待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

文字の大きさ
35 / 186
第1章 ギルド入会

第三十三話

しおりを挟む
 酒場…。
 それは大人達の社交場……。
 といってもそういう所、たとえばオシャレなバーとかに賞金首はいないだろうw
 不良?ヤンキー?そういう輩はお引き取りください的な店にはさすがに賞金首はいないと僕らは思ったので、僕らはまずヤンキー(笑)がいそうなガラの悪そうな酒場からまず捜すことにした。

 相談しながら僕らは歓楽街に数ある中のとある酒場に足を踏み入れた。
 この店は西部劇でよく見るような内装でいかにも不良がいそうな感じがした。
 先頭はこのパーティーのリーダーであるアーノルドさん。
 さすが社会人。なんの気後れもなく普通に入っていった。
 さりげなく周囲を見回しターゲットの賞金首がいないか確認していた。
 次に入ったのはちーずプリンさん。
 物珍しそうに店内を見回している。
 きっと僕と同じでこういう所に来たこがないんだろうな。
 そしてヴィンスさん。
 鉄仮面と鉄の鎧で全身身を固めているから表情とかが一切わからないけど、堂々としているように見えた。
 何気に頼もしい人だ。
 最後に僕が店内に入ったけどぶっちゃけ怖い……。
 店に入ってすぐにガラの悪そうなヒャッハーなNPCひと達の視線を感じる!
 僕は前を歩くヴィンスさんの背中に自分の視線を固定して身を固くしたままついていった。
 これは無理ゲーだ…。
 もし一人でここに行けと言われたら行ったフリしてスルーする。
 
「痛っ!」

 …くない。いつの間にか立ち止まっていたヴィンスさんの背中にぶつかってしまった。
 振り向くヴィンスさん。

「すみません…」

 僕が謝るとヴィンスさんはコクリと頷いてまた前を向いた。
 僕はまたヴィンスさんの背中に視線を固定したまま息を殺してじっとしていた。
 この店の雰囲気が、チンピラの…いやお客様の視線が苦手だ…。
 ああ…早くここから出たい。
 どれくらい経ったのかわからない。
 長いような短いような苦痛の時間が過ぎていった。

「ここにはいないようですね。次に行きましょう」
「はーい」
「了解デス」
「はい…」

 アーノルドさんは言葉にみんな頷く中、僕の足はすでに出入り口へ向かって動き出していた。
 どうやらアーノルドさんは酒場のマスターや店のお客に賞金首のことを尋ねていたらしい。
 結果は空振りだったようだ。

「手分けして探したほうがよくないですか?」

 店を出たあとちーずプリンさんがそんなことを口にした。

(なん…だと!?)
「…そうですね。その方がいいかもしれません」
「ソウダナ」

 愕然とする僕に構わず(ていうか気付かず)アーノルドさんとヴィンスさんが頷いた。

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 僕の待ったに三人が僕のほうに顔を向けた。
 あの、そんなにガン見されると恥ずかしいんですけど……。

「どうしました?」
「いや、あの手分けして捜すのはどうかと…」
「えー!なんでですかあ?」
「なんでって言われても…その……」

 一人は怖いからみんな一緒にいようとは言えない空気だ…。
 考えろ………

「あの手分けして捜してもし賞金首を見つけて、向こうが襲ってきたらソロで戦うことになるじゃないですか?そうなったらあぶないかな~と…」
「ソロでもいけるでしょ」
「一番弱イターゲットデス。ソレナノニ、ファントムハ自信ガナイノデスカ?」
「うぅ……」

 そう言われるとうまい言葉が見つからない…。どうする?考えるんだファントム! 
 このままじゃぼっちで捜すことになるぞ!

「あっそうだ!(閃いた!)ほら、僕達パーティー組んで捜してるじゃないですか?それなのに手分けして捜したら賞金首って現れるんですか?それにもし見つけて戦闘になったときソロだと現れない雑魚モブの手下が現れたらどうするんですか?ソロで賞金首と手下を相手にするのは、ちょっと厳しいんじゃないですかね?」

 僕は思いついたことを一気に早口でまくしたてた。

「う~ん、そう言われると……」
「不確定要素…。否定ハデキマセン」
「効率悪いかもしれませんけど、ここはみんなで一緒に捜したほうがいいですよ」

 はい論破!
 反論される前にリーダーであるアーノルドさんの言質を…!

