色々不遇な転生したのでちびっ子魔王を最強に育てる事にしました〜なんでも壊す壊し屋さんとしてついでに異世界壊します〜

ちょっと黒い筆箱

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第54壊 これからのハイライト

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「――――きて......起きて......起きろぉぉぉぉぉ!!!!」

「はぁっ!!? 起きた起きたヨ゛ッ......」

「「つぅ~~!!」」

 俺が勢い良く頭をあげたら、顔を覗き込んでいたプリメーラと激突してしまった。今のこれがさっきの闘いの何よりも痛い。

 そして何よりも気になるのがプリメーラの体勢である。

 なにゆえ俺を見下ろす形? なにゆえ俺がお腹から上を見上げる形?

「なんで膝枕なんだ? 確かショクが俺の事受け止めてたよな?」

「私だって別にやりたくてやってる訳じゃないわよ!! アイツよアイツ!」

 プリメーラの指さす先には、俺より一足先に意識を取り戻したのであろうコーガザスが座っていた。

 砕けた外殻も完全に治っており、既に元気のようだ。

「ああ、オレがやるよう頼んだ」

「なんでまた......」

「昔読んだ絵物語でみた。男女はこういう事をするモノだと。そして現実でみたくなった。それだけだ」

 くだらねっ!! 理由くだらねっ!!!!

「――――因みにオレがその時読んだのは『初恋ブルースプリング』と言うやたら目のキラキラした男女が恋に落ちる話でな、主人公のアマネが悪の組織に囚われた恋人のユウヤを救う為に滝を割るシーンなどはもう胸がキュンとなったぞ。お前も読んでみるといい」

「しらねーし聞いてねーし何の話だよ......ってかそれなんの少女漫画!? あとお前の胸キュンポイントどうなってんの!?」

「どうでもいいけど、早く頭どかして......足が......痺れっ......!」

 俺が起き上がると同時、プリメーラはコテンと横になってしまった。


――――


 何気なく辺りを見回して、俺はある事に気が付いた。

「コーガザス、俺が勝ったんだよな?」

「ああ、倒れるのはオレの方が早かったからな」

「じゃあ......さっきまであった帝王混蝕粘生体カオスエンペラースライムの死体、どこに行ったの?」

 実物がなければ換金が出来ない。あれが無いと困るんだが......

 俺の質問に、コーガザスは明らかに動揺している。

「実は......オレが最後に放った崩覇ホッパーキックで......跡形もなく消し飛んでしまった......」

「まじかよ......」

「ちょっと待って! じゃあ金貨1200枚はどうなるの!?」

 痺れから回復したプリメーラが俺に乗りかかるようにして話にくい込んできた。

「俺達は冒険者ギルドの人間じゃないから討伐報告も記録されてないし(そもそも討伐してないし)提出する素材も無いから......現状変わらずって所だな」

「面目無い......」

 こうして、お宝の消滅という形で俺達のわくわくトレジャーハントは幕を閉じたのだった。

 あと、これ殆どトレジャーハントしてなくない? ホントにこれでいいの? ねぇ!

――――後日、ギルドの広告欄には『匿名希望の人がヌシを倒した!』とデカデカと書かれていた。

「実物が残らない程の激しい戦いだった。規則に則り報酬は受け取らない」と言っていたそうなので、多分俺達と別れた後にコーガザスが報告へ行ったのだろう。

 およそ人間には見えないあの見た目でどうやって行ったんだか......

 ショクは事実上新しい大森林のヌシになったものの、今は壊し屋の食糧担当......ではなくフィンの最初の配下としてお手伝いを頑張ってくれている。フィンの訓練の相手もしてくれているので、お互い更に強くなっていく事だろう。

 こうして壊し屋に、いつも通りの日常は戻っていったのだった。
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