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24. Story.3 ~【恋花クローバー】~②

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24. Story.3 ~【恋花クローバー】~②



 早速家に帰り、ご飯を食べお風呂に入り寝る準備はバッチリだ。あたしは今日買った【恋花クローバー】を読むことにする。あらすじを読んだだけでも少し切ない物語みたいだけど、この小説を買ったのには理由がある。

 まずこの表紙だ。この絵師さんが描いている主人公の朝霧華乃は黒髪で美人系。まるで結愛先パイを想像させる。

 そしてこの主人公の境遇が結愛先パイに似てると思ったからだ。結愛先パイが物語の主人公のようにあたしに惹かれたかは別として、感情移入すれば結愛先パイのあたしへの気持ちが分かるはず。

 あたしは早速読み始める。そして数ページ読んで……涙が出てきた。悲しいとかじゃないけど、なんか胸がキュッとなった感じだ。好きになった人が同性でどうにもできない、けれどその気持ちは膨らんでいくばかり、そして誰もいない場所二人きりの告白と初めてのキス……。友達以上恋人未満の関係を必死に続けていく……。まだ全部読んでないけど、すごくいい話だ。

「結愛先パイもあたしのこと……こんな風に思ってるのかなぁ……。もしそうならやっぱり嬉しいかも……。」

 そんなことを考えながら読み進めているといつの間にか眠っていた。

 翌朝、あたしはいつもより早く起きた。昨日読んだ小説の影響かもしれない。無性に学校の花壇の花の水やりをしたくなる。あたしは顔を洗い制服を着て家を出て学校に向かう。それから花壇に向かい、そして水をあげようと思いホースを手に取る。

 すると…… ガサッ!ガサガサ!! 突然近くの茂みから音がした。

「え?何の音?」

 そう思い音の方を見てみると……そこには1匹の猫がいた。

「あーびっくりしたぁ。野良猫かな?」

 あたしはホッとした。別に怖いわけじゃなかったけどね。だって猫ってかわいいじゃん。それにしてもここら辺で野良猫を見るなんて珍しいなぁ。あたしはその猫を見つめていた。その猫が歩く先に1人の女の子が見える。

「あれ凛花ちゃん?どうしたの朝早くにこんなところで?」

「衣吹ちゃん?なんでここに?」

「私は日直だよ。今月は私たちのクラスが花の水やり当番。だから私の仕事だよ。」

 確かに。そんなことを言っていたっけ。忘れてたよ。

「もしかして……私のために来てくれた……とか?」

「えっ?あー。ごめん違うんだけどさ、なんか花の水やりがしたくなって。でも衣吹ちゃんのためになったなら良かったよ。」

「なんだぁ。私のためじゃないのか……。」

 なぜか残念そうな表情をする衣吹ちゃん。それからあたしたちは一緒に水やりをして教室に向かった。そして昼休み。あたしはいつものメンバーで学食にいる。

「えぇ~小鳥遊先輩いないんだぁ。でも戻ってきたら聞いておいてね!凛花ちゃん?」

「うん。分かったよ春菜ちゃん。」

「少しくらい自分の力で頑張ってみたら春菜?小鳥遊先輩だって暇じゃないんだし、自分のテスト勉強だってあるでしょ?」

「もう!それが出来たら頼まないよ!冷たいなぁ。サキちゃんは。」

 相変わらずのやり取りをしている二人。そんな時、春菜ちゃんが衣吹ちゃんに話す。

「あっそういえば水瀬さん。サッカー部の先輩から告白されたんだって?」

「えぇ!?そうなの衣吹ちゃん!?」

「えっと……うん。でも断っちゃった。」

「もったいないなぁ。サッカー部のエースでイケメンなのに。」

 本当に衣吹ちゃんは周りからモテるよね……。可愛いし、頭はいいし、胸だってDカップあるし。まぁこれはこの前知ったんだけどさ。

「よく知らない人だしさ。私……好きな人いるから。」

「えぇ!?水瀬さん好きな人いるの!?」

「なんでそんなに驚くの?いるよ。その人は私の事好きじゃないと思うけど……。誰かは内緒。」

 そういえばこの前、結愛先パイの家でお風呂に一緒に入っている時にそんなことを言ってたっけ。衣吹ちゃんの好きな人かぁ。きっと素敵な人だよね。羨ましいな、あたしは自分の気持ちすら分からないのに……。

 午後の授業が終わり、あたしは部活がないのでそのまま帰ることにする。すると校門前に衣吹ちゃんがいた。

「あれ衣吹ちゃん。誰か待ってるの?」

「うん凛花ちゃんのこと待ってたの。」

「えっあたし?なんで?」

「部活ないんだよね?良かったら一緒にカフェにいかない?私と放課後デート……的な。ダメ?」

 可愛すぎる……。こんなこと言われたら断ることなんて出来ないよ。あたしは了承して、衣吹ちゃんと一緒に近くのカフェに向かう。そしてあたしと衣吹ちゃんは注文を済ませ席に着く。それからしばらくして飲み物が運ばれてきた。あたしの目の前にはイチゴのショートケーキとミルクティー。衣吹ちゃんの前にはコーヒーとチーズケーキだ。

 うーん。衣吹ちゃんのほうが大人っぽいもの頼むな……。

「ねぇ凛花ちゃん。ケーキ半分個にしない?そっちも美味しそうだし」

「うん!そうしよう!あたしもそのチーズケーキ食べたいし。」

「はい。あーん」

「えぇ!?衣吹ちゃん?恥ずかしいけど……。」

 衣吹ちゃんはフォークに刺したケーキを食べさせてくれる。ちょっとドキドキする。そして衣吹ちゃんはあたしに微笑む。ヤバい……。顔が熱い。
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