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1-4 反乱の狼煙
79 救出・前
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た、大変長らくお待たせしました……!
第1章完結までの予約、終わりました!!!3章まであるのですが、今月中に第1章は完結します。どうぞよろしくお願いします。いつも本当にありがとうございます!!!
――――――――
「なあ、キスしとこっかー」
「へ?!」
ダンジョンの入り口でフェルトたちを待ちながら、どうしようかなといろいろ考えていた。
夜の森はいつもなら静まりかえっているところだけど、今日は違う。たくさんの天幕が並び、ざわざわがやがやと大勢の人間が動く音がする。
ざっと足音が聞こえたので顔を上げると、こわばった表情のフェルトが立っていた。この顔はあんまり好きじゃないなーと思う。ぐいっとフェルトの手を引っぱり、片手をフェルトの首に手をまわすと、「んー」と目をつぶりながら、俺は空気を読まずにそんなことを言った。
そしたら、フェルトのやつ……こともあろうに「ちょ、ちょっとレイ」とかいいながら、顔を背けやがった。俺は少しイラッとしながら、口をひらく。
「んーだってなんかこの国大変そうだし、どっちかが死ぬことになったりしたらもうできないし?」
「レイ! そういうのは――!」
フェルトのそんな顔を見てるのが嫌なだけだけど、そうでも言っとけばフェルトは俺の好きにさせてくれるだろうと思う。フェルトの高い鼻に、自分の鼻をすりすりとこすりつけながら、唇が触れるか触れないかのところで話す。
「ほら、口あけて」
「――わッ」
俺は真っ赤になってるフェルトの唇をぺろっと舐めた。「ん?」と誘うように首を傾けたら、フェルトもおずおずと唇を重ねてきた。角度を変えながら数度押しつけていると、だんだん口づけが深くなった。うっとりした顔で目を閉じたフェルトを見てたら、だんだん我慢もできなくなる。「なーセックスもしとく?」て聞いたら、さすがに怒られた。
「レイッ! だいたいどうするつもりなの? なんか秘策でもあるわけ?」
「んー……まあ、なんとかなるかもなあってくらい。一応ついてきてよ」
「あ、当たり前だよ! レイのこと放っておくわけない!」
「じゃあセックスしてから行こー」
俺がフェルトの股間を指でつつーとなでると、ガシッと手を握りしめられる。見上げたら、フェルトの怖い顔があって心底げんなりした。
「レイ! ふざけてないで、ちゃんと説明して」
「え、すっきりしてから行ったほうが、なんか成果でそうだ」
「そういう問題じゃないよ!」
そう叫んだあと、早く説明しろと言わんばかりのフェルトにじっと睨まれる。俺はフェルトの首にまわしていた腕を下ろすと、説明を始めることにした。正直、めんどくさい説明だから、適当に話そうと思う。
「ダンジョンの仕様で〝召還陣〟っていうのがあるんだよ。モンスター召還するやつな」
「うん、セイレーンと契約したって言ってたよね」
「それで最近、またモンスターと契約して、第四階層に住んでもらおうと思ったんだ。そしたらさ、セイレーンのときは召還陣の上にセイレーンが出現したんだけど、そんときはそこに『扉』が出た」
「扉?」
「そう。その扉に入ってみたら……王都につながってたんだ」
「……は?」
ぱかんと口を開けたフェルトに「面倒だから簡単に言うけど」とひとこと前置きしてから、俺はことの成り行きを説明した。
俺が召喚したモンスターは、どうやら王都に住んでいるらしいのだ。つまり、その扉に入れば、遠く離れた王都につながっている。人質の投獄場所を探して→牢に侵入→牢からまた扉を出す→人質も連れて戻る……ということが可能なんじゃないかと思うのだ。
「……ちょ、ちょっと待って、レイいつの間にそんなわけわかんないことができるようになったわけ??? 本当にそんなことができるの?」
「んーだからさ、セックスする時間もあると思うんだよね」
「レイッ!」
「えー。だって、俺、結局一回しかフェルトの中に入れたことない。入れたい」
「え! にかッ――……あ、いや、なんでもない。じ、時間があるとかないとか、そういう問題じゃないよッ!」
ハア。全然やれそーにない。嫌な気持ちだけでもフェルトに伝われと思いながら、俺はため息をついた。とにかく、第二騎士団のことを解決しなければ、かわいい俺の騎士は性欲なんて二の次みたいだ。まあ、そりゃあそうか。ここで俺に流されるような男ではないことは、知ってた気がする。
「それで? お前はファシオンの監獄のことはどれくらい知ってるわけ?」
「いくつかあるんだ。たしか、――全部で五つ。行ったことはあるけど、中の構造とか詳しいことはわからない」
「――あ、それ、俺の得意分野かなー?」
第1章完結までの予約、終わりました!!!3章まであるのですが、今月中に第1章は完結します。どうぞよろしくお願いします。いつも本当にありがとうございます!!!