「アーノルドさんはどう思いますか?」

 お願いアーノルドさん!察してください!
 心の中で祈る僕。
 アーノルドさんが苦笑しつつも頷いてくれた。

「そうですね。ファントムさんの言う通りかもしれません。このまま捜しましょう」

 勝った…!
 心の中で僕はガッツポーズをした。


 なんとかみんなを説得できたあと再び賞金首を捜していそうな酒場を片っ端から見て回っていくことにした。
 店内を見渡し店のNPCひとやお客さんに聞き込みをしながらまわっていく。

「カイン?ああ、アイツはノックスって酒場でよくいるぜ」

 3件目の店でようやく有益な情報を得た!
 店のカウンターの片隅で呑んだくれてたおじさんにアーノルドさんが尋ねたらそう答えた。

「本当ですか!そのノックスって店はどこに?」
「何処だったかな?」

 おじさんは空のグラスを振りながら言う。

「マスターこの人におかわりを」

 アーノルドさんがカウンターにいるマスターにそう注文するとおじさんは笑った。

「おお!ありがとよ。ノックスは店を出て2ブロック先にあるぜ」
「よし。みんな行きましょう」
「了解でーす!やっと居場所ゲット」
「急ギマショウ」

 情報を得た僕らはすぐにノックスっていう店に向かった。





 ターゲットのいるノックスという酒場に入るとすぐに相手を見つけることができた。
 奥のテーブルで踏ん反りかえって周囲を威嚇しながら、ジョッキ片手に飲んでいる無法者の人相が僕らが捜していた賞金首に瓜二つだった。

ですよね?」
「うん。似てると思う」
「手配書ノ写真トソックリ」
「間違いないと思いますよ?」

 僕らは少し離れた所で確認と作戦タイムを行なっていた。

「では行きましょう。戦闘になったら作戦通りに」

 僕らは頷くとターゲットのもとへ向かった。

「なんだテメーら!やんのかアアン!」
「賞金首の喧嘩屋カインだな。無駄な抵抗はやめて大人しくしろ」

 メンチきって恫喝する賞金首。
 怖っ!僕一人だけだったら回れ右してダッシュで逃げたくなるほどお近づきになりたくない相手だ。
 そんな相手に臆することなく前に立つアーノルドさん。
 アーノルドさんあなたは勇者か…!?

「なんだテメーら俺様の賞金目当てか!」

 喧嘩屋カインは立ち上がった。
 アーノルドさんは後退しアイテムストレージから大剣を抜きはなった。
 続くように僕らもそれぞれの武器を構えて戦闘準備を整えた。

「やるんだったら相手してやるよコラ!おい野郎ども!」

 他のテーブルで飲んでいたガラの悪い客が三人がカインの横に並ぶ。
「おい喧嘩だってよ!」と誰かいったのを皮切りに僕らと賞金首たちの周りに人垣ができる。
 ていうかこんなに人いたっけ?
 明らかに一気に人が増えた気がする。
 そんなどうでもいいことを疑問に思った僕は首を軽く振り意識を敵に集中させる。
 左手に【革の盾】右手に【ロングソード+1】を持った僕は前に出た。
 こんないかつい無法者の前に出るのはイヤだけど、これは
 
(相手はエネミーだ。集中しろファントム…!)
「オ手並ミ拝見」
「お、お手柔らかに…」

 僕の隣にヴィンスさんが並ぶ。
 なんだろ?なんかライバル視されてる気が…。

「いくぞ野郎ども!やっちまえ!」
「「「オオオオオオオオオ!!!」」」

 喧嘩屋カインの命令を聞いて手下の雑魚モブが襲いかかってきた!

「きます!作戦通りに!」
「「「了解!(デス)」」」

 こちらはとっくに戦闘準備は終えている。
 僕らは慌てることなく迎撃態勢をとった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...