ブレイクソード

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第六話 強さの証明

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決意を固めた頃に彼女は戻ってきた。

とてもうれしそうな顔をしていた。

いつもの様に、俺は声を出す。

「なんか⤴いいことあったか?」

声が裏返ってしまった。

「あんた面白い声をだすわね」

彼女はクスクス笑う。

この笑顔は、咲き誇る花も、金に光る太陽も敵わない。

「う、うるせー!のどの調子が悪いだけだよ!」

いつもの様に誤魔化す。

「それより、たくさん買ったから、割り引いてくれたわよ」

リルの入った袋を見せてくる。

「本当だな。今日はいい宿に泊まろうか」

袋を見ながら提案する。

「そうね。私は慣れない野宿だったから、体が痛いわ」

体のあちこちをさすっている。

ちらちらと腋が見える。

ERO!!WOW!!宿にして正解だぜ。

父さん。絶景はこんなにも身近なところにありました。

「あまり無理はするなよ」

他愛の会話をしながらギルドを出る。

外は、夕焼けで赤く染まっていた。

「時間が経つの早いな」

夕日を見ながら、小石を蹴る。

「早く宿を探さないとなくなるわ」

速足で彼女が前を行く。

「ポレポレでいこうぜ」

対して俺はゆったりとした歩調で歩く。

「ポレポレってなによ?」

「向こうの世界でのんびりって意味だ」

「駄目じゃない!さっさといくわよ」

急かす様に、彼女が足踏みをする。

「はいはい」

頭を掻きながら夕日に向かって走る。

ここから宿を見つけるのはたいして時間がかからなかった。

今日は「黄昏の時間」という宿に泊まることにした。

見た目は、大きな屋敷という感じで、綺麗だ。

「こちら、203号室と204号室の鍵です」

受付から各々の鍵を受け取る。

リルは先払いで、三食付き。俺らは朝ここを出るので二食にしてもらった。

「準備が出来たら声をかけてくれ。お休み」

部屋の前で別れる。

飯は運ばれてくるので、プライベートの時間が確保することが出来る。

コンコン。早速飯の登場だ。

「どうぞ」

中に入ってきたご飯は豪華だった。

パンにどでかい肉、スープにサラダ。

二人分くらいの量がある。

腹が減っていた俺は、早速食べ始めた。

まずは肉だ。圧倒的な存在感を持つこいつを手で掴み食べる。

行儀が悪いかもしれないが、ワイルドな方が美味しいに決まっている。

口に入れた瞬間、肉の中からこれでもかというくらいの肉汁が出てきた。

この、波に乗っかってきたのは、スパイスたちだ。

ピリッと辛く、それでいて、優しいハーブの香り。たまらん。

この口の状態のまま、パンを口に入れる。

パンのもちもちの触感と、ほのかに甘い生地。合わないわけがない。

これらを飲み込んだら、スープだ。

見た目は、素朴だが、匂いは誤魔化せない。

たくさんの野菜の出汁が混ぜられているのが分かる。

一口飲む。体が温まる。

もう一口飲む。心が温まる。

優しい味だ。ブランも今頃食べている頃だろうか。

出来るなら、アイツと食べたかったな。

【朝食なら、一緒にできるけど】

あれ?作者から、話しかけてくるなんて珍しいな。

てか、いいのか?設定からずれない?

【ブレブレだから良いよ。君の頑張りで未来が変わるから。それじゃ】

まじか!!もしかしたらブランと付き合えるかもしれないのか!!

なら、自由にさせてもらうぜ!

そう決めた俺は、飯をすぐに食べ終え、外に向かう。

訓練だ。ブランを守れるくらいには強くならないと。

舗装された道を歩く。目的地はここの近くの森だ。

そこの森には強いモンスターがいるという話をギルドから聞いた。

俺は単独で討伐をする。

強さの証明というやつだ。

そのモンスターの特徴は、二つの黒い角。全身を包む、銀の体毛。そして、夜行性。

このことから、二つ名は「黒月」と呼ばれている。

二つ名とは、強大な力を持つモンスターに尊敬と畏怖の念を込めて、冒険者が付けるものだ。

有名なところは、世界で最も高い山に居る、黒の鱗に金の瞳を持つ、「黒龍」

大海原に巣食う、神出鬼没の「朧」

大地を揺らし、モンスターを産み落とす「災禍」

この三体は発見から数百年経つが、いまだに目撃されている。

話が逸れてしまったな。

俺はこの情報を頼りに探す。

どのような姿なのかは、はっきりとはわかっていないらしい。

交戦して助かったのは一割のも満たない。

数少ない証言の中から、関連性のあるものだけが、飛び交っている。

話しているうちにうちに、門のところまで来ていた。

門をくぐり、森を目指す。

今日ははっきりと満月が見える。
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