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共犯者でも、盾にだって
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放課後になった。球技大会の結果は、総合優勝は3年生のクラスとなったけれど。2年生の中では見事トップになることができた。オレ自身も他のメンバーと交代で出場しつつ、桃真にすぐパスを出すという仕事をどうにか果たせたつもりだ。多分。
ただただ、心の底から楽しかった。充実感でなんだかお腹も空かなくて、弁当のから揚げは桃真に食べてもらった。川合くんが「腹減らないとか嘘だろ……」とショックを受けた顔をしていたのがちょっと面白かった。佐々木くんいわく、“うちのクラスに現役モデルがいた件!”なんて投稿がSNSに上がっている、ということも現時点でないそうだ。みんなの優しさが本当にありがたい。
「桃真、そろそろ帰る?」
「んー、待って。今ちょっとメッセージ送ってるところ」
「わかった」
球技大会の興奮が教室にも自分自身にも残っているのを感じつつ、ぼんやりと隣の席の桃真を眺める。そこで、ふと気がついた。桃真のスマートフォンに、昨日コーヒーショップで渡したペンギンくんがぶら下がっている。
「えっ、桃真?」
「んー?」
「こ、これ! なんで!?」
「あー、ペンギンくん? なんでって、昨日希色に貰ったヤツだけど」
「そ、それは分かってる、けど!」
オレがKEYだと桃真は最初から気づいていた。その事実にまだちっとも慣れなくて、こんな会話だけでも心臓が跳ね上がる。けれど今は、他にも気になることが目の前にある。
「キーホルダーなのに、ストラップになってる!」
カプセルトイの景品は、全てキーホルダーだ。それなのに桃真のペンギンくんにはストラップの紐がついていて、ゆらゆらとスマートフォンの下で揺れている。すごくうらやましい。
「ああ、バイトの帰りにパーツ買って改造した。いつも近くに持ってたくて、それならスマホにつけるのがいいかなって」
「っ、それって難しい? オレにもできるかな」
「できるできる。てかパーツ余ってるから俺がやるよ。ペンギンくん今持ってる?」
「家に置いてきちゃった……」
「そっか。じゃあ……」
スマートフォンをポケットにしまい腰を上げた桃真が、オレの手を取った。促されるままに立ち上がると、こてんと首を傾げて尋ねてくる。
「明日って仕事ある?」
「ううん、一日オフだよ」
「明日の夕飯、一緒にファミレスでも行かねえ? バイト夕方に終わるから、その後」
「桃真とファミレス? っ、うん、行く。行きたい!」
「よし、決まりな。ペンギンくん持ってきて。簡単だからそん時やろ」
「桃真……ありがとう!」
興奮気味に返事をするオレに、机に置いていたリュックを桃真が背負わせてくれる。なんだか子守をされているようで癪だけれど、そうしてもらわなければリュックなんか忘れて帰ったかもしれない。友だちと、桃真と外で食事をするなんて初めてで、体中がドキドキしている。
教室を出て、階段を下りて。靴に履き替えたところで、桃真のスマートフォンがメッセージを受信した。それを確認した桃真が、こちらを振り返る。
「希色」
「なに?」
「あのさ、隠してることがある、って。今朝言ったじゃん?」
「あ……うん」
「それ、明日ちゃんと言うから」
「桃真……」
部活へ向かう人や、放課後どこへ遊びに行くかと浮足立っている人たち。昇降口はそんな生徒たちで騒がしいのに、喧騒が一気に遠のいた。今この瞬間、桃真ひとりだけにオレの意識は集中する。明日はこの話をするのがメインなのだろう。
「……ん、分かった」
「うん。じゃあ帰るか」
外へと出て、駅までの道を共に帰る。秘密を明かす、と宣言されるのはなんだかこちらまで緊張するけれど。桃真だから大丈夫だ、怖くなんかない。まっすぐにそう思えることも、オレにとっては新しい心だ。
ただただ、心の底から楽しかった。充実感でなんだかお腹も空かなくて、弁当のから揚げは桃真に食べてもらった。川合くんが「腹減らないとか嘘だろ……」とショックを受けた顔をしていたのがちょっと面白かった。佐々木くんいわく、“うちのクラスに現役モデルがいた件!”なんて投稿がSNSに上がっている、ということも現時点でないそうだ。みんなの優しさが本当にありがたい。
「桃真、そろそろ帰る?」
「んー、待って。今ちょっとメッセージ送ってるところ」
「わかった」
球技大会の興奮が教室にも自分自身にも残っているのを感じつつ、ぼんやりと隣の席の桃真を眺める。そこで、ふと気がついた。桃真のスマートフォンに、昨日コーヒーショップで渡したペンギンくんがぶら下がっている。
「えっ、桃真?」
「んー?」
「こ、これ! なんで!?」
「あー、ペンギンくん? なんでって、昨日希色に貰ったヤツだけど」
「そ、それは分かってる、けど!」
オレがKEYだと桃真は最初から気づいていた。その事実にまだちっとも慣れなくて、こんな会話だけでも心臓が跳ね上がる。けれど今は、他にも気になることが目の前にある。
「キーホルダーなのに、ストラップになってる!」
カプセルトイの景品は、全てキーホルダーだ。それなのに桃真のペンギンくんにはストラップの紐がついていて、ゆらゆらとスマートフォンの下で揺れている。すごくうらやましい。
「ああ、バイトの帰りにパーツ買って改造した。いつも近くに持ってたくて、それならスマホにつけるのがいいかなって」
「っ、それって難しい? オレにもできるかな」
「できるできる。てかパーツ余ってるから俺がやるよ。ペンギンくん今持ってる?」
「家に置いてきちゃった……」
「そっか。じゃあ……」
スマートフォンをポケットにしまい腰を上げた桃真が、オレの手を取った。促されるままに立ち上がると、こてんと首を傾げて尋ねてくる。
「明日って仕事ある?」
「ううん、一日オフだよ」
「明日の夕飯、一緒にファミレスでも行かねえ? バイト夕方に終わるから、その後」
「桃真とファミレス? っ、うん、行く。行きたい!」
「よし、決まりな。ペンギンくん持ってきて。簡単だからそん時やろ」
「桃真……ありがとう!」
興奮気味に返事をするオレに、机に置いていたリュックを桃真が背負わせてくれる。なんだか子守をされているようで癪だけれど、そうしてもらわなければリュックなんか忘れて帰ったかもしれない。友だちと、桃真と外で食事をするなんて初めてで、体中がドキドキしている。
教室を出て、階段を下りて。靴に履き替えたところで、桃真のスマートフォンがメッセージを受信した。それを確認した桃真が、こちらを振り返る。
「希色」
「なに?」
「あのさ、隠してることがある、って。今朝言ったじゃん?」
「あ……うん」
「それ、明日ちゃんと言うから」
「桃真……」
部活へ向かう人や、放課後どこへ遊びに行くかと浮足立っている人たち。昇降口はそんな生徒たちで騒がしいのに、喧騒が一気に遠のいた。今この瞬間、桃真ひとりだけにオレの意識は集中する。明日はこの話をするのがメインなのだろう。
「……ん、分かった」
「うん。じゃあ帰るか」
外へと出て、駅までの道を共に帰る。秘密を明かす、と宣言されるのはなんだかこちらまで緊張するけれど。桃真だから大丈夫だ、怖くなんかない。まっすぐにそう思えることも、オレにとっては新しい心だ。
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