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「なあ、キスしとこっかー」
「へ?!」
ダンジョンの入り口でフェルトたちを待ちながら、どうしようかなといろいろ考えていた。
夜の森はいつもなら静まりかえっているところだけど、今日は違う。たくさんの天幕が並び、ざわざわがやがやと大勢の人間が動く音がする。
ざっと足音が聞こえたので顔を上げると、こわばった表情のフェルトが立っていた。この顔はあんまり好きじゃないなーと思う。ぐいっとフェルトの手を引っぱり、片手をフェルトの首に手をまわすと、「んー」と目をつぶりながら、俺は空気を読まずにそんなことを言った。
そしたら、フェルトのやつ……こともあろうに「ちょ、ちょっとレイ」とかいいながら、顔を背けやがった。俺は少しイラッとしながら、口をひらく。
「んーだってなんかこの国大変そうだし、どっちかが死ぬことになったりしたらもうできないし?」
「レイ! そういうのは――!」
フェルトのそんな顔を見てるのが嫌なだけだけど、そうでも言っとけばフェルトは俺の好きにさせてくれるだろうと思う。フェルトの高い鼻に、自分の鼻をすりすりとこすりつけながら、唇が触れるか触れないかのところで話す。
「ほら、口あけて」
「――わッ」
俺は真っ赤になってるフェルトの唇をぺろっと舐めた。「ん?」と誘うように首を傾けたら、フェルトもおずおずと唇を重ねてきた。角度を変えながら数度押しつけていると、だんだん口づけが深くなった。うっとりした顔で目を閉じたフェルトを見てたら、だんだん我慢もできなくなる。「なーセックスもしとく?」て聞いたら、さすがに怒られた。
「レイッ! だいたいどうするつもりなの? なんか秘策でもあるわけ?」
「んー……まあ、なんとかなるかもなあってくらい。一応ついてきてよ」
「あ、当たり前だよ! レイのこと放っておくわけない!」
「じゃあセックスしてから行こー」
俺がフェルトの股間を指でつつーとなでると、ガシッと手を握りしめられる。見上げたら、フェルトの怖い顔があって心底げんなりした。
「レイ! ふざけてないで、ちゃんと説明して」
「え、すっきりしてから行ったほうが、なんか成果でそうだ」
「そういう問題じゃないよ!」
そう叫んだあと、早く説明しろと言わんばかりのフェルトにじっと睨まれる。俺はフェルトの首にまわしていた腕を下ろすと、説明を始めることにした。正直、めんどくさい説明だから、適当に話そうと思う。
「ダンジョンの仕様で〝召還陣〟っていうのがあるんだよ。モンスター召還するやつな」
「うん、セイレーンと契約したって言ってたよね」
「それで最近、またモンスターと契約して、第四階層に住んでもらおうと思ったんだ。そしたらさ、セイレーンのときは召還陣の上にセイレーンが出現したんだけど、そんときはそこに『扉』が出た」
「扉?」
「そう。その扉に入ってみたら……王都につながってたんだ」
「……は?」
ぱかんと口を開けたフェルトに「面倒だから簡単に言うけど」とひとこと前置きしてから、俺はことの成り行きを説明した。
俺が召喚したモンスターは、どうやら王都に住んでいるらしいのだ。つまり、その扉に入れば、遠く離れた王都につながっている。人質の投獄場所を探して→牢に侵入→牢からまた扉を出す→人質も連れて戻る……ということが可能なんじゃないかと思うのだ。
「……ちょ、ちょっと待って、レイいつの間にそんなわけわかんないことができるようになったわけ??? 本当にそんなことができるの?」
「んーだからさ、セックスする時間もあると思うんだよね」
「レイッ!」
「えー。だって、俺、結局一回しかフェルトの中に入れたことない。入れたい」
「え! にかッ――……あ、いや、なんでもない。じ、時間があるとかないとか、そういう問題じゃないよッ!」
ハア。全然やれそーにない。嫌な気持ちだけでもフェルトに伝われと思いながら、俺はため息をついた。とにかく、第二騎士団のことを解決しなければ、かわいい俺の騎士は性欲なんて二の次みたいだ。まあ、そりゃあそうか。ここで俺に流されるような男ではないことは、知ってた気がする。
「それで? お前はファシオンの監獄のことはどれくらい知ってるわけ?」
「いくつかあるんだ。たしか、――全部で五つ。行ったことはあるけど、中の構造とか詳しいことはわからない」
「――あ、それ、俺の得意分野かなー?」
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