47 / 65
第5章 使用人とメイドさんとお友だち
47. 使用人とパフェ
しおりを挟む
47. 使用人とパフェ
今日はエルナリア様の希望で王都ロンダルムの市街に来ている。平日だというのに行き交う人々の数も多く、店も沢山並んでいて賑やかだ。
「久しぶりに街に出たわ。やっぱり人が多いと活気があっていいわね」
「確かにエルナリア様は基本ずっと屋敷に籠りきりですからね」
「えぇ。以前は買い物などは使用人に任せていたし、外出するにしても護衛を雇ってたから。イライザお姉様がうるさくて……もう子供じゃないのに心配性なのよね」
それを聞いたマリアさんがエルナリア様に尋ねる。
「護衛?今回は雇ってませんけど大丈夫なんですか?」
「あら、私こう見えても結構強いのよ?魔法の威力を見たでしょ?」
「いえ。そういうことではなくて、イライザ様は今回の件はご存じなんですか?私とカイル君はエルナリア様に言われるがままにロンダルムの街に出てきましたけど?」
「言ったら絶対に反対されるでしょ?何かあったらカイルが私とマリアを守りなさいよ。使用人でしょ?」
無茶振りすぎだぞ。使用人は関係ないからな。オレはそもそも護衛として雇われていないし、守るならマリアさんだけだ!とかお付きの使用人として失格の思考をしている間にエルナリア様が勝手に話を進める。
「大丈夫よ。少しだけやりたいことがあるだけよ。まったくマリアも心配性ね?ほら行くわよ2人とも」
エルナリア様はそう言うと一人で先に歩いて行ってしまった。オレとマリアさんは顔を見合わせてため息をつく。
「なんか大変ですねマリアさん?」
「そうだね。でもエルナリア様の気持ちも分かるから。カイル君、今日は一緒に怒られようか?」
マリアさんは可愛い顔で笑顔を見せる。そんなマリアさんの笑顔を見て思わずドキッとした。不意打ちですよその顔。反則です。マリアさんとなら怒られても嬉しいかもな。
「それにしてもエルナリア様のやりたいことってなんですかね?」
「うーん……想像はつかないよね?とりあえずエルナリア様のあとについていこうか」
そしてオレ達はエルナリア様の後を追いかける。エルナリア様はスタスタと歩いているが、何が目的なのかは聞かされていないよな?すると突然エルナリア様が立ち止まった。
「どうされましたかエルナリア様?」
「あの……その……」
はい?急にモジモジし始めたんだが、この銀髪ツインテール。一体なんだろうか?
「あのさ……食べたいの」
「食べたい?何をですか?」
「……パフェ」
顔を真っ赤にして小さな声で呟いた。恥ずかしいのか俯いている。なんだこれ!?めっちゃ可愛いんだけど!!こんな乙女チックな表情のエルナリア様初めて見たぞ。普段とのギャップ萌え半端ないんですけど。これはヤバイ。破壊力が凄すぎる……けど!オレにはマリアさんがいるんだ!落ち着けオレ。深呼吸だ。
「あの……パフェが食べたいんですか?それならそうと言ってくれれば。というかエルナリア様は甘味の店知りませんよね?なんで先を歩いてるんですか?」
「うるさいわねカイル!文句あるわけ?別に私が何処へ行こうと勝手でしょ!とにかくパフェが食べたいのよ!甘くて美味しいんでしょ!?」
それにしてもスイーツを食べに行くだけでこんなに照れるとは思わなかったな。エルナリア様もやっぱり女の子なんだな。確かに貴族のお屋敷にはパフェなんかは出てこない。そんな様子を見てマリアさんが話し出す。
「それなら私がいつもお休みの時に行くお店に行きましょうか。あそこならエルナリア様もきっと気に入ると思いますよ」
「本当!?じゃあそこに行きましょ!」
パァッと明るい表情になって喜ぶエルナリア様。こういうところを見ると本当に年相応に見えるんだよなぁ。普段が大人びている分余計に可愛く見える。
それから暫く歩くと目的の店に着いた。店内に入ると甘い匂いが漂っている。マリアさんとエルナリア様はパフェを頼んでいる。オレはコーヒーでいいかな。
注文してすぐにパフェが運ばれてくる。そのパフェは生クリームやアイス、果物などがふんだんに使われていてとても美味しそうだ。エルナリア様は目を輝かせながらスプーンを手に持ち早速一口食べる。
「ん~っ!!」
口に含んでから声にならない叫びをあげている。どうやら相当気に入ったようだ。
「おいひぃ……」
「ふふ。気にいってもらえて良かったです。あのエルナリア様?もしかして……私やカイル君と遊ぼうとしてました?」
「えっと……それは……」
「カイル君と私はエルナリア様のお付きの使用人とメイドの前に、エルナリア様と同い年の友人みたいなものです。私たちを遊びに連れてくる時はちゃんとお誘いくださいね?」
マリアさんは優しく微笑みかけながら話す。それを聞いたエルナリア様は少し寂しそうな顔をしてオレとマリアさんに話してくる。
「友人……になってくれるの?」
「もちろんですよ。ね?カイル君?」
「あっはい」
「……ありがとう。カイル、マリア」
エルナリア様は嬉しそうに笑ってパフェを食べる。オレはその姿を見ながら考える。マリアさんの言う通りエルナリア様もまた貴族令嬢の前に18歳の女の子なんだよな。まぁ……たまにはこうして息抜きも必要だよな。オレはそう思いながらコーヒーを飲む。うん、旨いな。
