天使のお迎え〜転生BLに憧れる僕の、美しい義兄弟から愛される生活〜

星寝むぎ

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君の瞳に熱い銀河

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 悪いことはしていないはずなのに、銀河の様子に杏樹はついおずおずと頷く。すると銀河は眉間をぎゅっと寄せた。怒ったような、もしくはどこか苦しそうにも見える。そんな顔をさせたくない。銀河の頬に手を伸ばす。

「あの、僕ちゃんと弁えてるから大丈夫だよ。みんなと本当に兄弟になったなんて、思ってないから」
「っ、なんだよそれぇ。そんなん気にしてないし!」
「そうなの? じゃあ、どうしたの? なんだか辛そう」
「それは……」

 銀河の頬に添えていた手に、銀河の手が重なった。指が絡んだかと思ったら、手のひらにくちびるで触れられる。

「あっ。銀河くん?」
「杏樹、嫌じゃない?」
「嫌じゃない、けど……」
「じゃあこれは?」
「ん……っ」

 銀河のくちびるが手首、腕を通って、それから頬へと落ちてくる。こんなこと駄目だ。いや違う、兄弟だからいいんだっけ。拒むほうがおかしいんだっけ。壱星が涙を拭ってくれたあの車の中でも、こんな風に考えたのを思い出す。意識が逸れたことを見透かしたかのように、銀河が額同士をくっつけてきた。こっちを見ろと言われているみたいだ。吸いこまれそうなほど、銀河の瞳は奥深くまで美しい。かわいく思っているのに、どうしようもなく男だ。

「杏樹、俺は違うよ」
「違う?」
「うん」
「あっ」

 顔中に触れていたくちびるが、とうとう首に触れた。薄い皮膚に湿った熱いくちびるは、刺激が強すぎる。

「兄貴たちが兄弟のスキンシップの延長、かは怪しいけど……まあそうだとして。俺は違うから。杏樹にしてるこれは全部、キスだよ」
「……銀河くん? あっ、そこ、くすぐったい、んっ」

 首に何度もキスをしながら、銀河の指先が杏樹の腰をシャツの上からそろそろと撫でる。呼吸が上がって、このままでは体が反応してしまいそうだ。銀河も胸を上下させている。

 このままではよくない、銀河はきっと試合後の興奮が冷めないままなのだ。あとで後悔するに決まっている。だが拒んだら傷つけてしまう気もして、突き放すこともできない。

「はあ、杏樹」
「銀河、くん……」

 銀河の熱い息に、背筋がぞくぞくと震える。思わず銀河の背中にしがみつく。ゆっくりと美しい顔が近づいてきて、吐息が混ざり合う。ああ、くちびるとくちびるがもう触れそうだ。

 駄目なんだっけ。家族はキスしないんだっけ。なんで? するんだったらいいのに――

 眩んだ頭ではまともな思考ができなくなってきた時、なにかが銀河と杏樹の顔の間に現れた。

「おい!」
「んぐっ!」

 手だ。その手は銀河の口を塞ぎ、杏樹から引き剥がした。

「あ……彗、くん?」
「はあ、帰ってきてマジでよかった……」
「んん! んんー! ぷはっ! なにすんだよスイ兄!」 

 彗の手から逃れた銀河が、彗を睨み上げる。

「それはこっちのセリフだろ……なにやってんだよお前は」
「スイ兄には関係ないだろ」
「あるよ」
「ない」
「ある」
「……スイ兄さ、もしかして杏樹のこと好っ! んんー! んんん!」
「銀河、ちょっとこっち来い。ごめんな鈴原すずはら、ちょっと話してくる」
「う、うん。分かった」

 なにやら互いに一歩も引かない様子だったが、なにかを言いかけた銀河の口を彗が再び塞いで、リビングを出ていってしまった。

 正直なところ、彗が帰ってきてくれて助かった。あのままだと、銀河とキスをしていただろう。うるさいままの心臓にどうにか静まってくれと願いながら、キッチンに入る。ステーキを焼こう。料理をしていれば落ち着くかもしれない。銀河はいっぱい食べるから、と壱星が肉を余分に買ってくれていて助かった。彗の分も問題なく用意できる。
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