23 / 73
第23壊 常識破壊女神と地味にサムライ①
しおりを挟む
「客? そうかもしれないなぁ......ジブンはまぁ、まぁだ名乗る程の者ではございやせん。壊し屋の旦那。ちょいとジブンと死合ってくんなぁ......」
俺の目の前にいる男は、「こんな感じでいいんだっけか?」などとボヤきながら頭をかいている。
この男には見覚えが無い。が、着ている服はルークと同じそれだ。
つまりこの男も警備局のメンバーって事か......
プリメーラとフィンは警備局の連中に会った事は無いが、この男の放つ歪な殺気を感じ取ったのか逃亡と戦闘、それぞれの行動をいつでも取れるようにしている。
「お前、ルークの仲間だろ? “死合う”って、俺と戦うって事か?」
「一度に質問しないで欲しいなぁ......ご名答。ジブンは......ライと呼ばれてる......よろしく......あと死合うってのは言葉の通りだ......ジブンと戦ってくれぃ」
「はぁ? 急に現れて何言ってんだてめぇ?」
「嫌......ですかぃ?」
声のトーン、表情、顔色には一切の変化が無い。だが放っていた殺気がより強く! 濃くなった!! そしてそれが向けられているのは俺じゃなくプリメーラとフィン!
フィンはまだしもプリメーラまで殺気に当てられて動けないようだ。その証拠に、全身から汗が吹き出し、表情の怖張りが強くなっている。
「待てよ。やんねぇなんて言ってないだろ? 寧ろ、願ったり叶ったりって感じなんだよ。だからその殺気弱めろ」
「良かった......ここで断られてたら旦那以外殺しちまう所でしたぁ......」
一瞬前まで濁流のように溢れ出ていた殺気が嘘のようにピタリと止まった。
このライって男! 考え方が危なすぎる!!
だがまぁ、ここでサイリスやルークレベルの強者と戦えるのは俺やフィンにとっては好都合というものだ。やれる所までやってやる!!
「そうだなぁ......五分。五分にしましょう。本気で来てくださいねぇ......いつでも不意打ち大歓迎だぁ」
「時間制限なんて役に立たないだろ」
「その心配はいらないでさぁ......これは契約。破れば相応の罰が降りかかりますんでぇ......」
そう言ってライは準備運動をし始めている。俺からは凄まじく隙だらけに見える。
お望み通り不意打ち......と思ったが懸念点が二つ。
まず一つ目にあの気配の消し方や殺気のコントロールから察するにライは相当な手練だ。十中八九対応されるだろう。(まぁ対応されたとしても殴れば良いだけなのだが)
そして二つ目。俺の全力は周辺を更地にしてしまう事だ!!
いや、俺的には全くもって構わないのだがこれ以上ルーク及び警備局のお世話になるとこれからの活動に支障が出るかもしれない!!
『大丈夫よ! 今私がアンタ達二人の周辺に女神っぽい結界をはったから! 安心して暴れちゃいなさい!』
プリメーラの声が脳内に響く。テレパシーってやつか!!
これが瞬間移動(燃費が悪い)、千里眼(使えてない)と結界(今使えるの知った)に続く女神っぽい事その4!!......何だこの絶妙なラインナップは!!?
今はそんな事どうでもいいのだ。目の前のライに集中集中!!
「――なんだぁ......準備運動待ってくれるなんて、旦那は親切ですねぇ」
「強者の余裕ってヤツだよ。先に来いよ」
「じゃあ......お言葉に甘えて――――ッ!!」
踏み込み!! コイツも近接戦闘タイプか!!?
半身になって手に持つ武器を巧妙に隠している......速さと相まって間合いが見極め辛い!!
「トウヤ! あの人すっごい長い剣持ってたよ!」
今度はフィンの声が心の中に響く......ん? 違うな......主に背中から耳にかけて聞こえるぞ?
「しかもその剣ね、ちょっと曲がってたの!」
俺の背中には、フィンが乗っかっていた。
「おんぶッ!!?!?!? なぜに!!?!?」
「ガキおぶって戦い......あまつさえ余所見たぁ......旦那にはがっかりです......」
だが! フィンのおかげでコイツの武器が分かった!!!!
