待ちに待ったVRMMO!でもコミュ障な僕はぼっちでプレイしています…

はにゃ

文字の大きさ
70 / 186
第3章 ソロプレイヤー

第六十五話

しおりを挟む

『【心眼】が発動されました』
『ファントムのDEXが50%上昇しました』
『ファントムのAGIが50%上昇しました』

 飛び出したと同時に発動させた【心眼】のおかげか、masatoの動きが手に取るように
 masatoの剣をかいくぐり僕は【シールドバニッシュ】を発動。
 masatoの顔面めがけて繰り出された迫り来る盾。
 masatoの目に驚きの色が見えた。
 まさか盾役タンクの僕が開幕早々向かってくるとは思わなかったんだろう。
 ましてや自分の攻撃を躱されてカウンターを受けるなんて想像もしていなかったんだろうな。
 僕は構わず全力で盾を振り抜いた。
 エフェクトを撒き散らしながらmasatoの顔面にめり込むと、確かな手応えと衝撃とともにmasatoは大きく後ろへ吹っ飛んでいった。
 
「がはっ!」

 二、三度バウンドしながら土煙を上げて転がっていくmasato。
 コンマ一秒で技後硬直の解けた僕はすぐに追撃に移った。
 最速で…!最短で…!真っ直ぐ一直線に…!

「ぶちかます…!」

 僕はそう呟きながら、腰だめに構えて槍を突き出すように飛び出した。
 続いて発動した槍の攻撃スキル【突撃】
 狙いは離れた場所で倒れるmasato。
 masatoのHPゲージが二割ほど減っているのを目にした僕は、よろよろと立ち上がるmasatoの腹部に向かって容赦なく槍を突き刺した。
 衝撃槍インパクトランスはミスリルの鎧を簡単に貫き、masatoの腹部に刃が突き刺さった。

「っ!?」

 突き刺されたmasatoは驚愕の目を見張る。
 さらにmasatoのHPゲージが三割ほど削れた。
【突撃】を発動した際に起きる技後硬直は一秒。余裕で次の行動に移れる。
 
 (喰らえ…!)

 僕は槍の鍔元にあるを引いた。
 バンッ!とが回り、刀身に撃ち込まれる激しい音が鳴り響くと同時に刃から短剣のようなが飛び出した。
 腹に突き刺した状態で衝撃槍インパクトランスに装填したを撃つと、masatoの身体は再び吹っ飛んだ。
 まるで車に撥ねられたような勢いで吹っ飛ぶmasato。
 masatoHPゲージがさらに一割ほど削れた。
 僕はそこで追撃をやめてmasatoの様子を伺うことにした。

「クソッタレ…!んだコレ…!」

 刺された腹を押さえて立ち上がるmasato。
 頭上のHPゲージがのアイコンが浮かび、徐々にゲージが減少していた。
 masatoは自分の状態異常に気づいたのか手をかざしてメニューを出した。
 隙だらけで今ならやりたい放題だけどあえて放置する僕。
 槍を肩に担いでmasatoを見つめていた。
 masatoはポーションのような瓶を取り出すと自分の腹部に振りかけた。
 あれは裂傷を回復させるアイテムなのかな?

「無駄だと思うけど…」
「なんだよコレ!?回復しねーだと!?」

 僕の呟きをかき消すような大声でmasatoが叫んだ。
 は回復アイテム使えば治ると思うけど、僕が与えた裂傷は普通の裂傷じゃない。
 僕が撃ち込んだ杭剣はmasatoの腹に深く突き刺さり埋め込まれている。
 杭剣を抜かない限りその持続ダメージは続く。
 仮想体アバターとはいえ自分の身体に手を突っ込んで埋め込まれた杭剣を抜くことは心理的に難しいと思う。

「大体1秒あたり2~3ダメージくらいかな?」

 masatoのHPゲージの減り具合を見ながら呟く僕。
 
「テメーふざけん…」

 なにかmasatoが言っていたけど、僕は構わず近づいて槍を振り下ろした。
 
「なっ!」

 振り下ろした槍がmasatoの頭に当たる。

「いって~…!」

 うずくまり両手で頭を押さえるmasato。
 衝撃と振動だけで痛みはないのに痛いって…(苦笑)
 僕も経験あるけど反射的に痛いってつい口にしてしまうよね。
 そんなことを思いながら僕はmasatoに向かって槍を振り上げ振り下ろす。

「なっ!がっ!ぐっ!や、やめっ!ろっ!」

 何度も何度も何度も僕はmasatoに向かって槍を振り下ろし続けた。
 怒りの衝動に身を任せて身体を丸めて縮こまるmasatoに僕は容赦なく槍を振り下ろした。
 杭剣の持続ダメージも加わってmasatoのHPゲージがみるみるうちに減っていく。
 やがてmasatoのHPゲージがゼロになり、masatoの身体が光のカケラとなって四散した。

『you win!』
『ファントムは対人戦に勝利しました!』
『戦歴1戦1勝0敗0分け』
『ファントムはEXPを300獲得しました!』
『ファントムのLVが13から15に上がりました!』
『SPを29獲得しました!』
『【タチバナ流槍術】の熟練度が20上がりました!』

 その後のシステムメッセージには【ミスリルの鎧+5】とか【エクスポーション】などのドロップ品が記載された。
 レベルは二つも一気に上がったけどスキルは大して上がらなかったな…
 まあ、盾はCSカンストしてるしタチバナ流は必要熟練度が多いし仕方ないか…
 
(それにしても、こんな簡単に倒せるとは思わなかった…)

 塀の中で読書とか作業とか運動してステータス上げてたとはいえレベル三十のPCプレイヤー相手に圧勝できるとは思わなかった。
 いい勝負するとは思ってたけど、まさかこんなに力の差があるなんて想像もしていなかったよ。
【心眼】の効果が大きかったか?
 DEX命中AGI敏捷五十%上昇だもんね。
 DEXはともかくAGIは素でレベル三十近かったしそれが五十パー増しになったらレベル三十のステータス超えてるしね。
 いやいや、それを差し引いてももっといい勝負できたと思うし…やっぱりmasatoが油断してたから楽に勝てたんだろうな。
 そんなに強くなったって感覚ないし、きっとmasatoが見下して油断してたから僕がこんな簡単に勝てたんだ。うんきっとそうだろう。僕みたいなコミュ障のクズ相手に舐めプーしたからmasatoは負けたんだ。

(やれやれ…舐めプーしてるから瞬殺されるんだよ)

 死亡マーカーと成り果てたmasatoを見下ろしながらうんうんと納得しているとスカーレットさんが僕の元に駆け寄ってきた。

「すごいじゃん!」

 そう言って僕に抱きついてきたスカーレットさん!
 
「くぁwせdrttgyふじこlp」

 僕はびっくりして変な声を出してしまった。

「ウソみたい!ただの戦士だよね?レベル10くらいしかないよね?どうしてなんであんなに強いの?マジすごいんですけど!」

 抱きついてきたスカーレットさんはすぐに僕から離れるとペシペシと僕の肩を叩く。

「その槍のせい?ううん、違う。アイツのスピードに余裕でついてこれてたつうか、上回ってた。マジパネエじゃん!」

 目をキラキラさせて尊敬の眼差し?を僕に向けるスカーレットさん。
 …なんだろう。昔、小さい頃に妹が向けていた眼差しによく似てる…?
 あの頃の妹は僕に懐いてて可愛かったな…(しみじみ)
 今は僕に絶対零度の視線しか向けない…(泣)

「いや、大したことないから」

 悲しくなってきた僕は、スカーレットさんの視線を避けるとゼルの死亡マーカーに向かった。
 
(ゼル。仇は討ったよ。安らかに眠れ…)

 胸の内でそう呟く僕。
 まあ、どっちみち教会で復活するだろうけどね(笑)
 ていうか今気づいたけど、死亡マーカーの上に【45:29】って表示されてるけどコレなに?
 PCは少し経つと死亡マーカーが消えて教会で復活するけどもしかしてNPCは違うのかな?

「あ、そうだ。このNPCひとどうするの?一応パーティーメンバーなんでしょ?」
「どうするって教会で復活するの待つけど…」
「…?復活しないわよ。NPCは時間内に蘇生魔法かアイテム使わないと消えちゃうんですけど」
「ウソッ!?」

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...