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その八 写楽消滅
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寛政七年正月。まだ松の飾りが残る頃、重三郎は十郎兵衛の訪問を受けた。
「新年おめでとうございます。蔦屋殿には大変お世話になりました。写楽だけでなく、澄の事まで。何とお礼を申してよいのか分かりませぬ」
そう言うと十郎兵衛は深々と頭を下げた。
「おめでとうございます。まあ、堅ぐるしい挨拶はよしましょう。奥方のお体はどうです?慣れない江戸での生活は大変だったのでしょう。今年は店の者を十郎兵衛さんの家に行かせましょう。澄さんのお世話はその者にも手伝わせますよ」
「ありがとう存じます。そこまで蔦屋殿は私たちの事を考えてくださっていたのですか。かたじけない事です。ですが「今年」はありません」
十郎兵衛はきっぱりと言った。そこには何の迷いもなく、気負いもない。
「ん?どういうことですかい、それは?」
重三郎は困惑している。
「もう、私は、いや写楽は絵を描かないのです。今日は新年のご挨拶と共にお別れの挨拶に来たのです」
「ちょいと待ってくれよ!ますます分からねぇよ。絵を描かないとかお別れとかどういったことなんだい?写楽はこれからなんだぜ!これからもっともっと江戸中を、いや日本中を驚かせるんだよっ!これからっていう時に、何を言ってんだよっ」
「一つは春朗です。あいつはすごい絵師です。早晩、俺や歌麿を凌ぐことになるでしょう。ですが今あいつは、写楽の影です。あれほどの男に影の人生を歩ませるわけにはいきません。私にはよく分かるのですよ。私が能舞台の影でしたから。春朗を写楽から解き放ってやりたいのです」
「ああ分かったよ、分かった。そのことなら、どうにでもなる。春朗を写楽から離して、独り立ちさせるよ。それなら文句はないんだろう?」
「理由はもう一つあります。そしてそれが一番の理由です」
十郎兵衛と重三郎はたがいに見つめ合った。静かな十郎兵衛と勢い込む重三郎。重三郎が口を開いた。
「澄さんの事ですかい?」
十郎兵衛が頷く。
「はい、その通りです。私は澄を連れて阿波に帰ります。そしてもう二度と江戸には戻りません」
「あんたが絵を描いている間は、店の者を澄さんに付き添わせる。もちろん女だ。安心してくれ。玄白先生にも診てもらえるようにする。天下の名医だ、阿波に戻ったら玄白先生に診てもらう事は出来ませんぜ」
「澄の病を治すには名医や薬では駄目なのです。心の重荷を取り除くしかないのです。生まれ育った阿波でのんびりと暮らさせてやりたいのです」
「澄さんの望みはあんたに好きな絵を描いてもらう事だ。写楽が大評判となり、一番喜んでいるのは澄さんだ。そいつは間違いない」
「ええ、私もそう思っていました。そしてその通りなのでしょう。澄は心優しい女ですから。ですがその為に澄は病になってしまいました。私が、私の夢が澄を壊してしまったのです。そして情けない事に、こうなって初めて私にとって一番大切なのは澄だと気づいたのです。これからは澄のそばにいたい。それが出来れば、他には何も要りません」
「十郎兵衛さんの話はよく分かりやした。写楽、写楽はどうなんです?肝心の写楽はどう思ってるんです?」
十郎兵衛がうつむいた。口が動いている。十郎兵衛が誰かと話している。しばらくして、十郎兵衛の顔が上がった。変わっている。十郎兵衛の顔をしながら、別人になっている。写楽だ。東洲斎写楽が現れたのだ。