その武器は空を裂きながら俺目掛けて振り抜かれる。
「ありゃぁ......ジブン、抜刀術には自信があったんですけど......まさか握って止められるとは」
「テメェの武器は刀か......心底ガッカリだぜライさんよォ!!!!」
俺の目の前にいる男は、「こんな感じでいいんだっけか?」などとボヤきながら頭をかいている。
この男には見覚えが無い。が、着ている服はルークと同じそれだ。
つまりこの男も警備局のメンバーって事か......
プリメーラとフィンは警備局の連中に会った事は無いが、この男の放つ歪な殺気を感じ取ったのか逃亡と戦闘、それぞれの行動をいつでも取れるようにしている。
「お前、ルークの仲間だろ? “死合う”って、俺と戦うって事か?」
「一度に質問しないで欲しいなぁ......ご名答。ジブンは......ライと呼ばれてる......よろしく......あと死合うってのは言葉の通りだ......ジブンと戦ってくれぃ」
「はぁ? 急に現れて何言ってんだてめぇ?」
「嫌......ですかぃ?」
声のトーン、表情、顔色には一切の変化が無い。だが放っていた殺気がより強く! 濃くなった!! そしてそれが向けられているのは俺じゃなくプリメーラとフィン!
フィンはまだしもプリメーラまで殺気に当てられて動けないようだ。その証拠に、全身から汗が吹き出し、表情の怖張りが強くなっている。
「待てよ。やんねぇなんて言ってないだろ? 寧ろ、願ったり叶ったりって感じなんだよ。だからその殺気弱めろ」
「良かった......ここで断られてたら旦那以外殺しちまう所でしたぁ......」
一瞬前まで濁流のように溢れ出ていた殺気が嘘のようにピタリと止まった。
このライって男! 考え方が危なすぎる!!
だがまぁ、ここでサイリスやルークレベルの強者と戦えるのは俺やフィンにとっては好都合というものだ。やれる所までやってやる!!
「そうだなぁ......五分。五分にしましょう。本気で来てくださいねぇ......いつでも不意打ち大歓迎だぁ」
「時間制限なんて役に立たないだろ」
「その心配はいらないでさぁ......これは契約。破れば相応の罰が降りかかりますんでぇ......」
そう言ってライは準備運動をし始めている。俺からは凄まじく隙だらけに見える。
お望み通り不意打ち......と思ったが懸念点が二つ。
まず一つ目にあの気配の消し方や殺気のコントロールから察するにライは相当な手練だ。十中八九対応されるだろう。(まぁ対応されたとしても殴れば良いだけなのだが)
そして二つ目。俺の全力は周辺を更地にしてしまう事だ!!
いや、俺的には全くもって構わないのだがこれ以上ルーク及び警備局のお世話になるとこれからの活動に支障が出るかもしれない!!
『大丈夫よ! 今私がアンタ達二人の周辺に女神っぽい結界をはったから! 安心して暴れちゃいなさい!』
プリメーラの声が脳内に響く。テレパシーってやつか!!
これが瞬間移動(燃費が悪い)、千里眼(使えてない)と結界(今使えるの知った)に続く女神っぽい事その4!!......何だこの絶妙なラインナップは!!?
今はそんな事どうでもいいのだ。目の前のライに集中集中!!
「――なんだぁ......準備運動待ってくれるなんて、旦那は親切ですねぇ」
「強者の余裕ってヤツだよ。先に来いよ」
「じゃあ......お言葉に甘えて――――ッ!!」
踏み込み!! コイツも近接戦闘タイプか!!?
半身になって手に持つ武器を巧妙に隠している......速さと相まって間合いが見極め辛い!!
「トウヤ! あの人すっごい長い剣持ってたよ!」
今度はフィンの声が心の中に響く......ん? 違うな......主に背中から耳にかけて聞こえるぞ?
「しかもその剣ね、ちょっと曲がってたの!」
俺の背中には、フィンが乗っかっていた。
「おんぶッ!!?!?!? なぜに!!?!?」
「ガキおぶって戦い......あまつさえ余所見たぁ......旦那にはがっかりです......」
だが! フィンのおかげでコイツの武器が分かった!!!!
その武器は空を裂きながら俺目掛けて振り抜かれる。
「ありゃぁ......ジブン、抜刀術には自信があったんですけど......まさか握って止められるとは」
「テメェの武器は刀か......心底ガッカリだぜライさんよォ!!!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる