スウィ〜トな神様ご降臨！ 〜おいしい甘味はいかが？〜

プロローグ

「いらっしゃいませー!!」

　今日も大忙しの私のお店。
　世界一に輝いた私のお菓子は、お店を開店してから数時間で完売するほど人気！
　あっ、申し遅れました。私、七星 陽幸ななほし ひさめ（24）は世界一のパティシエです……！
　そう！　私は、世界一になったのよ!!　やった～!!
　心のなかでガッツポーズをして喜びに浸っていると、お客さんに不思議そうな目で見られていた。

「あの～……。これ……、ください」

　お客さんが、少し気まずそうに話しかけてくる。
　やばっ！　見られてたのか！
　仕事モードに切り替えなきゃ！

「はいっ！　これですね？　わかりました！　家までどれくらいで──」
「ありがとうございました!!」

　◇　◇　◇

　ふぅ～。これで完売っと！　閉店の札を下げようかな。

「きゃあああああああ！！！！」

　札を下げようと外に出た途端、女の人の悲鳴が聞こえてきた。
　
　キキキキッーー!!

「えっ──」

　トラックがお店に突っ込んできた。
　そう気がついたときには、もう手遅れだった。
　そのままトラックと店の瓦礫の下敷きになった。
　──私、死ぬんだ。
　そう思い、最後の力を振り絞って、一言。

「お……母さん。お父……さん。今そっちに……行く……ね……」

　そうして、私は息を引き取った──。