「蔦屋さん、俺も同じだ。もう俺は絵を描かない。いや、もう俺は出てこない。俺が出てきたら、澄の病は直らないだろうからな」
「写楽さんよ、それでいいのかい?あんたそれで満足できるのかい?出来ないだろう。あんたは誰よりも絵を描きたいはずだ。自分の腕を日本中に知らせたい、そう思っているはずだ。写楽がこの世からいなくなれるはずがない!」
「流石だね、蔦屋さん。あんたの言う通りだ。俺が絵を捨てられるはずがない」
写楽の目に涙が溢れ出て来る。まっすぐに重三郎を見たまま、大粒の涙がこぼれ落ちていく。
「そうだろう。だからこれからも絵を描いていこう。澄さんや春朗の事はどうにかなる」
重三郎の顔に喜色が浮かんだ。
「だからさあ、こうするしかないのさ」
涙で顔を濡らしながら、写楽は懐から小刀を取り出し、左手に握った。そして小刀を右肘と手首の間に刃を当てた。
「何をするんだ、写楽!それだけはやめろっ!早まるんじゃない!」
「世話になったな、蔦屋さん。あんたの言う通り、俺はいつか絵を描きたくなり、出てくるかもしれない。だからこの世から消えるしかないのさ。ありがとう蔦屋さん、もう二度と会う事はないだろう」
写楽の右腕に小刀の刃が滑り込む。太い血が流れだし、畳の上に滴り落ちる。
右腕の筋が傷ついた。絵師としては致命傷だ。
「写楽ーっ!」
重三郎が絶叫する。写楽の顔が苦痛に歪む。
痛みに顔をゆがめながら、十郎兵衛が言った。
「痛っ。蔦屋殿、写楽は今逝きました」
それから十日後の正月中旬、重三郎は十郎兵衛の家を訪れた。出てきた十郎兵衛の右腕には白い包帯がまかれている。
「蔦屋殿、どうされたのです?何か御用でも?写楽はもういませんが」
「ちょっと用がありましてね。痛々しいですね、十郎兵衛さん。澄さんはその姿を見て、何と言ってるんです?」
「腕から血を流している私を見てえらく怒りました。あれから二、三日はずっと怒っていました。ここ数日ですよ。でようやくおさまったのは」
十郎兵衛の話を聞くと、重三郎はにっこりと微笑み、懐から十枚の小判を取り出した。
「これを渡しに来たんですよ。近々、阿波にお帰りになるとか。旅の足しにしてください」
旅費の足しにするにはあまりにも大きな金額だ。
「そ、そんな。こんなにもたくさん頂けませんよっ」
「病の奥方を伴っての旅です。金もかかりましょう。今までのお礼と餞別だと思って受け取ってください」
「まことにありがとう存じます。少々お待ちください、澄を呼んでまいりますから」
「いいや、結構です。澄さんに会わずに帰ります。なんか会ったら・・・」
重三郎は言いよどんだ。
「そうだ!私も蔦屋殿に渡したいものがあったんです。家の中にありますので、お持ちください。すぐに戻って参りますから」
そう言って十郎兵衛は重三郎の返事も待たず、家の中に入り、そして出てきた。手に一枚の絵を携えて。
「写楽から蔦屋殿へ渡してくれと頼まれていたんです。あいつが逝く前日に渡されました」
そう言って十郎兵衛は重三郎に絵を渡した。痛むのか顔を少しばかりゆがめて。
「写楽さんがおいらに。・・・これはまた」
「恵比寿」が描かれている。七福神の中の恵比寿だけが大きく描かれている。福々しく微笑み、大きな鯛を脇に抱えている。周りが明るくなり、見た人に幸せが届くような絵だ。
「蔦屋殿、ではこれで。長い間お世話になりました」
十郎兵衛が深々と頭を下げる。
「いいえ、こちらこそ。どうぞお達者で」
重三郎も頭を下げる。
その拍子に、恵比寿の絵の上に何かが落ちた。そしてそれは薄く広がっていった。
写楽の活動したのは寛政六年五月から七年の二月。
山東京伝は一切の創作活動をしていない。これは史実である。
