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国王視点

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 うちひしがれていたら宰相に事務室に連行された。
 待っていたのは机からはみ出た書類の山の数々。

これ二~三年はかかるんじゃ…。

 頬がひきつる。
 宰相を見ればメガネを光らせ、鋭い目でこくりと頷いた。
 曰く、つべこべ言わずに"やれ"と。
 早く番を探しに行かなければならないのに、今までのツケがここで一気に邪魔をしてくる。
 
 「宰相、 一年だけ…」 

 「この国は国王なしで回りますか?」

 回してしまっていいんですか? と言外に責められれば、私はそっと白旗をあげるほかなかった。
 この世界には怒らせてはいけない人がいる。
 仕方なく椅子に座り、彼女の日記を傍らに置いて仕事を始めた。
 その間も引き続き、一部の騎士には捜索を命じているが、それらしい女性を見たという報告は上がってこなかった。

 番どの、君は一体どこで何をしているのだろう…。

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