上 下
19 / 109

19. モヤモヤ勉強会

しおりを挟む
19. モヤモヤ勉強会



 あたしは結愛先パイの家で、サキちゃんと春菜ちゃん、そして水瀬さんとお泊まり勉強会を開くことになった。今からドキドキしてしょうがない。もしあたしと結愛先パイの秘密がバレたら……。正直あたしは気が気じゃない。すると勉強会を始めて少し立つと水瀬さんが結愛先パイに話す。

「そう言えば小鳥遊先輩と凛花ちゃんって部活で何してるんですか?」

「あっそれ私も気になった。小説演劇同好会って何をする部活なんですか?」

「凛花ちゃん教えてくれないから。小鳥遊先輩教えてください。」

 いきなり大ピンチ!!あたしが結愛先パイのほうを見ると、すごく悪い顔をしているように見える。そして結愛先パイは話す。

「そうね……お互いに週間で決めた小説を読んで、考察したりそのシーンを2人で確認したりしてるわ。地味だからあまり言いたくないのよね凛花は?」

「えっ……?そっそうなんだぁ!面白くもないしさ!でもあたしは楽しいけど……。」

 『楽しい』ふと無意識に出た言葉に自分でも驚き顔が赤くなる。違うよ?エッチなことじゃなくてさ……結愛先パイと一緒にいることがだから。

 とりあえず結愛先パイの優しいフォローにそっと胸を撫で下ろす。さすがに百合小説を演じてあんなことやこんなことをしてるなんて言えないし……。とりあえずこの場は乗り切れたと思う。しかし、春菜ちゃんが話を続ける。

「でも、なんか楽しそうだなぁ。私もそういうことしたいです!」

「確かに私もやりたいかも!!」

 まずい……このままだとバレちゃうかもしれない……。そんなことを考えていると結愛先パイが言う。

「あら?ならみんな小説演劇同好会に入部したらいいんじゃない?」

「結愛先パイ!?」

 何を言い出すんだこの人!?いくらなんでもそれは無理だ。あたしが焦っていると、結愛先パイは続ける。

「冗談よ。勉強が先。終わったらみんなでやりましょう。」

「そうだよ。日下部さん。これは日下部さんのための勉強会なんだから。」

「うう。そうだった……GWの補習回避のために頑張るぞ!!」

 何とか危機を乗り越えられたようだ。それにしても本当に結愛先パイは……。絶対楽しんでやってるでしょ!!というやり取りはあったけど、しばらくは真面目に勉強会をやる。

「うーん……難しい……」

「あら、どれかしら?日下部さん。見せて」

「あっ小鳥遊先輩……」

 結愛先パイが春菜ちゃんにすごく近づく。近すぎ!顔近いよ結愛先パイ!

「あー。ここは作者の気持ちはこの下線部のCになるから、この文章からだと……」

「!?」

 なぜかあたしのほうをチラ見しながら春菜ちゃんへ説明する結愛先パイ。まさかあたしに見せつけてるのか?別に構わないし。でも……なんかムカつく。モヤモヤした気持ちのまま、勉強会は続いた。

 それからしばらくして……。一旦休憩することにした。そしてあたしはお手洗いに行く。

「ふぅ。あれからずっと結愛先パイはあたしに見せつけてくる。なんかムカつくんだけど……あたしだって結愛先パイに教えて欲しいところあるのに。」

 そう思いながら鏡の前で髪を直す。そしてあたしがお手洗いから出るとそこには結愛先パイがいて、いきなり違う部屋に押し込まれる。そしてカギをかけてしまう。

「結愛先パイ!?何してるんですか!?」

「し~っ!声を出すとみんなに聞こえるわよ凛花?」

 そして結愛先パイはあたしの口に指を当てて静かにするようにジェスチャーする。すると結愛先パイは耳元で言う。

「凛花。あなたずっと私と日下部さんの事見ていたでしょ?もしかして嫉妬しちゃった?」

「違います!そんなんじゃ……あたしはただ教えて欲しいところがあって……」

「教えて欲しいところ?嫉妬しちゃって可愛いわね凛花は。」

 何なのその余裕な態度は?あたしは結愛先パイに詰め寄る。

「言っときますけど、本当に嫉妬なんかしてませんから!もう戻ります!そこをどいてください。」

「本当かしら?なら正直な気持ちを聞いちゃおうかしらあなたの口に。」

 そう言って結愛先パイはあたしの口を強引に塞ぐ。そして舌を入れてくる。くちゅくちゅという音が部屋に響く。ダメ……。これ以上されたら……。

 あたしの身体が反応してしまう。すると結愛先パイは唇を離して言う。もう終わり……?

「ふふ。やっぱり凛花は可愛いわね。イヤらしい顔しちゃって。ほら早く戻りましょうか?みんな待ってるものね?」

 そう言われて思わず顔を赤くするあたし。おあずけされた……結愛先パイのバカ……。
しおりを挟む

処理中です...