ブレイクソード

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第二十話 灯台下暗し

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「またこの森に来ましたか」

入口に立って、息を吐く。

「今回は奥まで行かないし、深淵樹も倒しているから大丈夫なはずだわ」

ブランは戦闘を甘く見ているところがある。

そこが可愛いのだが。それに実力もあるし。

「それでも気を緩めてはいけませんよ」

「そうね、前回みたいに、人は死にそうになるのは嫌だものね」

アクセルのことがが効いたのか、ブランはキュッと顔を引き締めた。

「今回は対象が大きいから、高地に出て、探索をしないか?」

探索をする、アクセルに提案をする。

「いいですね、それならあそこはどうでしょうか?」

目線の先にあったのは、切り立った崖のようなところだった。

「モンスターが回ってきたらやばくないか?」

見た目は退路が無いように見える。

「最悪飛べばいいんですよ。これを使って」

そう言って、渡してきたのはパラシュートだった。

なるほど。空中が退路か、天才だな。

「よし、向かうか」足を進めようとすると、ブランが大きな声を出した。

「なんでこんなので行けると思っているの?馬鹿なの?死ぬの?」

早口でまくし立ててくる。

「お前は飛行魔法でいいぞ。じゃあ行くか」

また、大きな声が聞こえてきた。モンスターが寄ってきたらどうするんだ。

「そういう問題じゃないの!!誤作動で死んだらどうするの?」

正論だな、確かに危ないかもしれない。

「だが、その時はその時だ。お前が直してくれ」

アクセルも頷いてくれる。やっぱり漢だな。

「はぁ,,,どうなっても知らないからね」

呆れたように、小石を蹴飛ばしている。

「大丈夫だって、これを使うときなんてないから」

笑いながら肩を叩く。

そんな数十分前の俺を殴りたい。

え?今どうなっているかって?空を飛んでまーす!

なにこれ!?無限にたまたまがひゅんひゅんしてるんだが!?

案の定、索敵をしていたら囲まれていた。初めは応戦をしていたんだが、

時間が経つにつれて、モンスターの量がありえないくらい増えていたのでジャンプをした次第だ。

いやー我ながら言い計画だなって思ってたよ。

索敵もできて、ワンチャン空も飛べるかもって。

馬鹿野郎!なんで人が地面を歩くようになったか分かったぞ!

怖いからだぞ!高いところから飛ぶなんて言ってるやつはまじでねじが飛んでるよ。

めっちゃ時間かけて登ったってのに、着いたーって思った矢先、すぐモンスター。はいモンスター。

舐めんな、まじで。それですぐに下まで着くって労力の無駄やで、ほんま。

パラシュートは開かなくて、地面に突き刺さったし。

俺じゃなかったら死んでるぞ。

咄嗟の風魔法が無かったら裏側まで貫通してる。

もう、スカイダイビングなんて二度とやらん。

【残念ながら、またやります】

無慈悲!!なんで!why!?気が狂ったか作者!

無視かよ!都合のいい耳してるな!

「あんた一人で何騒いでいるのよ。うるさいわよ」

「頭でも打ったんですかね?病院に連れて行きます?」

「連れて行くな!俺は正常だ!」

「あたおか程そういうのよね」

酷いことを言いやがる。自分たちは助かったからって。

「と、とにかく!山龍を探すぞ!」

恥ずかしいのを隠すために、ズンズン前へと進んでいく。

「ブレイクさん、そっちの方には,,,」

アクセルの声が聞こえた。上から。

「なんでこんなところに、大きな穴が空いているんだよ!」

地の底から叫ぶ。

上からは、俺を馬鹿にするような、笑い声が聞こえてくる。

「ちょ、ちょっとwいくら何でも体を、張りすぎよw」

「あ、あまり,,,笑わないでください。移りますからw」

ここからでも、アイツらが腹を抱えて笑っているのが見えるぜ。

出たときにはまじで容赦しないからな。

怒りで肩を震わせていると、上からロープが下りてきた。

「これでさっさと上がって。討伐が日を跨ぐわよ」

前言撤回。このパーティーはとっても最高です。ずっとこのままでいきたいです」

「あざす!」

意気揚々とロープに手を掛ける。その時、上から悲鳴が聞こえた。

何があったか分からないが助けないと!急いで上がると笑っている二人がいた。嵌められた。くそが、許しません。

「お前ら、まじのまじでゆるさんからな?」

至る所の関節を鳴らしながら近づく。

「冗談でやっただけだから!?許して?ね?」

上目遣いはずるいだろ。だってクッソかっわいいいぃぃぃぃ!!

二人とも許します。アクセルはブランに感謝してください。

「ってこんなことをしている場合じゃないな。さっさと見つけようぜ」

体に着いた土埃を払い落としながら、周りを見る。

「あれ?なんか揺れていないか?」

微かだが、揺れている感じがする。

「言われてみればそうね」

ブランも気が付いている様子だった。

そしてなぜかアクセルが青ざめている。

「どうしたアクセル?こんな揺れにビビっているんか?」

笑いながら肩を叩く。

「違いますよw」

いつもの様に笑っているが目の奥が笑っていない。

「アクセル本当のこと話してみなさいよ」

ブランが覗き込んで、問いかける。

「おそらくなんですが,,,」

「なんだ?早く言えよ」

アクセルが重そうに口を開く。

「山龍の背中に居ます,,,」

・・・

「「えええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」
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