噂の補佐君

さっすん

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「遅かったね、二人共」


教室に入って来た俺達に気付いた赤坂あかさかそうが声を掛ける。


窓際の机を四つくっつけて、向かい合って座っている爽と緑谷みどりやかなで


爽はその名の通り爽やかな印象を与える好青年。


奏は鋭い目付きで不良のようにも見えるが、けっこう優しい。


ごめんごめん、と謝りながら、俺は奏の隣に座る。


その机の上には俺の手作りの弁当がある。


俺の向かいに捺が座ったのを確認して、爽は口を開いた。



「じゃ、食べよっか」



俺意外は全員パンらしく、包装を破いてかじりついた。



「あれ、奏今日菓子パンじゃん」



隣の奏を見てふと気付いた事を口にする。


いつもは惣菜パンな奏が今日は甘そうな菓子パンを食べている。



「なんか、廊下でぶつかった奴に、お詫びっつって貰ったんだよ」


「なにそれ。


その子奏に気があるんじゃない?」 



意味有り気な顔で爽は奏を茶化す。



そう、奏もけっこうモテるのだ。


怖い見た目だけど、顔は整ってるから。



「んな訳ねぇだろ」



コイツ何言ってんだ、と言いたそうな顔で、奏は爽を見た。



「意外とあるかもな。


ぶつかったのだってわざとかも」



ふっと笑って悪ノリする捺に、お前もか、と奏は頭をかかえた。



「なんにせよ、俺甘いの苦手だし、さすがに全部は食えねぇよ」


「え、なんでだよ。

甘い物は美味しいのに!」


「晴は甘党だからね。

正直俺もあんまり甘い物は得意じゃないな」



爽は困ったように笑う。


それに対して俺はふーんと適当な返事をした。



「晴、んな拗ねた顔すんな」



捺にほっぺたをグーと引っ張られ俺は痛い、文句を言う。


別に拗ねた顔なんてしてない。


ただちょっと残念なだけだ。



「だいたい、クール目指してるなら、甘党って似合わなくね?」 



怪訝そうに俺を見る奏。


それに爽も確かに、と笑う。



「いや、甘いの嫌いになるなんて絶対無理だから!」



別に甘党なクール男子だっているだろ…………多分…………。



「ほら、落ち着け」



そう言って捺はあのメロンパンを俺の口に持って来た。


俺はそれにかぶり付いて咀嚼する。


カリッとしたパンに、甘いけどしつこくないクリーム、酸味が強いフルーツ。


これ、美味し過ぎる!



「ふふっ、晴顔ゆるみ過ぎだよ。

それについてる」



すっと、斜め前に座る爽は俺の方に手を伸ばして口元に触れた。



「んっ」



パンのかすを親指で拭った爽はそのままそれを自分の口に入れる。



「パン生地良質だね。

これは美味しい」


「晴、これも食え」



ズイッと目の前に出された、一口サイズにちぎられた奏の菓子パン。


俺はそれも食べた。



「ん~!美味しいけど、確かに甘い物が苦手な奴には甘過ぎだな」



煉乳の独特な強い甘味が口いっぱいに広がって、俺は幸せな気持ちになる。


自然と頬がゆるみ、多分、今俺、すごくにこにこしてる。



「晴、その顔をここでするな」


「え?」



苦虫を噛み潰したような顔で、捺は俺を見ていた。


どういう意味か分からず、首を傾げると、今度は爽から注意される。



「そういう事もしちゃダメ。

晴はもう少し自分について理解しなきゃ」


「ん?」



自分についてはけっこう理解してると思ったんだけど……。


というか、そういう事ってどういう事?


まぁ、とりあえず分かった、と了承する。


すると今度は、奏からツッコミが入った。



「絶対分かってねぇだろ」


「いてっ」



ペシッと頭を叩かれ、俺は叩かれた部分を自分の手で撫でる。



「まぁいいけど。

晴は俺達が守るから」



捺の言葉にまた首を傾げたくなったが、また何か言われそうだから、俺は適当な返事をして、卵焼きを口に放り込んだ。












_____

side腐男子


「ヤバ過ぎるぅぅぅ!!」



佐野は無自覚だからなんとも思ってないだろうけど、あーんしてた!


しかも青野とあの、不良の緑谷から……!!


青野のは完全に間接キスだし、緑谷のは一口サイズにちぎってある、という優しさが感じられる……!!


萌えポイントだぁぁぁ!!!!


しかもさりげなく、赤坂は佐野の口元から拭ったパン食べてるし、キュンキュンするわ!!


極めつけに、



「晴は俺達が守るから」



なんて!!!!


王子様かよ!!!!



「はぁ、甘い~」


「眼福だわ……」
感想 5

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