今日はエルナリア様の希望で王都ロンダルムの市街に来ている。平日だというのに行き交う人々の数も多く、店も沢山並んでいて賑やかだ。
「久しぶりに街に出たわ。やっぱり人が多いと活気があっていいわね」
「確かにエルナリア様は基本ずっと屋敷に籠りきりですからね」
「えぇ。以前は買い物などは使用人に任せていたし、外出するにしても護衛を雇ってたから。イライザお姉様がうるさくて……もう子供じゃないのに心配性なのよね」
それを聞いたマリアさんがエルナリア様に尋ねる。
「護衛?今回は雇ってませんけど大丈夫なんですか?」
「あら、私こう見えても結構強いのよ?魔法の威力を見たでしょ?」
「いえ。そういうことではなくて、イライザ様は今回の件はご存じなんですか?私とカイル君はエルナリア様に言われるがままにロンダルムの街に出てきましたけど?」
「言ったら絶対に反対されるでしょ?何かあったらカイルが私とマリアを守りなさいよ。使用人でしょ?」
無茶振りすぎだぞ。使用人は関係ないからな。オレはそもそも護衛として雇われていないし、守るならマリアさんだけだ!とかお付きの使用人として失格の思考をしている間にエルナリア様が勝手に話を進める。
「大丈夫よ。少しだけやりたいことがあるだけよ。まったくマリアも心配性ね?ほら行くわよ2人とも」
エルナリア様はそう言うと一人で先に歩いて行ってしまった。オレとマリアさんは顔を見合わせてため息をつく。
「なんか大変ですねマリアさん?」
「そうだね。でもエルナリア様の気持ちも分かるから。カイル君、今日は一緒に怒られようか?」
マリアさんは可愛い顔で笑顔を見せる。そんなマリアさんの笑顔を見て思わずドキッとした。不意打ちですよその顔。反則です。マリアさんとなら怒られても嬉しいかもな。
「それにしてもエルナリア様のやりたいことってなんですかね?」
「うーん……想像はつかないよね?とりあえずエルナリア様のあとについていこうか」
そしてオレ達はエルナリア様の後を追いかける。エルナリア様はスタスタと歩いているが、何が目的なのかは聞かされていないよな?すると突然エルナリア様が立ち止まった。
「どうされましたかエルナリア様?」
「あの……その……」
はい?急にモジモジし始めたんだが、この銀髪ツインテール。一体なんだろうか?
「あのさ……食べたいの」
「食べたい?何をですか?」
「……パフェ」
顔を真っ赤にして小さな声で呟いた。恥ずかしいのか俯いている。なんだこれ!?めっちゃ可愛いんだけど!!こんな乙女チックな表情のエルナリア様初めて見たぞ。普段とのギャップ萌え半端ないんですけど。これはヤバイ。破壊力が凄すぎる……けど!オレにはマリアさんがいるんだ!落ち着けオレ。深呼吸だ。
「あの……パフェが食べたいんですか?それならそうと言ってくれれば。というかエルナリア様は甘味の店知りませんよね?なんで先を歩いてるんですか?」
「うるさいわねカイル!文句あるわけ?別に私が何処へ行こうと勝手でしょ!とにかくパフェが食べたいのよ!甘くて美味しいんでしょ!?」
それにしてもスイーツを食べに行くだけでこんなに照れるとは思わなかったな。エルナリア様もやっぱり女の子なんだな。確かに貴族のお屋敷にはパフェなんかは出てこない。そんな様子を見てマリアさんが話し出す。
「それなら私がいつもお休みの時に行くお店に行きましょうか。あそこならエルナリア様もきっと気に入ると思いますよ」
「本当!?じゃあそこに行きましょ!」
パァッと明るい表情になって喜ぶエルナリア様。こういうところを見ると本当に年相応に見えるんだよなぁ。普段が大人びている分余計に可愛く見える。
それから暫く歩くと目的の店に着いた。店内に入ると甘い匂いが漂っている。マリアさんとエルナリア様はパフェを頼んでいる。オレはコーヒーでいいかな。
注文してすぐにパフェが運ばれてくる。そのパフェは生クリームやアイス、果物などがふんだんに使われていてとても美味しそうだ。エルナリア様は目を輝かせながらスプーンを手に持ち早速一口食べる。
「ん~っ!!」
口に含んでから声にならない叫びをあげている。どうやら相当気に入ったようだ。
「おいひぃ……」
「ふふ。気にいってもらえて良かったです。あのエルナリア様?もしかして……私やカイル君と遊ぼうとしてました?」
「えっと……それは……」
「カイル君と私はエルナリア様のお付きの使用人とメイドの前に、エルナリア様と同い年の友人みたいなものです。私たちを遊びに連れてくる時はちゃんとお誘いくださいね?」
マリアさんは優しく微笑みかけながら話す。それを聞いたエルナリア様は少し寂しそうな顔をしてオレとマリアさんに話してくる。
「友人……になってくれるの?」
「もちろんですよ。ね?カイル君?」
「あっはい」
「……ありがとう。カイル、マリア」
エルナリア様は嬉しそうに笑ってパフェを食べる。オレはその姿を見ながら考える。マリアさんの言う通りエルナリア様もまた貴族令嬢の前に18歳の女の子なんだよな。まぁ……たまにはこうして息抜きも必要だよな。オレはそう思いながらコーヒーを飲む。うん、旨いな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
41
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる