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アメリカンショートヘア(3)
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「次、九とトワの絡みね!」
その日の撮影は、アウトドアファッションで街歩きがテーマだった
九は、大きめの白いYシャツにアウトドアブランドのハーフパンツとレギンス、それにトレッキングシューズを合わせたスタイルでスペイン坂の階段に座った
横に立つトワは、Tシャツにマウンテンパーカーを羽織り、パンツはロールアップ、そこにニット帽を合わせている
自分の方が似合いそうと九は思ったが、声にも顔にも出さない
「カラオケ楽しかった?」
撮影中はおしゃべり自由である
その方が自然な表情が出るという、カメラマンの方針だ
「そっちは?あれからどっか行ったの?」
「親父のホストクラブ」
「え、親父さん経営者?」
「経営者っていうか…」
カメラマンから、九に立つよう指示が飛んだ
九は立ち上がると、自分より背の高いトワの肩に背伸びして顎をのせた
「私用で店使えるってことは、ヤクザか」
ピンポイントで言い当てられたトワは、九の表情を盗み見ようと、体を引いて視線を下げた
しかし、九は能面のように目を細める独特な笑顔をカメラに向けたまま、
「お互い本当の自分を隠すのに苦労するな」
と言った
※※※※※※※※※※※
「九、予約客2人ね。一人は新規」
「はーい。あ、トオノさんだ」
トオノは、元はミナミの常連客だったが、ミナミが辞めたあ、九の客になってくれた
トオノが相手だと、常にミナミを意識してプレイをしなくてはならないため緊張するが、トオノはいつも優しい声で、「九ちゃん、かわいい」と言ってくれた
そんなに言われたらキスのひとつやふたつしてあげたくなるもので、本当はオプション料金だが、トオノにはついサービスしてしまう
「さっき、僕のあとに受付に来て、九ちゃん指名してたコ、若くてかわいいコだったよ」
トオノが立ち上がってベルトをはめた
「トオノさん、俺以外のコにかわいいって言わないでよ」
「そういうセリフ、ミナミくんは言わなかったけど、言われるといいもんだね」
「すぐにミナミさんと比べるんだから…」
「でも俺は、手が届かないシャインマスカットより、毎日食べられるデラウェアが好きだよ」
「ミナミさんがシャインマスカットで僕はデラウェア?ひどくない?」
「でも人気はあるでしょ」
トオノは身支度を終えると、軽く手を挙げて部屋を出ていった
「失礼します」
九がカーテンを開けてプレイルームに入ると、客が立ち上がって、ダンッとガラスに手をついた
その動きに驚き、九は思わず後ずさった
しかしすぐに、明るいプレイルームから薄暗い客室に目を凝らした
ガラスの向こうにいたのは、昼間一緒に仕事したばかりのトワだった
「え?!トワ?!」
「ホントにこんなところで働いてたのかよ…」
トワの絞り出すような声が、スピーカーから聞こえた
「え?言ってなかったっけ?」
本気で言ったことがあるような口ぶりの九に、トワは腹が立った
「知らない。聞いてない」
「そっかー」
九はそう言ってマットレスに上がると、手を消毒した
「トワは初めてだから、当店のシステムから説明するね」
「え?」
「何?」
「…それだけ?」
「それだけって、そのために来たんでしょ?」
トワは愕然とした
「そうだけど…モデル仲間が来たんだから。もっとうろたえるとか、恥ずかしがるとかあるじゃん…」
九の反応を見ていると、グダグダ言っている自分の方が異常に思えてきた
「プレイの間なら恥ずかしがったりもするけど、知り合いが来たからって、恥ずかしがってたら仕事にならないし…」
「そりゃあそうだけど…」
トワは改めて九を見た
受付でコスチュームを聞かれ、適当にスーツと答えたのが、こういう形で現れるのかと思った
イメージしていたのとは違い、だいぶかわいらしい
チャコールグレーベースのチェックのツイードの3ピース
いまは上着を脱いで手に持っている
自分に、ジレが似合うことをよくわかっているのだ
「文句言うなら来るなよなー」
九は喋りながらシャツのボタンをはずしていく
「ちょ…何勝手に始めてるの?!」
「まあ、見てけってー」
九の長い指が、ゆっくりと開いた襟の中に入っていった
角度と深さ的に、胸を触ろうとしているのだ
トワは息を飲んだ
その日の撮影は、アウトドアファッションで街歩きがテーマだった
九は、大きめの白いYシャツにアウトドアブランドのハーフパンツとレギンス、それにトレッキングシューズを合わせたスタイルでスペイン坂の階段に座った
横に立つトワは、Tシャツにマウンテンパーカーを羽織り、パンツはロールアップ、そこにニット帽を合わせている
自分の方が似合いそうと九は思ったが、声にも顔にも出さない
「カラオケ楽しかった?」
撮影中はおしゃべり自由である
その方が自然な表情が出るという、カメラマンの方針だ
「そっちは?あれからどっか行ったの?」
「親父のホストクラブ」
「え、親父さん経営者?」
「経営者っていうか…」
カメラマンから、九に立つよう指示が飛んだ
九は立ち上がると、自分より背の高いトワの肩に背伸びして顎をのせた
「私用で店使えるってことは、ヤクザか」
ピンポイントで言い当てられたトワは、九の表情を盗み見ようと、体を引いて視線を下げた
しかし、九は能面のように目を細める独特な笑顔をカメラに向けたまま、
「お互い本当の自分を隠すのに苦労するな」
と言った
※※※※※※※※※※※
「九、予約客2人ね。一人は新規」
「はーい。あ、トオノさんだ」
トオノは、元はミナミの常連客だったが、ミナミが辞めたあ、九の客になってくれた
トオノが相手だと、常にミナミを意識してプレイをしなくてはならないため緊張するが、トオノはいつも優しい声で、「九ちゃん、かわいい」と言ってくれた
そんなに言われたらキスのひとつやふたつしてあげたくなるもので、本当はオプション料金だが、トオノにはついサービスしてしまう
「さっき、僕のあとに受付に来て、九ちゃん指名してたコ、若くてかわいいコだったよ」
トオノが立ち上がってベルトをはめた
「トオノさん、俺以外のコにかわいいって言わないでよ」
「そういうセリフ、ミナミくんは言わなかったけど、言われるといいもんだね」
「すぐにミナミさんと比べるんだから…」
「でも俺は、手が届かないシャインマスカットより、毎日食べられるデラウェアが好きだよ」
「ミナミさんがシャインマスカットで僕はデラウェア?ひどくない?」
「でも人気はあるでしょ」
トオノは身支度を終えると、軽く手を挙げて部屋を出ていった
「失礼します」
九がカーテンを開けてプレイルームに入ると、客が立ち上がって、ダンッとガラスに手をついた
その動きに驚き、九は思わず後ずさった
しかしすぐに、明るいプレイルームから薄暗い客室に目を凝らした
ガラスの向こうにいたのは、昼間一緒に仕事したばかりのトワだった
「え?!トワ?!」
「ホントにこんなところで働いてたのかよ…」
トワの絞り出すような声が、スピーカーから聞こえた
「え?言ってなかったっけ?」
本気で言ったことがあるような口ぶりの九に、トワは腹が立った
「知らない。聞いてない」
「そっかー」
九はそう言ってマットレスに上がると、手を消毒した
「トワは初めてだから、当店のシステムから説明するね」
「え?」
「何?」
「…それだけ?」
「それだけって、そのために来たんでしょ?」
トワは愕然とした
「そうだけど…モデル仲間が来たんだから。もっとうろたえるとか、恥ずかしがるとかあるじゃん…」
九の反応を見ていると、グダグダ言っている自分の方が異常に思えてきた
「プレイの間なら恥ずかしがったりもするけど、知り合いが来たからって、恥ずかしがってたら仕事にならないし…」
「そりゃあそうだけど…」
トワは改めて九を見た
受付でコスチュームを聞かれ、適当にスーツと答えたのが、こういう形で現れるのかと思った
イメージしていたのとは違い、だいぶかわいらしい
チャコールグレーベースのチェックのツイードの3ピース
いまは上着を脱いで手に持っている
自分に、ジレが似合うことをよくわかっているのだ
「文句言うなら来るなよなー」
九は喋りながらシャツのボタンをはずしていく
「ちょ…何勝手に始めてるの?!」
「まあ、見てけってー」
九の長い指が、ゆっくりと開いた襟の中に入っていった
角度と深さ的に、胸を触ろうとしているのだ
トワは息を飲んだ
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