どうせ ヒマだろ?

アンドロイド

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プロローグ

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 私は、この世界が憎かった。
 身に覚えのないくだらない罪状を読み上げる宰相。それをしたり顔で聞いている国王。救世主だと言っていたのに、魔王を倒したら『異端者』だと責め立てる教会。
 守ったはずの民衆には石を投げられ、何処からか現れた勇者と聖女に手柄を取られた。

 私が一体何をした?
 魔王を倒し、ボロボロになりながら頑張った結果が『偽勇者』。
 と言ったじゃないか…。
 だから、死に物狂いで魔王を倒したのに…。
 なぜ、私は断頭台の上にいる?

 心は闇に塗りつぶされ、魔王と同じ力が身体の中を渦巻く。この辺りの記憶は曖昧だが、私は魔人となって世界を破壊した。
 常に暗雲が立ち込め、瘴気に触れた動植物を魔物に変えて世に放った。

 あと少し、あと少しですべてを壊せたはずなのに…!

 私は勇者と聖女に封印された。
 
 『必ずこの世界に復讐する』

 私の心を生かすのは、私を利用するだけ利用し、殺そうとした奴らへの怨みのみ。
 その怨みおもいだけを胸に気が遠くなるような永い月日を真っ暗な地下室ここで氷漬けにされて過ごして来た。
 
 ーーーそいつがふらりと現れるまで…。

 「あれ、お兄さん一人?俺も一人♪」

 ………………ナンパか?

 

 
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