喜多川歌麿、一切絵を描いていない。史実である。
勝川春朗(葛飾北斎)は写楽が消えた後、俵屋宗理と名を改め、今まで描かなかった美人画を描き、新境地を開く。史実である。
蔦屋重三郎、写楽消滅から二年後の寛政九年に病没。47歳の若さであった。
東洲斎写楽のその後は、・・・一切不明である。
了
「新年おめでとうございます。蔦屋殿には大変お世話になりました。写楽だけでなく、澄の事まで。何とお礼を申してよいのか分かりませぬ」
そう言うと十郎兵衛は深々と頭を下げた。
「おめでとうございます。まあ、堅ぐるしい挨拶はよしましょう。奥方のお体はどうです?慣れない江戸での生活は大変だったのでしょう。今年は店の者を十郎兵衛さんの家に行かせましょう。澄さんのお世話はその者にも手伝わせますよ」
「ありがとう存じます。そこまで蔦屋殿は私たちの事を考えてくださっていたのですか。かたじけない事です。ですが「今年」はありません」
十郎兵衛はきっぱりと言った。そこには何の迷いもなく、気負いもない。
「ん?どういうことですかい、それは?」
重三郎は困惑している。
「もう、私は、いや写楽は絵を描かないのです。今日は新年のご挨拶と共にお別れの挨拶に来たのです」
「ちょいと待ってくれよ!ますます分からねぇよ。絵を描かないとかお別れとかどういったことなんだい?写楽はこれからなんだぜ!これからもっともっと江戸中を、いや日本中を驚かせるんだよっ!これからっていう時に、何を言ってんだよっ」
「一つは春朗です。あいつはすごい絵師です。早晩、俺や歌麿を凌ぐことになるでしょう。ですが今あいつは、写楽の影です。あれほどの男に影の人生を歩ませるわけにはいきません。私にはよく分かるのですよ。私が能舞台の影でしたから。春朗を写楽から解き放ってやりたいのです」
「ああ分かったよ、分かった。そのことなら、どうにでもなる。春朗を写楽から離して、独り立ちさせるよ。それなら文句はないんだろう?」
「理由はもう一つあります。そしてそれが一番の理由です」
十郎兵衛と重三郎はたがいに見つめ合った。静かな十郎兵衛と勢い込む重三郎。重三郎が口を開いた。
「澄さんの事ですかい?」
十郎兵衛が頷く。
「はい、その通りです。私は澄を連れて阿波に帰ります。そしてもう二度と江戸には戻りません」
「あんたが絵を描いている間は、店の者を澄さんに付き添わせる。もちろん女だ。安心してくれ。玄白先生にも診てもらえるようにする。天下の名医だ、阿波に戻ったら玄白先生に診てもらう事は出来ませんぜ」
「澄の病を治すには名医や薬では駄目なのです。心の重荷を取り除くしかないのです。生まれ育った阿波でのんびりと暮らさせてやりたいのです」
「澄さんの望みはあんたに好きな絵を描いてもらう事だ。写楽が大評判となり、一番喜んでいるのは澄さんだ。そいつは間違いない」
「ええ、私もそう思っていました。そしてその通りなのでしょう。澄は心優しい女ですから。ですがその為に澄は病になってしまいました。私が、私の夢が澄を壊してしまったのです。そして情けない事に、こうなって初めて私にとって一番大切なのは澄だと気づいたのです。これからは澄のそばにいたい。それが出来れば、他には何も要りません」
「十郎兵衛さんの話はよく分かりやした。写楽、写楽はどうなんです?肝心の写楽はどう思ってるんです?」
十郎兵衛がうつむいた。口が動いている。十郎兵衛が誰かと話している。しばらくして、十郎兵衛の顔が上がった。変わっている。十郎兵衛の顔をしながら、別人になっている。写楽だ。東洲斎写楽が現れたのだ。
「蔦屋さん、俺も同じだ。もう俺は絵を描かない。いや、もう俺は出てこない。俺が出てきたら、澄の病は直らないだろうからな」
