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side青野捺
後悔しているんだ。
感情の赴くままに晴に手を出した事を。
でも、いつまでも無防備で、俺の事なんて友達くらいにしか思ってない晴に、その時は怒りが湧いた。
俺の気持ちも知らないで、こいつは……って。
そんなの筋違いなのに。
知らないのは当然なんだ。
気持ちを悟られないように、傷つけてしまわぬようにって隠してきたんだから。
深いため息が口から漏れた。
自己嫌悪。
ほんと、俺って馬鹿だ。
あんな事したら恋人になれない。ましてや友達にすら戻れないって十分理解してたくせに。
俺はどうしたいんだよ。
一限の授業は地理。
全く内容に集中出来ない。
先生の声が遠くに聞こえる。
その時、閉められていた教室のドアが開いた。
突然の事にさすがの俺も驚いて顔を上げてそっちを向く。
「あ……」
小さな声が口の端から漏れた。
「すみません、遅れてしまって」
「あ、佐野……。
冬木先生から聞いてるよ。大丈夫なのかい?」
地理の先生に大丈夫だ、と笑い掛けて晴は足早に自分の席につく。
まず机上のノートと教科書を片付け、引き出しから地理の教科書とノートを取り出す。
その間、教室内は少しざわつく。
「晴君大丈夫なのかな」
「なんか大丈夫そうではあるけど……」
「もしかして冬木先生に励ましてもらったのかな」
「えぇ?冬木先生と晴君って付き合ってるの?」
「やたらに冬木先生と仲がいいなぁとは思ってたが……」
根も葉もない意見だ。
冬木先生と晴が仲がいいのは一年次に晴が保健室に行く事が多かったから。
そう、分かってるのに。
それなのに。
胸がズキズキ痛くて、もやもやする。
晴の表情は晴れやかで、スッキリとしているようだった。
頼ってもらえないのは当たり前なのにそれを羨むなんておかしな話だ。
地理の先生は晴の準備が整った事を確認して、授業の続きを進めた。
それと同時に話し声もやむ。
でも、俺の中の不の感情は消えなかった。
side佐野晴
「捺。俺も一緒に行く」
四限が終わって早々に教室を出ていこうとする捺の背中を俺は引き止めた。
振り返った捺は驚いたように目を大きく見開いていた。
多分、俺が引き止めた事と、俺の隣に爽と奏がいる事に驚いたんだろう。
「……」
迷ったように目を伏せた捺だが分かった、と真っ直ぐ見つけ返した。
「今日は中庭で食べようと思うんだけどいいか?」
俺の提案に三人は何も言わずに頷いた。
奏は二人との件を知らないはずだが、なんとなく空気を察したのか、何も言わない。
いつもとはまるで違う俺達の様子にすれ違う生徒は不思議そうな顔をしていたけれど、こちらも何も言わなかった。
そうして、中庭に到着した。
そこには誰もおらず、暖かな日差しとそよそよ吹く風がとても心地いい。
丸テーブルを囲むように置かれた四つの椅子にそれぞれ腰を下ろす。
「単刀直入に言うけど、俺、捺と爽とは付き合えない」
俺の言葉に二人は何も反応を示さなかった。
まるでそれが分かっていたみたいだ。
「でも、二人とこのまま気まずい関係になるのは嫌だ。
だからさ、友達になってくれないかな」
捺や爽、奏と一緒にいるのはとても楽しいんだ。
それが、今の俺にすごく大切で、必要なんだ。
だから疎遠になってしまうのは嫌。
……わがままって分かってる。
でも、俺は、ちゃんと二人と向き合いたい。
「……晴ならそう言うかもってなんとなくわかってた」
捺が言った。
捺に視線を向けると、穏やかな表情のように見えた。
「正直それが晴らしいって俺も思うよ」
続いて爽も言う。
少し口角が上がっていていつもの優しい微笑だ。
「まぁ友達だとしても晴を口説く事は出来るし」
「えっ」
「そうだね。晴は隙だらけだから」
「なっ」
「俺も、晴に意識してもらえるよう、頑張る」
「ど、どういう事……!?」
「じゃ、お昼食べようか」
俺をスルーして爽の言葉に捺と奏は賛成し、昼食の準備を始める。
「晴」
困惑する俺を捺が呼んだ。
「覚悟しとけよ」
「えっ!?」
ニヤッと笑う捺。
俺の顔が熱くなる。
「ちょっと捺。抜け駆け禁止」
「捺って意外と油断なんねぇよな」
後悔しているんだ。
感情の赴くままに晴に手を出した事を。
