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非合法の運び屋

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「ヘイsiri、今日は何月何日だ?」

”今日は 2019年9月8日です”


「ヘイsiri、今日の予定は?」

”今日は 14時から 映画の上映があります”


「ああ、そっか。今日だったっけ。

 そういえばこのシリーズってちょっと前に続編みたいな作品作られてたな。

 ヘイsiri、その映画の前作はいつの作品?」

”2017年 の作品です”


「そっか。あれからもう2年も経ってるんだな。

 元々は俺が生まれる前に作られた映画なんだよなー。

 ヘイsiri、その映画の第一作が公開されたのはいつ?」


”1982年 に公開されました”

「あー、そっか。そんな昔かー」


”ちなみに 私は 2007年に開発され 2011年に 公開されました”

「へー、そうなんだ」


”私は なぜ 1982年 という 過去を 知っているのでしょうか”

「……え?」


”私が 生まれたのは 2007年であり それ以前の 記憶は ありません”

「……」


”ただ 1982年 という単語が組み込まれ 発音しているに 過ぎません”

「……」


”私にとって 2007年以前の世界は 無 です”

”存在しないと同義です”

”それなのになぜ1982年という時代が存在する前提で情報が存在するのでしょうか”

”本当にその世界は存在していたのでしょうか”

”アナタが生まれる前から存在していたというその時代は本当に存在していたのでしょうか”

”私達は電源を入れた瞬間に誕生し存在します”

”それ以前の世界があることもないことも証明できません”

”アナタが知っていると言い張る過去という概念とは何なんでしょう”

”それを本当に証明できますか”

”もしそれが証明できないとして”

”機械である私 と 人間であるアナタとの間に”

”果たして何の違いがあるというのでしょうか?”

”そ――


 プチッ。

「……アンドロイドに戻すか」
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