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「先輩の彼氏になりたい」
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翌日。四時間目が終わったと同時に、桃輔は伸びをする。続いて弁当を取り出すと、隣の席の森本がニヤリとした顔をこちらに向けた。
「モモー、今日も瀬名くんと昼か?」
「だなー」
「ほんと仲良いな! モモが後輩と仲良くやってんの、マジ意外だわ」
「それな」
尾方もコンビニの袋片手にやって来て、森本に賛同する。
瀬名がこのクラスに突撃したあの日以来、ふたりはずっとこの調子だ。茶化されていると感じた当初こそ、正直腹が立ったのが。実際はそういうことではないのだと、すぐに分かってしまった。
ふたりなりに気にかけてくれていたらしい、昼休みになると決まってひとりで教室を出ていく友人のことを。だから桃輔はこうしてしみじみとした顔をするふたりを、邪険にはできずにいる。
「俺昨日、放課後に瀬名くんと会ってさ。つい声かけちゃったわ」
「は、なんて?」
「うちのモモがお世話になってますーって」
「尾方お前……俺の親か」
「ちょっとそのつもり」
「いやなんでだよ」
「母ちゃんって呼んでいいぞ」
「じゃあ俺が父ちゃん?」
「ふ、そしたらお前ら夫婦じゃん」
冗談を交わしながら弁当を持って立ち上がる。瀬名くんによろしく、なんて言うから、はいはいと適当に答え後ろ手に手を振った。
歩いていると屋上の少し手前、廊下の先に瀬名を見つけた。隣にはいつも瀬名にくっついている女子と、それからもうひとりの女子がいた。ふたりは弁当らしきものを手に持っていて、例の子が瀬名の腕を両手で掴み、甘えるように揺らしている。ここから一年の教室は近くない。追ってきてまで昼休みを一緒に過ごしたい、というところだろうか。瀬名は落ち着いた様子で、どうにか躱そうとしているように見える。
本当にモテるんだなあというか、あの年齢で人を傷つけない振る舞いを選べて大したものだなあというか。つい立ち止まって感心していると、ふともうひとりのほうの女子と目が合ってしまった。
「げ……」
口の中でつい、そんなひと言が零れた。瀬名の友人とはできるだけ顔を合わせたくはない。桜輔と双子だと知っている者がいてもおかしくないからだ。あの人、あの笹原桜輔の双子の弟だよね、なんて言われたら困る。
すぐに視線を逸らし、屋上のほうへと急ぐ。すると背後から、こちらに駆けてくる足音が聞こえてきた。慌ててこちらも走ろうと思った瞬間、腕を掴まれた。瀬名だ。
「モモ先輩!」
「うおっ。瀬名、どうし……」
「モモー、今日も瀬名くんと昼か?」
「だなー」
「ほんと仲良いな! モモが後輩と仲良くやってんの、マジ意外だわ」
「それな」
尾方もコンビニの袋片手にやって来て、森本に賛同する。
瀬名がこのクラスに突撃したあの日以来、ふたりはずっとこの調子だ。茶化されていると感じた当初こそ、正直腹が立ったのが。実際はそういうことではないのだと、すぐに分かってしまった。
ふたりなりに気にかけてくれていたらしい、昼休みになると決まってひとりで教室を出ていく友人のことを。だから桃輔はこうしてしみじみとした顔をするふたりを、邪険にはできずにいる。
「俺昨日、放課後に瀬名くんと会ってさ。つい声かけちゃったわ」
「は、なんて?」
「うちのモモがお世話になってますーって」
「尾方お前……俺の親か」
「ちょっとそのつもり」
「いやなんでだよ」
「母ちゃんって呼んでいいぞ」
「じゃあ俺が父ちゃん?」
「ふ、そしたらお前ら夫婦じゃん」
冗談を交わしながら弁当を持って立ち上がる。瀬名くんによろしく、なんて言うから、はいはいと適当に答え後ろ手に手を振った。
歩いていると屋上の少し手前、廊下の先に瀬名を見つけた。隣にはいつも瀬名にくっついている女子と、それからもうひとりの女子がいた。ふたりは弁当らしきものを手に持っていて、例の子が瀬名の腕を両手で掴み、甘えるように揺らしている。ここから一年の教室は近くない。追ってきてまで昼休みを一緒に過ごしたい、というところだろうか。瀬名は落ち着いた様子で、どうにか躱そうとしているように見える。
本当にモテるんだなあというか、あの年齢で人を傷つけない振る舞いを選べて大したものだなあというか。つい立ち止まって感心していると、ふともうひとりのほうの女子と目が合ってしまった。
「げ……」
口の中でつい、そんなひと言が零れた。瀬名の友人とはできるだけ顔を合わせたくはない。桜輔と双子だと知っている者がいてもおかしくないからだ。あの人、あの笹原桜輔の双子の弟だよね、なんて言われたら困る。
すぐに視線を逸らし、屋上のほうへと急ぐ。すると背後から、こちらに駆けてくる足音が聞こえてきた。慌ててこちらも走ろうと思った瞬間、腕を掴まれた。瀬名だ。
「モモ先輩!」
「うおっ。瀬名、どうし……」
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