でも、いつまでも無防備で、俺の事なんて友達くらいにしか思ってない晴に、その時は怒りが湧いた。
俺の気持ちも知らないで、こいつは……って。
そんなの筋違いなのに。
知らないのは当然なんだ。
気持ちを悟られないように、傷つけてしまわぬようにって隠してきたんだから。
深いため息が口から漏れた。
自己嫌悪。
ほんと、俺って馬鹿だ。
あんな事したら恋人になれない。ましてや友達にすら戻れないって十分理解してたくせに。
俺はどうしたいんだよ。
一限の授業は地理。
全く内容に集中出来ない。
先生の声が遠くに聞こえる。
その時、閉められていた教室のドアが開いた。
突然の事にさすがの俺も驚いて顔を上げてそっちを向く。
「あ……」
小さな声が口の端から漏れた。
「すみません、遅れてしまって」
「あ、佐野……。
冬木先生から聞いてるよ。大丈夫なのかい?」
地理の先生に大丈夫だ、と笑い掛けて晴は足早に自分の席につく。
まず机上のノートと教科書を片付け、引き出しから地理の教科書とノートを取り出す。
その間、教室内は少しざわつく。
「晴君大丈夫なのかな」
「なんか大丈夫そうではあるけど……」
「もしかして冬木先生に励ましてもらったのかな」
「えぇ?冬木先生と晴君って付き合ってるの?」
「やたらに冬木先生と仲がいいなぁとは思ってたが……」
根も葉もない意見だ。
冬木先生と晴が仲がいいのは一年次に晴が保健室に行く事が多かったから。
そう、分かってるのに。
それなのに。
胸がズキズキ痛くて、もやもやする。
晴の表情は晴れやかで、スッキリとしているようだった。
頼ってもらえないのは当たり前なのにそれを羨むなんておかしな話だ。
地理の先生は晴の準備が整った事を確認して、授業の続きを進めた。
それと同時に話し声もやむ。
でも、俺の中の不の感情は消えなかった。
side佐野晴
「捺。俺も一緒に行く」
四限が終わって早々に教室を出ていこうとする捺の背中を俺は引き止めた。
振り返った捺は驚いたように目を大きく見開いていた。
多分、俺が引き止めた事と、俺の隣に爽と奏がいる事に驚いたんだろう。
「……」
迷ったように目を伏せた捺だが分かった、と真っ直ぐ見つけ返した。
「今日は中庭で食べようと思うんだけどいいか?」
俺の提案に三人は何も言わずに頷いた。
奏は二人との件を知らないはずだが、なんとなく空気を察したのか、何も言わない。
いつもとはまるで違う俺達の様子にすれ違う生徒は不思議そうな顔をしていたけれど、こちらも何も言わなかった。
そうして、中庭に到着した。
そこには誰もおらず、暖かな日差しとそよそよ吹く風がとても心地いい。
丸テーブルを囲むように置かれた四つの椅子にそれぞれ腰を下ろす。
「単刀直入に言うけど、俺、捺と爽とは付き合えない」
俺の言葉に二人は何も反応を示さなかった。
まるでそれが分かっていたみたいだ。
「でも、二人とこのまま気まずい関係になるのは嫌だ。
だからさ、友達になってくれないかな」
捺や爽、奏と一緒にいるのはとても楽しいんだ。
それが、今の俺にすごく大切で、必要なんだ。
だから疎遠になってしまうのは嫌。
……わがままって分かってる。
でも、俺は、ちゃんと二人と向き合いたい。
「……晴ならそう言うかもってなんとなくわかってた」
捺が言った。
捺に視線を向けると、穏やかな表情のように見えた。
「正直それが晴らしいって俺も思うよ」
続いて爽も言う。
少し口角が上がっていていつもの優しい微笑だ。
「まぁ友達だとしても晴を口説く事は出来るし」
「えっ」
「そうだね。晴は隙だらけだから」
「なっ」
「俺も、晴に意識してもらえるよう、頑張る」
「ど、どういう事……!?」
「じゃ、お昼食べようか」
俺をスルーして爽の言葉に捺と奏は賛成し、昼食の準備を始める。
「晴」
困惑する俺を捺が呼んだ。
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「えっ!?」
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俺の顔が熱くなる。
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