「写楽さんよ、それでいいのかい?あんたそれで満足できるのかい?出来ないだろう。あんたは誰よりも絵を描きたいはずだ。自分の腕を日本中に知らせたい、そう思っているはずだ。写楽がこの世からいなくなれるはずがない!」
「流石だね、蔦屋さん。あんたの言う通りだ。俺が絵を捨てられるはずがない」
写楽の目に涙が溢れ出て来る。まっすぐに重三郎を見たまま、大粒の涙がこぼれ落ちていく。
「そうだろう。だからこれからも絵を描いていこう。澄さんや春朗の事はどうにかなる」
重三郎の顔に喜色が浮かんだ。
「だからさあ、こうするしかないのさ」
涙で顔を濡らしながら、写楽は懐から小刀を取り出し、左手に握った。そして小刀を右肘と手首の間に刃を当てた。
「何をするんだ、写楽!それだけはやめろっ!早まるんじゃない!」
「世話になったな、蔦屋さん。あんたの言う通り、俺はいつか絵を描きたくなり、出てくるかもしれない。だからこの世から消えるしかないのさ。ありがとう蔦屋さん、もう二度と会う事はないだろう」
写楽の右腕に小刀の刃が滑り込む。太い血が流れだし、畳の上に滴り落ちる。
右腕の筋が傷ついた。絵師としては致命傷だ。
「写楽ーっ!」
重三郎が絶叫する。写楽の顔が苦痛に歪む。
痛みに顔をゆがめながら、十郎兵衛が言った。
「痛っ。蔦屋殿、写楽は今逝きました」
それから十日後の正月中旬、重三郎は十郎兵衛の家を訪れた。出てきた十郎兵衛の右腕には白い包帯がまかれている。
「蔦屋殿、どうされたのです?何か御用でも?写楽はもういませんが」
「ちょっと用がありましてね。痛々しいですね、十郎兵衛さん。澄さんはその姿を見て、何と言ってるんです?」
「腕から血を流している私を見てえらく怒りました。あれから二、三日はずっと怒っていました。ここ数日ですよ。でようやくおさまったのは」
十郎兵衛の話を聞くと、重三郎はにっこりと微笑み、懐から十枚の小判を取り出した。
「これを渡しに来たんですよ。近々、阿波にお帰りになるとか。旅の足しにしてください」
旅費の足しにするにはあまりにも大きな金額だ。
「そ、そんな。こんなにもたくさん頂けませんよっ」
「病の奥方を伴っての旅です。金もかかりましょう。今までのお礼と餞別だと思って受け取ってください」
「まことにありがとう存じます。少々お待ちください、澄を呼んでまいりますから」
「いいや、結構です。澄さんに会わずに帰ります。なんか会ったら・・・」
重三郎は言いよどんだ。
「そうだ!私も蔦屋殿に渡したいものがあったんです。家の中にありますので、お持ちください。すぐに戻って参りますから」
そう言って十郎兵衛は重三郎の返事も待たず、家の中に入り、そして出てきた。手に一枚の絵を携えて。
「写楽から蔦屋殿へ渡してくれと頼まれていたんです。あいつが逝く前日に渡されました」
そう言って十郎兵衛は重三郎に絵を渡した。痛むのか顔を少しばかりゆがめて。
「写楽さんがおいらに。・・・これはまた」
「恵比寿」が描かれている。七福神の中の恵比寿だけが大きく描かれている。福々しく微笑み、大きな鯛を脇に抱えている。周りが明るくなり、見た人に幸せが届くような絵だ。
「蔦屋殿、ではこれで。長い間お世話になりました」
十郎兵衛が深々と頭を下げる。
「いいえ、こちらこそ。どうぞお達者で」
重三郎も頭を下げる。
その拍子に、恵比寿の絵の上に何かが落ちた。そしてそれは薄く広がっていった。
写楽の活動したのは寛政六年五月から七年の二月。
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