を取ってくることになった。という事は私はブレイドさんと一緒に行動するのか。はぁ……気がのらないな。
「ああ?また文句か、顔に出てるぞ」
「出てません。私は文句を言った事がありません」
「まぁいい。エルン行くぞ」
「行くって何処に?あっ待って下さいよブレイドさん!」
ブレイドさんはそう私に告げると早々と先に歩いて行ってしまう。もう!何だよあのおじさんは!私にも準備ってものがあるんだから!女の子なんだからね!
そしてミーユとアティが北のザルガン洞窟の依頼を行っている間、私はほとんど強引にブレイドさんに連れられて街を歩いていた。本当に強引だよこの人。
「あの……大丈夫ですかね?ミーユ」
「アティがついて行っているだろう心配するな。アティは回復魔法も使えるからな」
「いやそういうことじゃないんですけど?話の流れでわかりません?」
「お前な。大丈夫なら皇女探しを率先してやるだろう?今のオレたちにできることは特に何もない。それにミーユだって16歳ならもう自分で考えられる歳だろう。あいつが何もしなきゃ何も始まらん」
それはさすがに冷たい気もするけど。まぁブレイドさんの言っていることは今回のは正論だから私も何も言わない。今回のはね。
そのまま私はブレイドさんに連れられて、目的地を言われぬまま人気のない路地に差し掛かりそこを進んでいく。えっ……もしかして私のことを襲おうとしてる!?まぁ私は可愛いから仕方ないけど、こういうのは違うし!
「あのブレイドさん?」
「今度は何だ?」
「今どこに向かっているんですか?なんか人気のないところに向かってますけど……?」
「お前に会わせたい奴がいる。とにかくついてこい。」
いやいや!この人いつも大事なことは言わないんだけど!『ついてこい』とか格好つけていつも言ってるけど、そういう肉食系男子的なの今流行ってないからね!優しくない男は嫌われるんだから!
と心で思いつつも私は仕方なくブレイドさんが会わせたい人がいるというのでそのまま後についていく。しばらく歩いていくと一軒の古びた店の前にたどり着く。
「ここだ。入るぞ」
凄く古い……いやレトロな店だなぁ。正直店の前にはガラクタと呼んだ方がいいものが転がっている。これも商品なのかな?というかこの店はナニ屋さん???あまりにも古い外観に私はただ呆然と立ち尽くしていたのだった。
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