スウィ〜トな神様ご降臨! 〜おいしい甘味はいかが?〜

未来乃 みぃ

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第17ピース

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「ん……次は、わ、たしが……魔法学と、精霊論につい、て……教える、ね」
「はいっ! お願いします!」
「元、気で……よろしい……まず、魔法学から……」

 そう言ってサティアさんは近くに積み上げられた本の中から一冊取り出し、開いて見せてくれる。

「この本は……有名、な……魔術研究者が……書、いた……本で……とても…………わかり、やすい」
「へぇ、魔術研究者とかもいるんですね~!」
「う、ん…………お城には……いないの?」
「えっと~? し、知りません……」
「…………」

 サティアさんはため息をついた。

「……で……続き……。この本……貸すから……明日までに、読ん、で……」
「え……? け、結構分厚い……」
「読んで」
「はっ、はい!」

 サティアさんからものすごい圧を感じる……。
 こんな分厚い本、読みたくないけど、読むしかない。読まなかったら、明日更にイヤな目に遭う気がする……。

「……その本を……要約すると……魔法はイメージと……努力が、大切……って、なる……」
「え? そんな一文のためにこんなに分厚くなるの?」
「フェリア……?」

 あ、やばい! 本音が!

「わたしも……そう思う……」

 サティアさんは親指を立て、共感のグッドをくれた。

「ですよね!」

 私はグッドを返した。

「それで……フェリアは多分……想像力が……豊か……。それは……いいんだけど……無詠唱……あんまり、使わないほうが、いい」
「なんでですか?」
「あのね……フェリア、は……当然のように……無詠唱で魔法使うけど……無詠唱で出来るの……世界で10人も……いない、からね……」
「え゙っ、そうなんですか!!?」
「うん……だ、からもう……わたし達……フェリアがどんな魔法使ったって……驚かない……」

 あ、じゃあ……。

「遠隔操作と遅延魔法も出来るって言ったらどうですか?」
「フェリア……面白くない冗談は……やめようか……」
「冗談じゃないですよ! やってみせますよ!」

 精神統一して、力を出来るだけ抑える。
 遠くに淡い明かりを灯すイメージで! 火事がおきたら大変だしね!

 【遠隔操作 火属性魔法 初級 火球ファイアボール

 私から数十メートル離れた場所に、ロウソクぐらいの大きさの火が現れる。
 そしてそれを自由自在に操って見せる。

「……えぇ……」

 サティアさんは驚きはしないものの、ものすごく引いていた。ちょっと悲しいかな! でも、まだまだ!

 【遅延魔法 火属性魔法 初級 火球ファイアボール

「よしっ! サティアさん! あの辺りに立ってみてください!」
「……わ、わかった……」

 サティアさんは、私が指し示した場所へと行く。

「……何も無い……け、ど!?」

 ボワァッ! と急に炎が現れ、サティアさんを囲う。
 囲われたサティアさんは、一瞬驚いた顔をした後、すぐにいつもの表情に戻った。
 ふっふっふ! 私の目は誤魔化せないよ!

「サティアさん? 誤魔化そうとしても無駄ですよ! 私の目には、驚いたサティアさんがしっかり映りましたよ!」
「な、なんのこ……と……? 驚くわけ……ないでしょ……?」
「認めて下さいよ~! まぁ、とにかく! 私が遠隔操作と遅延魔法を使えること、わかりましたね?」
「う、うん……でも、ね……フェリア……」

 サティアさんは表情を少し暗くして、声のトーンを落とした。
 なに? 怖いんだけど?

「フェリアは……もう少し……自分が、凄いことしてるって……自覚、して……。この国じゃ無いところに……生まれてたら……フェリアは……無理矢理にでも、国の兵器に……されてる……。だから……その力は、本当に必要なとき以外は……使わない、で」
「……そう、ですよね。分かりました」

 そうだよ! こんなチート持ってる人、使わない手は無いもんね。争いに使われたって、おかしくはない。
 むしろ、サティアさん達やお父様、お母様みたいに、私の力を利用しようとせず、利用されないようにする人は珍しいんだろうな……。
 サティアさんの言い方からして、お父様は、無理矢理に人を兵器にしたりはしていない。
 この国に、この場所に生まれて良かった。
 きっとフランは、兵器にされないように、この国の、王女という地位に生まれるようにしてくれたんだね!

「……わかったなら、よろしい……。もう、時間無いから……精霊論は……簡、単に説明、で……おしまいにしようか……」
「はいっ! お願いします!」
「まず……魔法学と、精霊論が……関係、してくる……けど……精霊がいれ、ば……自分だけの……魔法を、作れる」
「え、作りたい! 精霊はどこにいるんですか!?」
「フェリア……人の話は……最後、まで聞い、て……今から……説明、するから」
「はい、すみません……」

 そしてサティアさんは、そこから精霊について簡単に教えてくれた。
 精霊は普通の人には見えず、努力をした人だけが見える未知の世界。ただ、種族によっては見えるらしく、その種族とは、エルフと神族!
 私、神族だから見えるじゃん! とも思ったんだけど、見えるから契約できるわけではないらしい。
 契約するには、自分の直感を信じ、精霊と運命の出会いをする必要がある。出会った後は、心を通わせ、絆を深めることで、やっと契約ができる……らしい。
 なんか、恋愛漫画にありそうだよね~! 運命の赤い糸! みたいな?
 ともかく、エルフと同じく情報が少なく、確かな事はわからず、謎に包まれている……とのこと。

「簡単にしか……説明、できなくて……ごめんね……。あの本読めば……大丈夫だと……思うけど……。これから……1日1冊……本……読もうか……。なら……それを……宿題に、する……」
「え? あの厚いのを? 1日1冊?」
「……わたしは……1日……10冊読んでる……いつか……同じくらい……読めるように、なろう……」
「えーーーっと? 次、誰ですかーーー!!?」

 今のサティアさんの言葉は、聞こえなかったことにしよう。

「あとは、テーナとラルグだよね?」
「次……俺がしようか……?」

 暗黙のルールなのか、授業中話さなかったライアスさんとラルグさんが口を開く。

「うん、そうだね。テーナ寝てるし、そうしよう」

 ライアスさんの呆れがうかがえる視線を追うと、大きないびきをして、豪快に寝るテーナさんがいた。
 ……人が勉強している時に……!!

「テーナぁ? 起きないと、お菓子ないよぉ?」 
「!? お菓子! マルシュア! お菓子はどこだ!?」
「テーナ、どうしたのぉ? 寝ぼけてるのぉ?」
「え……? お菓子、ないのか?」
「うん、ないよぉ?」
「なんだ……夢か……」

 トボトボとさっきまで寝ていた場所に戻るテーナさん。
 マルシュアさんは、こっちを見てニコッと笑った。
 な、なるほどね? テーナさんはそうやって起こせと……。

「使いすぎは、駄目だからねぇ?」
「わかってますよ!」
「なんの話してるのか分からないけど……フェリアは……授業しようか……」
「はいっ!」

 サティアさんが教えてくれた、フランからもらった力の凄さと、生まれた環境への感謝を胸にしまい、ラルグさんの授業へと移った。
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